とちぎ地域づくりインターンシップ(県南)で、地域づくりの現場に飛び込む!
目次
地域の課題に向き合い、地域づくり活動の大変さや面白さを肌で学ぶ『とちぎ地域づくりインターンシップ』。
『とちぎ地域づくりインターンシップ』とは、地域づくりの担い手となりうる若者を継続的に地域につなぎきれていない、地域に多くいる実践者同士のネットワークが不十分という課題を受け、大学生・高校生・専門学生・20代社会人向けに開催された、実践者とともに地域づくり活動を行うインターンシップです。
県北・県央・県南という3つのエリアで行われ、居場所づくりやフードバンク、まちづくりや里山整備、空き家対策など、受け入れ団体が取り組む内容もさまざま。どれも地域から切り離すことができない課題となっています。
そして今回、県南エリアのコーディネートを担当した森谷が、インターンシップ活動体験の様子をお伝えします🙌✨
県南エリアの受け入れ団体は、NPO法人トチギ環境未来基地・シモツケ大学・NPO法人そらいろコアラ。
【NPO法人トチギ環境未来基地】
荒れた里山を整備し、里山の公益的機能を高めながら、整備した里山を活かし、豊かな暮らしや体験の機会をつくる。
【シモツケ大学】
栃木県下野市で初となるソーシャル系大学。地域の中に学びの場を創り出し、学びを通して地域社会と関わるコミュニティ。まちづくり人材の育成や地域に対する愛着向上のためのプログラム運営と、公共空間を活用した社会実験を実施している。
【NPO法人そらいろコアラ】
無料 LINE相談窓口「コアLINE」・ 子ども食堂「そらいろ食堂」・ 妊産婦と子供の居場所「そらいろポケット」等の運営を通した妊娠・出産・子育ての支援活動を行う。また、情報発信・性教育活動を通し、妊娠前世代の将来に備える活動も行う。
どの団体も、目をそらされがちな向き合うべき地域の課題に立ち向かっており、素敵な取り組みを数多く行っているので、とても楽しみです…!
里山を、子どもが自由に遊べる空間に -NPO法人トチギ環境未来基地–
最初の現場は、10月30日(土)に開催された『NPO法人トチギ環境未来基地』。
『子どもが遊べる里山づくり』というテーマのもと、真っ青な空が気持ち良い秋晴れの日に活動体験が行われました。
宇都宮駅からバスに揺られることおよそ40分。
ぐるりと見渡しても、視界に広がるのは、みどり、みどり、みどり。そんな自然豊かな山々に囲まれた里山に到着。視界がくっきりとひらけ、太陽の陽がきらきらと揺らめいていました。
自己紹介の後、早速長靴やヘルメットを身に着け、山で子どもが自然に囲まれながら安全に楽しく遊べるように整備していきます。
山での作業にはどんな障害があるのか分からないので、長靴やヘルメットは必須です。
太い蔦を取ったり、木を切ったり、雑草を処理したり、枝を拾ったり、木の幹で階段を作ったり。
30分ほど作業していると、結構汗ばんできました。
休憩をはさみつつ1時間ほど作業を進めた後は、NPO法人トチギ環境未来基地 代表理事の塚本さん、スタッフの萩原さんへの質問タイム!
インターン生のみなさんは、気になる質問や疑問について積極的に手を上げ、回答には真剣に耳を傾けていました。
その後は里山を散策し、子どもが遊べる空間を整えるためにはどんなものが必要か、グループに分かれてフィールドワークを行いました。
発表の場では、「イルミネーションを行う」「コスプレイヤーの聖地にする」「ユニバーサルデザイン化を進める」「ヨガを行う」など、斬新で面白い多くのアイデアが。多角的な視点で里山を見ることができ、とてもわくわくしました◎
「不要だと思っていたものに実は価値がある」と語ってくれたインターン生もいて、里山は多くのビジネスチャンスが眠る可能性のある場所なのだとあらためて感じさせられました。
「里山に入って活動することは初めてだったけど楽しかった」
「難しいかなと思ったけれど、挑戦してみたら意外とできた」
というインターン生の声も聞くことができました。
ともに汗をかき、ひとつの目標に向かって力を合わせて頑張るということの意味と価値、里山の整備はとても時間がかかり大変だということ、一度活動を行ってみると豊かな自然をずっと守り残したいという気持ちになるということなど、実際に肌で体験してみないとわからないようなことが多く学べたような気がします。『里山の整備』という日常から少し離れた経験は、とても有意義なものになりました🙌
暗渠?スリバチ?ちょっとマニアックなまちあるき -シモツケ大学-
続いての現場は、11月6日(土)に開催された栃木県下野市で初となるソーシャル系大学 『シモツケ大学』。
今回私たちが参加した企画は、『暗渠!?スリバチ!?いつものまちで見つける新しい風景 ちょっとマニアックなまちあるきの楽しみ』。
「暗渠?」「スリバチ?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、それでいいんです。なぜなら、その道のプロをゲストに迎え、いつもと違う視点でまちを歩き、日常のわくわくを増やすということが目的だから。
自分なりの視点でまちの面白さを発見し、まちを好きになる。
そんな素敵なまちあるき講座を楽しく教えてくれたのは、髙山 英男(たかやま ひでお)さんと深澤 謙吾(ふかざわ けんご)さん。
プロフィール
中級暗渠ハンター(自称) 髙山 英男(たかやま ひでお)さん
1964年旧石橋町生まれ、石橋小、石橋中、石橋高卒。吉村生と共に「暗渠マニアックス」を名乗り、暗渠の愉しみを伝えるために活動中。吉村との共著に『暗渠マニアック!』(柏書房)、『はじめての暗渠散歩』(ちくま文庫)、『暗渠パラダイス!』(朝日新聞出版)、『水路上観察入門』(KADOKAWA)など。
両毛スリバチ学会 トチギ分団長 深澤 謙吾(ふかざわ けんご)さん
本業は某市役所職員。1974年宇都宮市雀宮出身。幼少期より地図や鉄道、軍艦、釣りなどに興味を持ち、近年では、2019年に仲間と両毛スリバチ学会を設立、地形や路上を観察し、その土地の歴史を考察するために、広く北関東エリアでの特殊なまち歩きを続けている。
暗渠・スリバチという少しマニアックな講座を一通り受けた後は、実際にまちを歩いてみます。
歩くのは、栃木県下野市の『石橋』という小さなまち。
今ではシャッターが降りてしまったお店も増えてしまいましたが、商店街通りには昔ながらの酒屋さんや料理店が並び、レトロで愛らしいまちなみとなっています。
もともと川や水路があった場所である『暗渠』を探し、まちの歴史をたどります。暗くじめじめと湿った道、路地裏などに暗渠は多く、「こんなところに川や水路があったのか!」と多くの驚きと発見が。また、谷や窪地の凸凹(でこぼこ)地形である『スリバチ』もまちの成立の起源を教えてくれ、これまた面白い。
これまでこんなに新しい視点でまちを歩いたことはなかったので、小さなまちにも発見が多くありとてもわくわくしました。
「石橋に初めて来た」というインターン生もいて、「まちを見る視点がひとつ増えて面白かった」「新しい発見が多くあり、とてもわくわくした」という声も聞くことができました。
歩き慣れたまち、まだ行ったことのないまちも、ちょっと変わった視点を持ちながら歩いてみると景色がわくわくするものにぐっと変化するはず。まちあるきが好きになったとき、素敵なお店や人に出会えてしまうかも…!偶然の出会いは、まちあるきがもたらしてくれる喜びのひとつなのかもしれません。
若者に、性に関する正しい知識を届ける –NPO法人 そらいろコアラ–
最後の現場は、11/27(土)に開催された『NPO法人そらいろコアラ』。
新型コロナウィルス感染拡大を考慮し、オンラインにて開催されました。
子育てや妊娠・出産に関する相談窓口の設置、子どもと親の居場所づくり事業など多岐にわたり支援活動を行うそらいろコアラでは、妊娠前世代の将来に備える活動も行っています。
一方で、医療従事者を多く含む多職種チームであるがゆえ、SNS専従のスタッフがおらず、動画や画像の編集を得意とするスタッフが少ないという課題があります。
そこで今回は、10~20代の男女を対象に、SNS(Instagtam)を用いて性に関する正しい知識や価値観を伝えるためにはどのようなコンテンツが必要でどのように発信していけば良いのか、というコンテンツ企画を行いました。
まず、「どんなコンテンツがあったらいいのか」「どんな知識を伝えていきたいか」について、グループに分かれてディスカッションを行い、アイデア出しを行います。
「生理に関する知識を男性にも知ってもらいたい」
「性被害に遭ってしまったときにはまずどうすればいいのか知りたい」
「LGBTQ1の方が当たり前のようにパートナーと生活できる社会にしたい」
「ジェンダーニュートラル2に関する身近な情報を発信したい」
などといった声が上がり、それらの内容についてどのように発信すれば若い人に届けることができるのか、という話し合いとアイデア交換を通してコンテンツの魅せ方を決定していきます。
発表タイムでは、
「20~30秒の動画形式で伝える」
「漫画やグラフィックを用いて分かりやすく伝える」
「性的悩みを抱えている方にアンケートを取ってまとめる」
など、若者視点の多くのアイデアが。
ネットの普及により誤った知識や情報も出回ってしまっているいまの時代だからこその視点で話し合いを行うことができました。中には、コンテンツのデザイン制作にまで進んでいたグループまで…!◎
性に関するあらゆる知識や情報を正しく伝えていく。
それは、性暴力の被害や望まない妊娠、痴漢被害や冤罪など、他人だけでなく自分を守るということにもつながってきます。
誰もが気軽にアダルトビデオなどの性的コンテンツに接触できるいまの時代だからこそ、情報の取捨選択ができる前提知識が大切になります。学校教育では教えてくれない細かな知識を、若年層のユーザーが多いSNSを通じて当たり前のように伝え、集収できる社会になったらいいとあらためて感じました。
今回の活動体験で出たアイデアをもとに、12月以降に開催予定の長期インターンシップでは実際にコンテンツの制作、SNSを通じた発信まで行っていきます。お楽しみに🙌✨
3つの団体の活動体験を通して…
県南エリアで受け入れをしていただいた3つの団体はそれぞれ取り組んでいる課題が全く違うもので、活動体験後はちょっと日常の景色が違った風に見えるような、そんな多様な視点が得られるひとつのきっかけになりました。
とちぎ地域づくりインターンシップの醍醐味は、団体や職種にとらわれず、さまざまな団体に(偶然という意味合いも込めて)出会うことができるというところにあるのかもしれません。
一歩外に出て挑戦的に活動する大人と出会い、身近な地域課題について知るということは、自分自信を見つめ直す大切な時間にもなるはずです。「地域づくりやまちづくりには興味がないなあ…」という方でも、このインターンシップは本当におすすめしたいプログラム内容となっています。また来年度も開催予定なので、気になった方はぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。
今後は、活動体験を行ったインターン生が興味関心に合った団体の現場に入り、長期間(2022年3月頭まで)インターンシップ活動を行っていきます。
活動に参画する若者が増え、さらに栃木県が素敵に変化していく予感…✨