“地域を知る”楽しさと出会う。ミョウガとワサビを掛け合わせ、地域おこしに貢献する『加工所再生 1day ワークキャンプ』
みなさんは、栃木県日光市三依(みより)地区を知っていますか?
三依地区は、福島県との県境の山あいに位置する人口300人ほどの小さな集落です。
三依地区に入ると、残暑厳しい夏日とは思えないほど涼しい風が…!美しい河川や森林に囲まれ、自然豊かな心地よい香りに癒されます。水道から流れる水はとても冷たく、避暑地としても過ごしやすい地域性を実感。
また、秘境駅である『男鹿高原駅』、おいしい水を原料に作られる蕎麦、きれいな自然で楽しむ釣りやキャンプ、バードウォッチングや温泉、四季折々の美しい自然風景など、様々な地域資源や見所がある魅力的な地域でもあるのです。
そんな三依地区に暮らす元地域おこし協力隊の竹嶋 聖(たけしま たかし)さんから、「加工所を再生して特産品のミョウガとワサビを商品化し、地域おこしに貢献したい!」という声を聞き、2024年9月、NPO法人とちぎユースサポーターズネットワークのスタッフと日本大学の学生が、三依地区のとある加工所に足を運びました。
自治会が運営するこちらの加工所は、20年ほど前まで漬物や味噌を作るために使用されていたそう。使用されなくなってから長い月日を経て、今ではすっかり空き物件として廃れてしまいました。
今回は、「出荷時期の都合により買い叩かれてしまうミョウガと、地域内でのみ販売を行っているワサビを掛け合わせて商品化すべく、加工所を整備したい」という竹嶋さんの声を受け、加工所の片付けや清掃などを手伝います。
加工所が稼働できるようになったら人材を募集し、地域の方の意見を取り入れながら商品化を行い、道の駅やECサイトなどでの販売を通して地域おこしにつなげたいとのこと。
自己紹介の際には、竹嶋さんからこんな話も。
数少ないスーパーに行きお菓子を購入する授業があるという独自の学校教育、秘境駅にある秘境ノート、某人気番組に取り上げられたおいしい蕎麦屋、温泉の身近さ、地域の方の特性、お裾分けやお酒の文化など。
知る人ぞ知る三依地区ならではの様々な興味深い話を聞くこともできました。
自己紹介を終えたあとは、早速加工所に…!
靴のまま室内に足を踏み入れると、少し埃っぽく、昔のレコードや古新聞、雑誌やおもちゃなどが無造作に散らばっていました。
まずは竹嶋さんから室内を案内いただき、説明を受け、いよいよ作業に移ります。
室内にあるゴミなどの不要なものを缶・ビン・紙などと仕分けしながら廃棄していきます。まだ使えるものや必要なものは、奥の部屋にまとめます。
興味深いことに、こちらの加工所ではお菓子が入ったドラえもんの容器の色付けを行っていたそうで…何気なくダンボール箱を開くと、色付けを待つたくさんのドラちゃんが!(笑)
加工所の前にあるお土産屋のお土産サンプル、ワインとまたたびで漬けた椎茸、蕎麦教室で使用していた蕎麦道具、異国の扇子、駅伝のゼッケンなど、珍しいものがたくさん!竹嶋さんが地域の歴史を踏まえて解説してくださり、楽しみながら活動することができました。
ひと通り荷物を運び出し整理したあとは、しばしの休息。
休憩時にも、三依地区の水の純度の高さ、苗字が限られるため名前で呼び合う文化があること、地域に生息する野鳥や熊についてなど、竹嶋さんのローカルトークが炸裂!参加者のみなさんは、笑ったり驚いたりしながら会話を楽しみます。
こうして地域に暮らす方の話を聞きながら地域でともに汗を流し、“地域を肌で感じ、知る”ことの楽しさを改めて実感しました。
お昼ご飯を食べて休憩したあとは、時折会話を楽しみながら片付けた荷物をゴミ袋に入れてまとめたり、新聞紙やダンボールを紐で縛ったり。徐々にきれいになっていく様子が嬉しくて、つい黙々と作業してしまいます(笑)
山あいに位置するからでしょうか、急に雨雲が立ち込め風が冷たくなったかと思うと、いきなりざあーっと大粒の雨が!夕立です。竹嶋さんいわく、新潟県の天候がそのまま来ることが多いため、今の新潟県の天気がこれからの三依地区の天気の判断基準になるそう。面白い…!
加工所が大方片付き、大雨が降り出したところで、ひとまず本日の作業は終了です。
本当にお疲れさまでした〜〜〜!
最後に、今回ゼミ活動の一環で参加したという日本大学 商学部 2年生の内野 椋太(うちの りょうた)さんと、橋本 康佑(はしもと こうすけ)さんに感想を伺いました ◯
片付けていると昔のものがたくさん出てきて、その度に竹嶋さんが地域の歴史を教えてくださり、すごく楽しかったです!ライフジャケットや水中メガネ、お土産サンプルなどを見つけて、「こんな用途で使ってたのかな?」「こんなことを行っていたのかな?」とつい色々推測してしまいました(笑)今回初めて栃木県ひいては三依地区に訪れたのですが、とても雰囲気が良く「もっと賑わってほしい」と切に思いました。和牛とワサビの相性は良いので、ぜひセット販売していただきたいです!
ミョウガやワサビなど、主に地域に暮らす方しか知らない魅力的な地域資源がたくさんあることに驚きました!水質がよく蕎麦が有名とのことなので、ミョウガとワサビを薬味としてセット販売したら売れるのではないかと感じました。色々なおいしい食材があるところが素敵ですね。三依地区は魅力で溢れているので、まずはSNSやWEBサイトなどでより多くの方に知ってもらえたらいいなと思っています!
帰りの車内では、「徐々にきれいになっていく様子が嬉しかった!」「達成感に満ちている!」「楽しかったし面白かった!」という明るい声が響いていました。
のどかな地域で時間を忘れ、交流を楽しみながら作業に没頭してみて、忙しない日々で忘れかけていた何か大切なことを思い出したような気がします。滴る汗も、雨も、気持ちいい。
これからも三依地区の行く末を見守り、地域おこし活動を続けていきますので、地域活性化や地域交流、特産品・伝統継承や地域理解などのキーワードに少しでも興味のある方は、また次の機会にぜひご参加ください♩
※ 次回の活動予定が決まり次第、当メディアにて告知します!