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〈とちぎ地域づくりインターンシップ2022@県南エリア〉課題解決の現場に入って活動体験!

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昨年度より2回目の開催となる『とちぎ地域づくりインターンシップ』が、2022年の秋にはじまりました。とちぎ地域づくりインターンシップとは、若者が地域づくりに関わる機会を日常的に増やし、地域を温かく変革させていくためのきっかけをつくるインターンシップのこと。継続的に地域と関わり合えることを目標として、栃木県を中心に地域活動を行う実践者(団体)とマッチングし、想いや活動の意義を体感することができます。

昨年度の活動体験レポート(県南エリア)はこちら

好評につき、今回も県北エリア・県央エリア・県南エリアの3つのエリアで開催。募集開始後、なんと県央エリア・県南エリアは早々に定員に達してしまいました…!地域貢献活動に興味を持っている若い方が増えつつあって嬉しい限りです。

昨年度同様、県南エリアのコーディネートを私(ライター森谷)が担当することになったので、今回は県南エリアの活動体験の様子をお届けしていきたいと思います🌱✨

妊娠~子育てまでの無料相談対応窓口『コアLINE』を体験しよう!-NPO法人そらいろコアラ-

まず最初の現場は、栃木県を拠点に妊娠~子育て世代のサポートを行うNPO法人そらいろコアラさん。無料相談LINE『コアLINE』、妊産婦さんや親子の居場所『そらいろポケット』、必要な家庭への物資提供、子ども食堂『コアラ食堂』、親子イベント『そらいろKID’sクラブ』という5つの事業を展開しています。

事業内容についての説明を受けた後は、2021年度の相談件数が221件にまでのぼった『コアLINE』の相談支援を体験します。具体的には、妊娠葛藤・妊娠不安・性病などの相談に対する返信の文面を考えていきます。

現在日本で流行している“梅毒”に関する相談もあり、参加者は病状などについて都度調べながら返信の文面を考えていました。なかには、相談者の安心感を醸成させるために信憑性の高い他記事のURLリンクを添付していた参加者も。

「自分の言葉一つで相談者の気持ちを左右してしまう、とても重みのある活動だと思った」「不安を取り除くためにはどうしたらいいのか、安心感を感じてもらうためにはどうしたらいいのか、考えることがとても難しかった」「知らない病気に関する相談もあり、返信を考えるのに時間がかかった」という声が聞かれました。

事務局の伊藤さんは、「当事者はもちろん、お腹にいる赤ちゃんや子どもに危害がないか、健康かどうかを常に気にかけている」「当事者がこちらの言葉をどう受け取る可能性があるのかをよく考えることが大切」と語ってくださいました。

その後は、『コアLINE』の周知を高めるための広報会議へ。栃木県在住・在勤・在学の10~20代の男女を対象に、『コアLINE』の存在を知ってもらうためのアイデアをチームに分かれて考えていきます。

「実際に寄せられた相談事例を記載したポスターを病院や学校に貼付する」「無料・安心・安全・味方であることをしっかり伝える」「性教育に関する講演を行う」「日々の活動の様子を動画にし、SNS上で発信する」「別の支援機関と連携して広報を行う」など、さまざまな実用的なアイデアが。とくに、学校などの生徒の目につきやすい場所に妊娠・出産・性に関する相談事例を記載した広報物を設置するということはとても有効だと感じました。

「他人事だと思っていたけれど、体験を通して自分も当事者かもしれないと思った」「デリケートな相談に対して日頃向き合っているそらいろコアラさんのすばらしさを改めて実感した」という感想も聞かれました。参加者のみなさんにとっても、妊産婦の不安や悩みなどについて真摯に受け止め考える貴重な時間となりました。

まちの看板を写真に収め、まちを見る多角的な視点を養おう!-一般社団法人カゼトツチ-

続いての現場は、地域に根付いた取り組みを行う一般社団法人カゼトツチさん。 地域の人たちの多彩な暮らしと持続可能な地域を支えるため、「日常を耕す」をミッションに、コワーキングスペースの管理運営や移住者支援など、地域の人や資源・風土・文化に関わる幅広い事業を行っています。

活動体験のテーマは、“あなたの好きな風景”。小山市のまちあるきを通して出会った『看板』を自分自身の視点で撮影します。じっくりとまちを観察しながら歩いてみることで、小山市のまちや文化、歴史や建築物に触れることができ、まちを見る自身の視点や感性が磨かれます

3つのエリアごとのグループに分かれ、早速、まちあるきスタート!

楽しみながらまちを歩いていきます。普段は目を向けないところにも今日は少しだけ目を向けてみると…面白い看板がたくさん見つかりました!「このイラスト、すごく綺麗じゃない?」「ちょっと不思議なフォントを使ってるね」「どうしてモノトーンなんだろう?」。まちに点在する看板を見つけては立ち止まり、そんな風にみんなで話し合いながら心にのこった看板を写真に収めていきます。建物を見上げたり、足元に視線を落としたり。普段と少し違う視点で歩くだけでまちの風景がまた違って見えて、とっても面白いですね◎

まちあるき終了後、「どこで見つけた看板なのか」「どうして撮影しようと思ったのか」について一人ずつ発表を行いました。美術館や神社、居酒屋や割烹料理店など、みなさんが写真に収めた看板はどれも異なっていて面白い…!活動体験終了後には、「看板に着目するまちあるきははじめてだったがとても楽しかった」「まちを見る多様な視点が養われた」「見渡すと、意外と素敵な景色が広がっているんだと改めて知った」という声が聞かれました。

みなさんの暮らしを支える、変わらないものと変わったものが混在するまちの風景。ふとしたときに立ち止まり、いま自分が暮らしているまちの看板に目を向けてみると視点が変わって面白いかもしれませんね。

竹林被害の現状を知り、伐採作業を通して活用方法を模索しよう!-NPO法人トチギ環境未来基地-

最後の現場は、若者を中心に森づくり活動を行うNPO法人トチギ環境未来基地さん。栃木県の里山・竹林・森林に入り、 長期間、若者がチームになって環境保全活動に取り組むプログラムを展開しています。

今回は、竹林に入り竹の伐採を体験!その前に、まずは竹林被害の現状についての説明を受けます。

日本の竹林の多くが私有地であるがゆえに放置の拡大につながっていること、少子高齢化の進行・経済価値の低下・担い手の減少を背景に維持管理が難しくなっていること、それに伴い竹林が放置されてしまうと既存の植生が破壊され、景観阻害につながり、土砂災害が起きるといったリスクが高くなることを知り、放置林が多くなっているいま、当事者として考えなければならない事柄であることを痛感しました。

竹林被害の現状について学んだあとは、実際に竹林に入って伐採作業を行います。竹の切り倒し方のレクチャーを受け、いよいよ伐採へ。

1日で数cm~1m以上も伸びる竹は長く重たいので、「周りに人がいないかどうか」「危険物がないかどうか」を常に意識しながら切り倒していきます。体力と根気の要る作業で、切り倒し終えたころには右腕が痛くなっていました…!

その後は、切り倒した竹を使った箸づくりワークショップへ。ナイフで細く削いでいき、紙やすりで丁寧に形を整えたら完成です。竹のいい匂いがふわっと香る箸を使うと、なんともご飯が進みそう。コップやお皿もつくれるそうで、竹の有効活用性について実体験を通して学ぶことができました。

続いて、竹を有効活用したアイデア会議を行います。「竹馬イベントや竹でつくった水鉄砲を楽しめる親子向けイベントを開催する」「栃木県の新しい名物として“竹”を売り出す」「メンマづくり体験会を行う」「ランプシェード1をつくる」「服の原料として活用する」など、さまざまな面白いアイデアが…!竹の有効活用性について考えることができたと同時に、実際にここで出たアイデアが実現したらとっても面白そうですね。

最後に、竹と竹の葉で火をおこし、竹でつくった串にマシュマロを刺して焼きマシュマロを楽しみます。なんと、ほくほくの焼き芋までご用意いただいてしまいました。

土上に落ちる木の実の音と優しい鳥の鳴き声が聞こえる静かな竹林の中での活動は、日々のもやもやを吹き飛ばしてくれるよな、そんな穏やかさがありました。「放置林も整備次第ではこんなに素敵な場所になる」と実感すると同時に、実際に竹の切り倒しを体験してみてわかるように、若い方の力は必須。栃木県にある緑豊かな美しい自然を絶やさぬよう、必死で活動している方たちがいるということを心から誇りに思いました。

また、竹には大きな可能性が眠っていることを知ったので、「まずは自分にできることを考えてみよう」と思えるきっかけにもなりました。

以上で、3回の活動体験は終了となります。県南エリアだけでも素敵な活動を行う3つの団体と出会うことができたので、栃木県全体を見るとまだまだ素敵な活動を行っている方がたくさんいるはず。妊産婦や性に関する相談支援・暮らしを支えるまちづくり・森林の保全活動など、さまざまな課題解決の現場に足を運ぶことができたので、参加者のみなさんにとっても多様な視点でものごとを考えることができたのではないでしょうか。

聞きなじみのあるようで実態がよく分からない「地域づくり」。

その活動の現場に入り実践者の想いに触れることで、地域づくり活動に興味を持ち継続的に地域と関わってくれる若い方が増えたなら、課題の多い地域は確実に変化していくはずです。『とちぎ地域づくりインターンシップ』は来年以降も引き続き開催予定なので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね◎