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【駄菓子屋・カフェあり】“その日の気分に合わせた自分”でいられる場所。地域に溶け込み、ゆるやかなつながりを生むシェアスペース&マーケット『WEL』に初潜入!

栃木県下野市。さまざまな店舗が立ち並ぶ文教通り沿いに、シェアスペース&マーケット『WEL』が2024年2月22日(木)にオープンしました!

仕事や勉強、交流の場として利用できるシェアスペースの隣に駄菓子屋とカフェが併設されており、日々地域の方々や市外からの来訪者、子どもたちで賑わっているそう。

今回は、地域に溶け込む拠点『WEL』の実態を知るため、ライターの森谷が実際に訪問してみました〜!

WELに初潜入!

金曜日の15時。店内は駄菓子を食べながら遊ぶ子どもたちやカウンターで珈琲を楽しむお客さん、おしゃべりに花を咲かせる地元のおばあちゃんたちで賑わっていました。

停められた数々の自転車と明るい笑い声、たくさんの人の出入りを見て、「なんだろう?」と興味深そうに覗いていかれる方もちらほら。

内装もお洒落で、温かみのある心地よい空間です ◎

“駄菓子屋がなかった”地域に駄菓子屋を!子どもたちの憩いの場『だがし屋 まんまる』

店内に入ってすぐ、右手にカラフルな駄菓子がずらり…!どの駄菓子も懐かしさを感じるものばかりで、小銭を握りしめて駄菓子屋に通っていた幼い頃の記憶がふと蘇ってきました。この光景は大人になった今でもワクワクしちゃいます。

「どれがいいかな…」と迷うときも至福のひととき ♩

こちらの『だがし屋 まんまる』を営むのは、以前は給食調理員として働かれていたというK子さんシモツケ大学の妄想会議で「駄菓子屋をやりたい」と言ったことがきっかけで、下野市のイベントに初出店。

その後、WELのオーナーである山口さんにご提案いただき、2023年5月からWELの外で駄菓子を売り始めたのが最初だそう。

13年前に移住してきてこのエリアに駄菓子屋がないことに気づき、駄菓子好きも相まって「駄菓子屋をつくりたい」という気持ちが芽生え、駄菓子屋をオープンしました。

K子さんは、駄菓子屋を介して子どもたちに“礼儀”や“お金の価値”を伝えています

「WELで駄菓子屋をやっててよかったな」と思うことはありますか?

子どもたちの居場所をつくれたことがすごく嬉しいですね!常連の子も多いし、カフェがオープンしてから色々な年代の方が集う場になってより一層賑やかになりました。

カフェやシェアスペースが併設されているので、色々な人と日常的に触れ合う機会が多くてすごく楽しそうですね!ここではみなさん思い思いに過ごしてるんですね〜。

親子連れ・学校帰りの小学生・部活帰りの中学生・仕事帰りの社会人など、時間帯によって客層が変わるところも面白い!

そうですね。勉強…というより、ここではみんな駄菓子を食べながらくつろいでることが多いかな(笑)子どもたちが今日の出来事を話してくれたり、色々な人とコミュニケーションが取れたりとつながりが生まれやすい場所なので、毎日楽しく営業できています!

K子さんおすすめの駄菓子たち。個人的に優しい甘さがたまらない“ハニーバター太郎”が大好物でした ♡

店舗情報
店名:だがし屋 まんまる
営業時間:14:00〜17:00(定休日:月、土日のどちらか)
住所:栃木県下野市石橋779-1 シェアスペース&マーケットWEL内
※ WELの裏手に無料駐車場あり(7台分)
Instagram:https://www.instagram.com/wel.manmaru/

こだわりの珈琲を介して“各々が自分らしくいられる場所”をつくる『MATESHIP COFFEE』

続いて、『だがし屋 まんまる』の側にある『MATESHIP COFFEE』へ。2024年2月22日(木)にオープンしたばかりのこちらは、珈琲と焼き菓子のお店。一杯ずつハンドドリップするこだわりの珈琲やエスプレッソ系ドリンク、珈琲以外のドリンク、手づくりの3種の焼き菓子(クッキー・スコーン・パウンドケーキ)などが楽しめます。

今回は、MATESHIP BLEND(ホット)とバナナブレッドとチョコチャンククッキー(※ 焼き菓子のフレーバーは日替わり)をオーダー!

カウンター席なので、目の前で珈琲を淹れる様子を見ることもできちゃいます。ときには挽き立ての豆の香りを嗅がせてもらえることも…!

珈琲を淹れる店主の高山 洋太(たかやま ようた)さん

MATESHIP BLENDは深みのある円やかな口当たり。苦味がなく酸味が少ないので、「珈琲特有の苦味や酸味が苦手」という方でも美味しくいただけてしまう一杯です。

そしてこの珈琲が甘い焼き菓子に合う…!チョコチャンククッキーは大きくてしっとりした生地にチョコレートがごろごろ入っていて食べ応え抜群。優しい甘さと香り高いバナナの風味とコクがマッチしたバナナブレッドも思わず笑みがこぼれるほど美味しい。心もお腹も満たされました。

20時まで営業しているため、仕事帰りにふらっと立ち寄る方もちらほら。これは確かに、仕事帰りに寄りたくなるなあ。

夕方になると柔らかな西陽が差し込みます

珈琲を飲みながら店主の高山さんとお話したり、ひょんなことから隣に座っている方と雑談が始まったりと、人と人とのつながりの温かさを感じる場面にもたくさん遭遇。

大人に混じってカウンターでドリンクを嗜む小学生も。可愛い。

珈琲、好きなの?

珈琲はちょっと飲めません…これはココアです。

ココアか、美味しそう〜!珈琲はもう少し大人になってからのお楽しみだね!(笑)いま何年生?

いまは小学6年生で、この春から中学生になります!

へえ〜!この辺の中学校に通うの?好きなことは?…

少年(左)と話すライター森谷(右)。普段小学生と話す機会は中々ないので面白い…!

と、つい雑談を楽しんでしまいました(笑)小学6年生の彼は、WELのことを「誰でも来やすい場所でいつも色々な人がいるので楽しい」「友だちとゲームしたり駄菓子を食べたり自由に過ごしてて、好きで頻繁に来ている(一時期は毎日!)」と楽しそうに語っていました。

多世代交流がすごく好きなので、子どもも来れる場所がつくれたことはよかったですね。

カフェや喫茶店に小学生って中々いないですよね。大人の空間というか…

そうですね。一人で店舗を構えてたら、多分全く違う雰囲気になっていたと思います。

どうしてWELでお店をオープンすることに?

実は、ここで店舗を持つことになったのは本当にたまたまで。「地元でお店を持ちたいな」と思って物件を探してたんですけど全然なくて、『だがし屋 まんまる』さんがオープンしたとき、「物件ってどうされましたか?」と聞きに行ったんです。

そこでオーナーの山口さんとつながって、「ここ空いてるからどう?」とご提案いただき、WELでカフェをオープンすることになりました。

物腰柔らかな高山さんは、実は元教師!元教え子や保護者の方々も足を運んでくれるそう

偶然の出会いがきっかけだったんだ…!かねてより珈琲が好きで「お店を持ちたい」と考えてたんですか?

もちろん珈琲は好きですがあくまでも“ツールのひとつ”で、珈琲を介して“世代を超えて各々が自分らしくいられる場所”をずっとつくりたかったんです。カウンター越しにお客さんと雑談したり、ここにいる人同士で自然とコミュニケーションが生まれたり。そんな珈琲をきっかけとしたつながりづくりを大切にしています。

中学生が模写したというメニュー表(左)。もはやどっちが本物か分からない!(笑)

“人と人とのつながりづくり”を大切に珈琲を提供されてるんですね。

そうですね!心に蓋をしている人がぽっと外せる場所にしたくて。もともと地元で開業するイメージなんて持てなかったし、難しそうと思ってました。なので「やりたいことは地元でも実現できる」という自分の生き方をここで見せ、希望を持ってチャレンジできる若い人を一人でも増やせたらいいなと思っています。

自分の生き方を見せることで、若い人に希望を持ってもらう。実際に楽しそうに働く高山さんの姿を見て、「自分も地元で何かしたい」「自分らしく生きてみたい」と思う人が増えたら素敵ですね。でも、どうして教師からキャリアチェンジを?

「良い大学を出て良い企業に就職しなさい」と言われることにずっと違和感があって。世間一般で“正しい”と言われている道から外れても輝ける人はたくさんいます。むしろ、学校に馴染めない子の方が自分らしく生きれてるような気さえするので、その子たちの個性が潰されてしまうことは「もったいないな」と。

それに、生徒に「自分らしく生きなさい」と口で言うだけだと説得力がないじゃないですか。教師として生徒と関わるよりも、「こんな生き方もアリだよ」と自分の生き方を見せつつ地域の色々な人と関わる方がやりたいことに近かったんだと思います。

教師と生徒という関係性よりも、よりフラットな関係性が築けるワケですね…!いまこうして高山さんの“自分らしく生きる姿”を見せつつ想いを伝えることで、心境に変化のあった人もいるはずです。

少しでも若い人たちに何か遺せたら嬉しいですね。これからも、ここで色々な人とつながり合える場をつくっていきたいです!

店舗情報
店名:MATESHIP COFFEE
営業時間:10:00〜20:00(定休日:木)
住所:栃木県下野市石橋779-1 シェアスペース&マーケットWEL内
※ WELの裏手に無料駐車場あり(7台分)
Instagram:https://www.instagram.com/mateshipcoffee/

作品展示や商品販売。1日50円で自分のお店が持てる『BOXフリマ365』

そして、駄菓子屋とカフェがあるスペースにはもうひとつの特徴が。実は、1日50円で自分のお店が持てるチャレンジショップ(貸し棚)があるんです!その名も、『BOXフリマ365』

個性的で魅力的なものがずらりと並ぶ『BOXフリマ365』

こちらでは自分の商品を販売したり、チラシを置いて商品や店舗をPRしたり、オリジナル作品を展示することができます。中には小学生が手づくり商品を販売しているブースも!

小学生が制作・販売している商品たち。なんとも素敵で可愛らしい…!
POPの説明書き

『毎日フリマが開催されているような箱売り市です。その名も『BOXフリマ365』。お祭りやイベントには人がたくさんいるのに、普段は街に人がいないの。なぜ?素敵な街で人もたくさん暮らしているのに…お店がどんどん無くなるの?ナゼ?WHY?????なぜ?????毎日イベントあったら良いのかな?やりたい人がお店をやれ“たら”良いのかな?『BOXフリマ365』で解決できるかも?家賃“1日50円”で、あなたも店主(BOXフリマ参加料=1,500円/月)。WHY?に共感してくれる店主募集中!!』

フリマコーナーに置かれていた小さなPOPにはこんな説明書きが。

自分の好きなものやお気に入りのものを1日50円で販売・PRできるので、自分がいいなと思うものを気軽にシェアしたり、「手づくりのアクセサリーを販売したい」「大好きな漫画を広めたい」「アート作品を飾って色々な人に楽しんでほしい」など、「やりたい!」を実現する最初のきっかけになるかもしれません。

タイミングよく商品を置きに来ていた店主さんに遭遇!多肉植物、可愛い〜!

『BOXフリマ365』はただいま満員御礼とのこと。おすすめの漫画や手づくりのアクセサリー、愛らしい多肉植物やお洒落な食器など個性あふれる商品や作品がたくさん並んでいるので、WELを訪れた際はぜひお立ち寄りを!貴方のお気に入りがここで見つかるかも…?

仕事に、遊びに、学習に。誰でも無料で利用できる『シェアスペース』

外のベンチでくつろぐ小学生と「こんにちは〜!」と元気に挨拶を交わし、続いては隣のシェアスペースへ(つくづく温かい場所だなあとしみじみ…)。
※ マーケットとシェアスペースの入口は別になっています

誰でも自由に利用できるシェアスペース

こちらは仕事や勉強、打ち合わせや読書など、誰でも自由に利用できる空間。無料で利用できる上にWi-Fiもあるのが嬉しすぎる…!隣のマーケットで購入した珈琲や駄菓子を楽しみながら仕事をする方、遊びくつろぐ小学生、ふらっと立ち寄り雑談を楽しむ地域の方の姿が見えました。

利用方法は、① まずは入口付近にある『利用者記入表』に必要事項を記入します。

① 入口付近にある『利用者記入表』に必要事項を記入!

② あとは好きな席で自由に過ごしてOK(使い方の制限なし・予約不要)!Wi-Fiが分からなかったらシェアスペースを運営する常駐スタッフ(シモツケ大学のスタッフ)に聞いてくださいね ♩

② 好きな席で自由に過ごしてOK(使い方の制限なし・予約不要)!
自由に鑑賞・利用できる棚。地域の方からの差し入れや高校生手づくりのブースの他、ゲーム機や本が置かれています ◎
ボードゲームやコタツもあります。…くつろぎながら遊びたくなってしまう!(笑)

※ シェアスペースは、2024年4月はお休みとなります
※ シェアスペースの開放日や詳細は『シモツケ大学のInstagram』よりご確認ください

ここで、シモツケ大学 / NPO法人青二才に所属する髙山 裕介(たかやま ゆうすけ(愛称:たかゆう))さんにお話を伺ってみることに。

シモツケ大学 / NPO法人青二才 事務局 髙山 裕介(たかやま ゆうすけ)さん

シェアスペースはとくに制限なく、誰でも自由に無料で利用できるんですね!

そうですね!大学生や社会人が勉強や作業をしてたり、小学生が遊んでたり、地域の方がお話してたり。利用者層は本当にバラバラで、色々な人が自由に過ごしてますね

シェアスペースの運営以外に、「ここでイベントを開催したい」という方の伴走支援も行っています。地域の方が主体となってこんなイベントを開催したりとか…

地域の方(妖怪愛好家)の「怪談話をお披露目する機会がほしい」という声を受け、実際に一緒につくりあげたコラボイベント『シモツケ怪談』(提供:シモツケ大学)

おお、面白そう〜!WEL内も真っ暗で雰囲気あるなあ…

シェアスペースの運営を担うシモツケ大学として、「この空間を貸すので自分がやりたいイベントを実現しましょう」と。僕たちも一緒にイベント企画からサポートしたりSNSで告知したりと、協力しながらつくりあげています!

初めてイベントを開催したいと思っている方にはとてもありがたいサポート…!ところで、どうしてWELに拠点(事務所)を置くことにしたんですか?

今年でシモツケ大学が始動して4年になります。これまで色々なイベントをまちなかで行ってきましたが、地域で活動するプレイヤーが点在してしまい、いつどこで会えるのか・関われるのか分からない状態になっていたんです

なるほど、拠点がないからイベントでの一回きりの出会いになってたのかあ…

そうなんです。それで、「腰を据えられる拠点をつくろう」「地域の人たちが集える場、やってみたいことを実現できる場をつくろう」という話が出て、WELをDIYするところから関わり始め、2023年7月にシェアスペースをオープンしました。

DIYの様子(提供:シモツケ大学)

WELに拠点を置いてからそこの課題は解消されたのでしょうか?

以前は『色々な人と出会う場=イベント』だったのが、WELに拠点を置いてから「ここに来れば誰かいる」「日常的に色々な人と会える」という場をつくることができました。一緒に仕事をした方がふらっと相談に来たり、イベントで会った方が作業しに来たり。人とのつながりや関わりがとても増えましたね。

イベントや仕事の現場以外で色々な人と関わりを持てるようになったんですね。可能性が広がりそう…!仕事をともにした方との再会の場にもなってるんだなあ。

拠点がなかった頃はイベントでの関わりしかなかったけど、いまでは色々な人がここで思い思いに過ごしているので、僕たちとしても関係性を構築しやすくなりましたね

自分らしく、無理しない。“その日の気分に合わせた自分”でいられる居場所の本質とは?

ある人は読書を楽しみ、ある人は珈琲を飲み、ある人は会話に花を咲かせ、ある人は友だちと遊び、ある人は仕事に没頭する。WELに集う方々はみんなアットホームで、いい意味で着飾らず自然体でいる姿が印象的でした。

地域に溶け込み多世代とゆるくつながれる、無理せず“自分らしくいられる”という場の魅力を実感しつつ、最後にWELのオーナーである山口 貴明(やまぐち たかあき)さんにお話を伺ってみました。

一級建築士事務所アンプワークス 代表 / 一般社団法人シモツケクリエイティブ 代表理事 山口 貴明(やまぐち たかあき)さん

WELは、一言で言うとどんな場所なのでしょうか?

今日来てみて、森谷さんはどう感じましたか?

多世代交流の拠点なのかな、と思いました。仕事したり珈琲を飲んだり駄菓子を食べたり遊んだり、色々な人にとっての居場所になっていそうな…

そうそう。子どもも大人もおじいちゃんもおばあちゃんもいる。地域の人はもちろん、市外から来てくれる人もたくさんいます。そんな風に色々な人同士が触れ合い刺激し合える場所閉塞感のある地元ほしいな」と思い、WELをつくりました。一言で言うと“溜まり場”っていう感じかな。

溜まり場?

平たく言えば、約束したわけじゃなくても、地域の人同士が触れ合い関わり合える場。別にコミュニティづくりが目的じゃなくて、たまたま時間と空間を共有した人と人とが応援し合えたり、「何か一緒にやってみよう」とアクションが生まれる場をつくりたいんです。それは地域の活力になります。

そして最終的な目標は、地元であるこの地域を持続化させ、将来に遺すこと。完全にエゴですが、「地元(故郷)が無くなる」なんて思いたくもないんです。

WELで小学生と会話を楽しむ山口さん(左)

それは「この地域を大切にしたい」「この地域を遺したい」という人が他にもいないと実現できないことですが、学校で教えたり講演会を開いてもよく伝わらないじゃないですか。だからWELをつくり、「この場所いいな」「この地域いいな」と色々な人に感じてもらいたいですね。僕のエゴが、みんなのエゴになればいいなと思ってます(笑)

取材中もすれ違う人と挨拶を交わし手を振り合う山口さん。地元なので知り合いばかりだそう。人と人とのつながりの温かさを実感します

幼少期からこうした場所で色々な人と関係性を築くことで、地元への愛着がより芽生えそうですね!

愛着が湧くし、子どもと大人が触れ合うことが大切で。最近「地域で子育て」とよく言われますが、実は児童館や公民館だと難しいんです。“面倒を見る人”と“面倒を見られる人”という関係性になってしまい、なんか畏まっちゃうんですよね。

なるほど、フラットな関係性じゃないと。

そうそう。でも、WELではみんな対等なんです。ここに書かれているように(入口を指差しながら)、ここにいる人同士がその日の気分で話したり、派生して人生相談が始まったり、中々孫と会えない人が孫世代の子どもと触れ合って癒されたり。

WELの入口。下の方に「なりたい自分になれる場所」「その日の気分でいれる場所」というコピーが…!

そうすると「この場所いいな」「この地域いいな」と思うようになります。「ここは私にとって大切な場所だな」と思ったとき、森谷さんならどうしますか?

「将来に遺したい」と思うはずなので、自分にできることを考えるかな…

「ずっと大切にしたいから将来に遺していこう」と思いますよね。自分がつくりたいのは、色々な人の「この地域をずっと大切にしたい、遺したい」という想い。WELにいる人たちからそんな想いが生まれたら嬉しいですし、望みでもあります。

「この地域をずっと大切にしたい、遺したい」という根本にある想いから生まれた拠点なんですね。同じような想いを持つ人がもっと増えたら持続可能な地域になるはず…!それに、WELには本当に多世代の色々な人がいてびっくりしました。

多世代交流の場づくりは公的サービスでもありますが、“管理運営者”と“利用者”という線引きが明確で利用方法も限られます。なので、本来の人同士が持つ“ゆるやかなつながりが生まれにくいのではないかと感じています

そこで僕たちが実践することで自ずと縛りがなく、“各々が来たいときにその日の気分でつながれる”という心地いい場所ができると思っています。もちろんルールが無いわけではありません。WELの“居心地の良さ”を維持するため、利用者同士で話し合いルールをつくっていきます。

たしかに、WELではみんな思い思いに過ごしてるので、「他人の顔色を気にせずに自分らしくいていいんだ」と自然と思えますね。初対面なのにいい意味で気を遣われないし、話しかけたら話してくれるのですごく自然体でいられました。時間を忘れるくらい居心地よかったな…

それが大切で、それが本来の居場所だと思うんですよね。「居場所がほしい人は来てくださいね」って言われても中々行けないじゃないですか。

「誘われたから行こう」っていうのも少し違いますよね。それは「本当の意味での居場所じゃない」というか、「気づいたらここにいた」というのが居場所の本質というか…

それで“心地よさ”を感じたら自分の居場所になっていくんだろうな、と。

自然と行きたくなる、気を張らずに自然体でいられる。ぽろっと本音がこぼれたり、自分らしく振る舞える。役割がなくてもいられる場所は自分という存在を認められている感じもするし、そんな場所が本来の居場所なのかあ。

山口さんは小学生やおばあちゃんなどWELにいる方全員と親しくお話されてて、そこにもびっくりしちゃいました!

もともと知り合いだったわけじゃないんだけどね(笑)やっぱり同じ空間で同じ時間をともにしてるからかな。今日は暖かいから気分が良くて「どんな一日だった?」と誰かに話しかけたり、逆に忙しい日は珈琲だけ飲んでさっと出ちゃったり。それがなんかね、とっても心地いいんです

話したいときは話せばいいし、そうじゃないときは作業や本に没頭したりぼうっとみんなのことを眺めたり。いい意味で気を遣わずに楽でいられる場所なんですね。アットホームで温かい場所だけど、その自然体でいられる心地よさはなんとなく感じてました…!

だから「なりたい自分になれる場所」「その日の気分でいられる場所」というコンセプトにしてるんです。

学校でも職場でも自宅でもなく、地域に“ありのままの自分でいられる場所”があるっていいなあ。

多世代の居場所『WEL』。地域に溶け込みながらリアルな場づくりを実践している拠点です

「WELをつくってよかったな」と思う瞬間はありますか?

ふらっと仕事してもいいし、子どもやおばあちゃんと話してもいい。色々な人と出会いながら「その日の気分でいられる」という意味で、“自分の居場所にもなってる”ことがいいなと思うし、嬉しいですね。

山口さんにとっても無理せず自分らしくいられる居場所なんですね。交流を主軸としない“自分らしさ”の延長線上に人とのつながりやゆるやかな交流がある…素敵な場所だなあ。

ただ、WELも家賃を払わないと継続できないので、マーケットでは売買に料金が発生するし、貸切などさらに自由に使いたい場合は利用料が発生します。なにより、“ここで人と人が出会って新しいチャレンジが生まれたとき、初めて本業である建築の仕事やプロデュースの仕事につなげていくビジネスモデル”として設計しています。

なるほど!具体的にはどんな風にでしょうか?

創業の大変さを知っているので、現在常設の駄菓子屋さんや珈琲屋さんをはじめ、スポットでの出店者さんにもチャレンジショップとして安く使っていただき、それぞれが支え合いながらやりたいことを実現するサポートを行っています

そこで自信がつき「自立して店舗を持ちたい」と思ったとき、本業の建築の仕事としてもしっかり寄り添う。そうして地域の活性化とともに建築士・ローカルプロデューサーとしての自分の仕事もつくり、自分の願いも叶えていく。この部分もとても大切にしています。

本業にもつなげながら地域での暮らしをつくっていく。継続的に活動する上では「なんでも無償で」となるといつか必ず終わりが来ますよね。建築士・ローカルプロデューサーとしての山口さんの生き方と場づくり、すごいなあ。最後に、これからについて教えてください!

ここにいるすべての人に「居心地いいな」と思ってもらえたらそれでいいかな。子どもたちは成長とともにこの地域から飛び立ちますが、「自分の居場所があった」「地元でよかった」という地元(故郷)のいい思い出があったら、「ゆくゆくは地元で暮らしたい」と思い、戻って来るかもしれません。

たしかに、そうかも…!

どこの地域でも子どもが堂々と遊べる場所は年々減っているので、そういう意味ではここが子どもたちが自由に遊べる場所にもなって、「地元に戻りたい」と思うきっかけになれたら嬉しいですね。そしたら、この地域が次世代につながっていくはずです。

WELをきっかけに温かな思い出が蘇り、「いつか戻りたい」「地元が好き」と思う子が増えたら嬉しいですね。それに、実家や母校以外にも戻って来れる場所があるってすごくいいなあ。

色々な人の“地元のいい思い出”がここでつくれたらいいな、と

もしかしたら「こんな拠点をつくりたい」「地域活性化やまちづくりに携わりたい」という人も出てくるかもしれませんよね。

それに越したことはないですね!『10 picnic tables』や『吉田村VILLAGE』は、どちらかというと市外の人向けに「みんな下野市においで!」という想いを込めてつくりました。それに加えて『WEL』は、地元の人や出身者向けに「いつでも戻っておいで!」という想いを前面に出し、戻って来れる場所をつくりたかった。だからこそ、「Welcome(ようこそ)」「Welcome back(おかえり)」という意味を込めて『WEL』という名前にしました

ああ、なるほど!まさかそんな素敵な意味が込められてたとは…!

WELでは「この地域をもっと元気にしようよ」「活性化させようよ」という話はしません。居心地よく過ごしてもらう中で、ふとしたきっかけで「実はこういう想いを持っててね…」という話が始まる。そんな風に、時間と場所をともにする人同士の「私もそう思う!」をもっと引き出せたらいいなと思っています

色々な方の話し声や明るい笑い声、心温まる優しい笑顔。駄菓子や珈琲の香りに包まれたWELにいると、忘れかけていた子どもの頃の純粋無垢な喜びや人と関わることの楽しさを身に染みて実感することができます。多世代が集うからこそ、自然体で自分らしくいられる。「自分は自分のまま、ありのままでいいんだ」と思える場は、実は貴重かもしれません。

それに、ちょっぴり悩みがあったり元気がないとき、誰かと本音で語れたり、気が紛れたり、癒されたり、現状を受け止められたりするかも…とも思いました。

珈琲を飲んだり、読書に没頭したり、ここにいる人と雑談したり、作業をしたり。その日の気分に合わせた自分でいられる場所『WEL』で、“自分らしくあること”の本質を体感してみてはいかがでしょうか?

* 駄菓子屋やカフェ、シェアスペースは営業日・営業時間が異なりますので、それぞれのSNSをチェックした上で足を運んでみてくださいね ◎

詳細情報
場所名:シェアスペース&マーケットWEL
開放日時:詳しくはシモツケ大学のInstagramをチェック!
住所:栃木県下野市石橋779-1 シェアスペース&マーケットWEL
※ WELの裏手に無料駐車場あり(7台分)
※ 地域の方に限らず誰でも自由に利用可能です
Instagram:https://www.instagram.com/wel_shimotsuke/