空き家を地域の学び舎にリノベーション『あきやのてらこや』
高齢化社会が進む日本社会、それに伴い空き家の数は年々増加しています。
宇都宮市においてもそれは決して例外ではありません。
10月29日(土)、その空き家を活用した活動に参加させていただきました!
その名も『あきやのてらこや』!
今回はその活動についてご紹介していきます!
舞台となるのはこちらの建物。もとは活用方法に困っていた空き家です。
そんな空き家を改修し、地域の子どもたちとの交流と学びの場として活用していくことがこのプロジェクト、「あきやのてらこや」のテーマとなっています。
実際に学生たちが企画・準備を行い、空き家を授業が行えるように改修したそうです。
筆者も中に足を踏み入れてみると、元が民家という事もあり、学校や塾よりも温かみのある空間で、子どもたちにとって安心して学べる空間になっていると感じました。
今回でこの活動は4回目だそう!気になる時間割は…
①実験教室 ②カカシ作り ③モルック
どれも楽しそうな授業ですね!学校ではなかなか体験できないものばかりです。
ではその様子についてお伝えしていきます!
①実験教室
1時間目は理科の実験教室!今回のテーマは「液体の性質」
酸性・中性・アルカリ性などについて身近な液体を用いて調査していきます。
小学校高学年から中学校で習うような少し難しい内容ですが、子どもたちは周りの学生のサポートを受けながらスムーズに実験を進めていきます。
液体同士を混ぜてみたり、匂いを嗅いでみたり、味を確かめてみたり、、、
この実験を経て、これから学習する理科が楽しくなるといいですね!
②カカシ作り
2時間目は裏庭に移動し、かかし作りを体験しました!
土台を手に取ると子どもたちは黙々と作業を進めていきます。
ペンキの汚れも意に介さない様子はまるで本物の画家のようですね!
カカシに付ける装飾も手を抜きません。
じっくり時間をかけてカカシが完成しました。
どれも子どもたちそれぞれの個性が表れていますね!
今回新たに完成したカカシは3体。
完成したカカシは空き家の庭に飾っていきます。
個性豊かなカカシがいると景観も賑やかになりますね!
③モルック
3時間目も裏庭でモルックを行いました。
モルックとはフィンランド発祥のスポーツで、モルックと呼ばれる筒を投げ、倒したピンの得点で競います。
モルックの詳しいルールはこちら↓
- モルックを投げ、倒したピンの内容によって得点
- 1本のみ倒れる→倒れたピンに表示されている数字が得点
- 2本以上倒れる→倒してピンの数だけ得点
- 先に50点ぴったり得点したチームが勝ち
- 50点を超えてしまった場合は、25点からやり直し
一見簡単そうに見えるこの競技もいざやってみると意外と難しい、、、
ある程度練習したところで子どもたちチームと学生チームで試合をしてみます!
最初は学生チームがリードしていますが、
子どもたちもすぐにコツをつかみ、学生チームに負けじと並びます!
しかし、モルックのルール上、50点ピッタリにならなければ試合は終わりません。
惜しい場面も多くありましたが、なかなか決着はつきませんでした。
そしてあっという間に時間は過ぎ、名残惜しいですが帰りのHRの時間となりました、、
日を振り返って、子どもたちも学生も終始笑顔で素敵な空間だなと感じました!
この素敵な空間を生み出すためには多くの人の思いがありました。
後日、この活動に携わった方々にお話を伺うことができました。
まず、「あきやのてらこや」の代表である宇都宮大学地域デザイン科学部の白金励大(しろがね れお)さんは、コロナや夏の猛暑などに気を配りながら、空き家の整備や授業内容の改良などを重ねてきたそう。安全面の確保など多くの困難があったそうですが、励大さんは、「自分たちが試行錯誤を繰り返して生み出した空間で、子どもたちが楽しんでくれることが嬉しい」と語ってくれました。https://ashikamo.media/voice-21/
続いて「あきやのてらこや」の運営と企画を担当した宇都宮大学教育学部の山岸亮太(やまぎし りょうた)さんと新江友尋(あらえ ともひろ)さんは、子どもたちの教育やまちづくりに関心があり、この活動に携わっているそうです。他の学生メンバーとの兼ね合いや運営中の予想外の事態に頭を悩ますこともあったそうですが、お二人とも、「この活動が下の世代にも幅広く受け継がれてほしい」と話してくれました。
そして、「空き家のてらこや」の監修を務めた建築士の菅野武(かんの たけし)さんは、宇都宮市の空き家事情を扱う「宇都宮空き家会議」(https://www.akiya-kaigi.org/)のアドバイザーとしても活動されているそう。空き家の改修にあたって、子どもたちが安心して楽しめるよう安全面には特に配慮されたそうです。空き家の活用について、「空き家を地域の人々の心がつながる場所へと昇華させていく人材が育ってほしい」との想いを教えてくれました。
筆者も1日この活動に参加してみて、多くの人の思いが空き家に吹き込まれ、まったく新しくも暖かい地域交流の場へと進化しているのをこの身で体感しました。
また、「あきやのてらこや」は子どもたちの学びに加え、学生が建築の技術や知識を身につけながら、社会問題に対して様々な観点からアプローチしていく学びの場でもあると感じました。
「あきやのてらこや」は今回の活動で一区切りになるそうですが、空き家の活用方法については様々なアイディアが生まれ続けています。これから宇都宮市を中心に、空き家がどのような空間へと生まれ変わるのか……筆者もその様子について追い続けていきたいと思います。