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銭湯マニアに聞いた!人の営みが垣間見える、古き良き銭湯の魅力とは?

こんにちは。ライターの森谷です。

いきなりですが、みなさんお風呂は好きですか?

一人暮らしをしている方だと、「わざわざお湯を張って浸かるのはちょっと面倒」と思ってしまう方も少なくないはず。現に私も、寒い冬の日以外は湯船に浸かるのは面倒だな…と感じてしまうひとり。幼い頃は、「お風呂、早く入りなさ~い!」という親の誘い文句が大嫌いな子どもでした。

けれど先日、とある方の話を聞いて驚きました。

「幸福度指数はお風呂で決まるんだよ」

そんなことを語ってくれた方は、小川 紗理奈(通称、小川 サウナ)さん。サウナさんは、「三度の飯より銭湯とサウナが好き!」と言わんばかりに銭湯とサウナをこよなく愛する方。栃木県宇都宮市唯一の銭湯『宝湯』をホーム銭湯として、真夜中のお掃除体験やイベントを開催し、銭湯に触れるきっかけを広く提供しています。さらに昨年度、若者が未来に躍動するための伴走型プログラム『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』に出場し、銭湯を存続させるための活動を精力的に行ってきました。

そんなサウナさんですが、実は“銭湯に救われた”という過去があるそう。

「幸福度はお風呂で決まるってどういう意味?」

「銭湯の魅力ってなに?」

「栃木県にはどんな銭湯があるの?」

今回は、銭湯に関する気になるあれこれを思う存分聞いていこうと思います!

今回お話を聞いたのは…

小川 紗理奈(おがわ さりな・通称 小川 サウナ)
宇都宮市出身。銭湯が大好きな社会人3年目(ちなみにサウナも好き) 。幼少期から呼吸するように銭湯に通っていたが、銭湯が本当に好きだと気付いたのは大学生になってから(そういえば自分ってよく銭湯に通っていたぞ!的な)。 周囲の人に四六時中、銭湯入浴を薦めている人。 年々激減しているまちの銭湯を残していくため、銭湯の関係人口を増やすことで、銭湯の利用促進へとつなげていく活動を行っている。

*サウナさんのTwitterはこちら

前提として、銭湯とはその名の通り湯銭(ゆせん)1を取って入浴させる公衆浴場のこと。温泉が自然によって作られたものであるのに対して、銭湯は人工的な公衆浴場であることが特徴としてあります。

江戸時代(1603~1868年)に発展した銭湯は現在、内風呂の普及・後継者不足などの影響により東京都内で500軒を切るなど、減少の一途をたどっています。

そんな中、「歴史深い銭湯が失われる事態をなんとか防ぎたい」という想いのもと行動を起こしているサウナさんに、早速“銭湯のススメ”について聞いてみることに。

銭湯には“同じ日がない”?人の営みが交錯する非日常空間で、こころも身体も温まる

私も一度だけ銭湯に行ったことがあるのですが、なんともいえないアットホームな感じがすごく心地良かったのを覚えています。

本当、そうなの!コロナが流行する前は週に8回とか、もう呼吸するように行ってたね。その時は家のお風呂は使わないから、お洋服を掛けるクローゼット代わりに使ってたくらい(笑)

週に8回も!?(あれ、週って7日だよね…?)もはや生粋の銭湯マニアですね!

仕事が忙しいときとか人間関係に疲れてしまったときとか、そういうときに銭湯に行くの。森谷さんは、“一人になりたいけど一人になりたくないとき”ってない?

一人になりたいけど人の気配を感じたい、という感じですかね?なんとなく分かります…!

そうそう!夜に行くとぽっと優しい明かりが灯って、その明かりが実家みたいでほっとするの。暖簾をくぐると「いらっしゃい」から何気ない会話が生まれる。そのマイホーム感がすごく落ち着くんだ。

それでいうと、“日常でありながら非日常なところ”も好き。お風呂に入ることって日常だけど、銭湯に行くだけで非日常になるんだよね。

たしかに、暖簾をくぐった瞬間から全く雰囲気が変わりますよね。

それに、銭湯には匂いがあるんだよね。

銭湯の匂い?

もわってしてるお風呂の匂い(笑)銭湯特有のその匂いと相まった、人の営みが感じられる非日常空間がすごく好き。あとは、番台さん2に会えることがすごく嬉しいんだよね。私のホーム銭湯は宝湯なんだけど、行くと番台さんが定点的に健康観察してくれてる感じなの

番台さんが健康観察?それってどういう意味ですか?

「なんか痩せたんじゃない?」「元気にしてた?」「顔色悪くない?」「今日は寒いからゆっくり浸かっておいで」とか。毎日行く人にとってもそこにあるし、県外から地元に戻って来た人にとってもそこにある。どんなお客さんに対しても「おかえり」って待っていてくれるところがすごくいいの

へえ~!家族みたいですごくいいなあ…

行くたびに思うんだけど、全然同じ日がないんだよね。

同じ日がない、というと?

番台さんと話したこととかお湯に浸かって感じたこととかが、同じ場所なんだけど毎回違くて。言語化が難しいんだけど、そこにハマっていく人はやっぱり一定数いるんだよね。

奥が深い…。温泉やスーパー銭湯なんかもあると思うのですが、どうして銭湯にこだわりが?

スーパー銭湯には色々なお風呂の種類があるからアミューズメントパークとして行く分にはすごく楽しいけど、“家”ではないんだよね。番台さんとのコミュニケーションも生まれにくいから、親近感を持って行けるわけではなくて。

なるほど!それでいうと、温泉と銭湯はどう違うのですか?

温泉ってそもそも“温かいお湯を下から引いてるもの”を指すのね。だから銭湯で温泉を引いているところもあるんだけど、温泉街にある温泉と街中の銭湯だったら、私は街中にある銭湯がいいなと思ってて。温泉街に行けば確かに良いお湯もあるし、そこでしか味わえない雰囲気もある。でもやっぱり“日常”じゃない

私の場合、銭湯で生まれる日常のコミュニケーションが身体に染み付いてしまっているから、銭湯が好きなんだ

銭湯のここがいい!
✓ “一人になりたいけど一人になりたくないとき”に落ち着くマイホーム感
✓ お風呂の匂いに包まれた非日常空間
✓ 日常的に生まれる温かいコミュニケーション
✓ 行くたびに違う経験ができる

幸せの度合いは“風呂”が決め手だった!よく笑う人にある共通点とは

そういえば、サウナさんのSNSで「幸福度指数は風呂で決まる」という一文を見つけたのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか。

卒論で銭湯についての研究をしていたときに、“入浴している人はそうでない人に比べて笑う頻度が高い”っていうデータを見つけたの。それに、「幸せだと感じていますか?」っていうアンケートの回答率が高い。そのデータを見たときに、「私も銭湯に行く頻度が高いときは幸せだな」って改めて感じて。

銭湯に行くことでリフレッシュできて、次の日も同じ仕事量をこなせるから上手く毎日がまわって「私、いま調子いいぞ!」みたいな。だから、お風呂に入ることって幸福度指数につながるなって思ってるの。だいたい元気がないときは行けてないからね、銭湯(笑)

まさか入浴にそんな効果があったとは…!サウナさんはどんな時に幸せだと感じますか?

銭湯って普通のお風呂よりも2~3℃熱いから、入浴すると「ああ~」って自然と声が出ちゃうんだけど、その声を出してる状態が一番リラックスしている状態らしくて。そのときに「ああ、幸せ」って思うかな。

たしかに、自然と出ちゃいます!(笑)

時間帯によっては人があまりいないときもあるから、ひとりでのびのびできたりするの。自宅のお風呂って狭いし、お湯がすぐ冷めちゃうんだよね。でも銭湯だと、手も足も自由に伸ばせる。

誰かと話したいと思ってたら話しかけてくれるし、逆にひとりになりたいときはそっとしておいてくれる。そんな『謎の家族文化』があるところも魅力で。なんだろうね、私は銭湯がそこにあるだけで幸せって感じなんだ(笑)

“肌がよろこぶ水風呂”がある?サウナさんのホーム銭湯『宝湯』とは

サウナさんのホーム銭湯でもある『宝湯』とは、宇都宮市にある唯一の銭湯。サウナブームの到来により、地元の人に限らず遠方から訪れる人も増えたそう。36台もの車が駐められる広い駐車場を完備している他、隣接する店舗でお弁当やお惣菜などを購入し、湯上がりの空きっ腹を満たすことも ◎ また、節句にはしょうぶ湯、冬至にはゆず湯など、季節ごとのイベントも数多く行っています。

実はね、私がサウナを好きになったきっかけは宝湯なんだ。

そうなんですか?私、サウナって熱すぎて長く居られなくて、ちょっと苦手なんです。

わかる、わかる!私もお風呂は好きだったんだけど、20歳までは水風呂に入れなくって。水風呂も足をつけたら電撃走るしサウナも蒸し暑くていられないし「もう無理」って思ってたんだけど、20歳のときに「テレビが見れるから」っていう理由でサウナに入ったら、そこに銭湯のヌシ(常連さん)みたいな人がいて。

銭湯のヌシ!

そうそう!その常連さんが「いくつなの?」「学校とか行ってるの?」とか沢山話しかけてくれて。テレビを見ながら談話してたら、話の切れどころが分からなくなってしまって意識がだんだん遠のいていくのね。「(やばい、これはやばい…!)すみません、出ます」って出た先に水風呂があったから入ってみたら、いわゆる“ととのう”体験がはじめてできて。それからめっきりサウナが好き(笑)

それにね、宝湯ってすごく水風呂が良いんだ。

水風呂ってどこも一緒じゃないんですか?

それが全然違うのよ~!静岡県に『サウナしきじ』っていう場所があるんだけど、そこがサウナの聖地って言われてて。富士山から直接引っ張ってきた水を使ってるから“飲める水風呂”って言われてるくらいなんだけど、その柔らかな水質と同じって言われてるのが宝湯の水風呂なの

それはすごい…!

井戸水を引いているから、ツウの人にとっては「やっぱり違う」って感じるの。「肌が飲んでる、喜んでる」っていう感じ!

気になります!でも、水風呂を堪能するコツってありますか?蒸し暑いサウナ同様、キンキンに冷えた水風呂もちょっと苦手で…

水風呂に入れないのは、サウナとかお風呂で温まりきってないからだと思うの。「熱くて仕方ない」って思ったら身体が自然と水風呂を求めるから、「熱いな、無理だな」と思ったちょっと先まで入ると水風呂にも入れるようになるよ!

宝湯のサウナ

出典:栃木の銭湯

ちょっと先が重要なんですね。“サウナでととのう”って一体どんな感じなんですか?

水風呂から出た後に椅子に座ってると“ととのう”の。視界がまるで回ってるみたいで、脳がふわふわっとする感じ。ととのった後はすごく色々なひらめきが生まれて、仕事の効率がぐんと上がるんだ。

ととのう体験、私もしてみたい…!

自分は自分、他人は他人。人と比べない精神が、こころを豊かにする

サウナさんは宝湯をはじめ、どうして銭湯に行くようになったんですか?

私、もともとアトピー持ちで、皮膚が強張り硬くなる“象肌”が幼い頃から結構ひどくて。小学生の頃に周りを気にしすぎて若干引きこもってしまった時期があったの。そのときに「お風呂に行こう」とお風呂好きの両親に誘われて、半ば無理やり銭湯に連れて行かれたんだ。

それが初めての銭湯体験だったんですね。

そうそう。いざ行ってみると、同じくアトピーの人がいたり子どもがいたりしわしわのおばあちゃんがいたりして、そういう色々な人を見てたら「自分の肌荒れとか体型って別にどうでもいいんじゃないか」って思えてきて。それでお風呂上がりに瓶に入った牛乳をぐいっと飲んだら、今まで悩んでいたことが全部きれいに吹っ切れて。

それから、「しんどいな」っていう時に“こころのリセット”として銭湯に行くことが増えたの
。その後は学校にも通えるようになったし、なんだったら気が強いんじゃないかくらいになって(笑)

そんな過去があったのですね。銭湯には世代問わず色々な人がいるので、そこもまたいいところですよね。

たぶん、銭湯に行くようになって「どうでもいいんじゃない?」っていう考えの芽生えが人よりも早かったと思うんだ。「人は人!」みたいな。あとね、友達との距離を縮めたいときに銭湯に行くのはすごくおすすめ

友達と銭湯に!どうしてですか?

隠すものもないし、心も身体も開放的じゃない。リラックスできるからついぽろっと本音が出ちゃったりして。思い返すと、今でも関係が続いてる友達は一緒に銭湯に行ってたなあ。

栃木県にある4つの銭湯はどれも個性派。サウナさん流、銭湯のススメ

栃木県にも銭湯っていくつかありますよね?

あるよ!今は4つしかないんだけど、4つ全部おすすめ。

1軒目は、宇都宮市にある『宝湯』。歴史はそんなに長くなくて、比較的新しい銭湯なんだ。銭湯って大体浴槽が2つ~3つくらいしかなかったりするんだけど、宝湯には浴槽が4つあってサウナや休憩できるスペースもある。ご夫婦で経営されている銭湯にしては広めで、サイズ感がいいなって思ってるの。

出典:栃木の銭湯
施設名宝湯
所在地〒320-0072
宇都宮市若草1-9-5
電話番号028-624-8049
営業時間13:00〜23:30
定休日毎月10日

2軒目は、小山市にある『幸の湯』。銭湯にある大きなペンキ絵を描く“銭湯絵師”という方がいるんだけど、全国で3人しかいないの。そのうち、銭湯絵師の丸山 清人さんが描いた壁が幸の湯にあって、その富士山がもう圧巻で。ここは、高めの番台がどんって置いてある古き良き“番台式”なんだ。

出典:栃木の銭湯
施設名幸の湯
所在地〒323-0025
小山市城山町2-5-21
電話番号0285-25-0356
営業時間15:30〜22:00
定休日金曜日

3軒目は、足利市にある『花の湯』。この場所は湯を沸かすほどの熱い愛』っていう映画の撮影地にもなった場所で、幸の湯と同じく“番台式”なんだ。

出典:栃木の銭湯
施設名花の湯
所在地〒326-0805
足利市巴町2541-1
電話番号0284-21-8538
営業時間14:00〜22:00
定休日日曜日

4軒目は、栃木市にある『玉川の湯(金魚湯)』。名前の通り金魚が沢山いるの。壁に水槽が埋め込まれてて、お湯に浸かりながら金魚が見れるんだ。2階がスケートボード場だから、お風呂に浸かっているとスケートボードの音とか笑い声が聞こえたりして、なんだかほっこりするの。ユニークで結構おすすめ!(笑)

出典:栃木の銭湯
施設名玉川の湯(金魚湯)
所在地〒328-0036
栃木市室町3-14
電話番号0282-22-1865
営業時間11:00〜23:00
定休日水曜日

おせっかいで銭湯業界を潤す。銭湯存続のためにはじまった『YUSEKKAI(ゆせっかい)プロジェクト』

4軒ともすごく個性的ですね!でも県内に4軒しかないんですね…

そうなの。昔は200軒くらいあったんだけど、今は4軒しか残ってなくて。「え、何倍!?」って感じだよね。

銭湯が失くなったらその場所はどうなってしまうんですか?

大体更地になってしまうんだけど、パーキングエリアになってしまったときは結構悲しかったな。特に解体作業中なんかは馴染みのある銭湯の壁とかが見えて、すごく悲しい気持ちになるの。

通い慣れていた場所が壊されてしまうのって、胸がつまりますね。

SNSを見てると、「こんなに早いの?」ってくらい「ここの銭湯が無くなります」っていう情報がどんどん流れてくるのね。「なんとかしないと」という気持ちは常にあったけど、社会人になりたての頃だったこともあって、仕事が忙しいことを理由に動き出せずにいたんだ。

でも、「仕事が忙しいって言い訳じゃない?」ってふと思って。私には寝る時間もあるし、銭湯に行く時間もある。「だったらその時間を銭湯のために使えばいいじゃん!」と『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』に出場することにしたんだ。

大好きな場所が失くなってしまうことに対する“危機感”がサウナさんの背中を前へと押したのですね。『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』ではどのような取り組みを行ってきたのでしょうか?

まず「銭湯の課題を洗い出そう」ということで銭湯の課題を100個くらい洗い出して、実際に宝湯でヒアリングを行ったんだ。

私が『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』に出場した目的は、銭湯という場をこれ以上失わせないため。銭湯の存続のためには何が必要かって考えたときに、銭湯にお金が落ちないといけないな…と。そこで、『銭湯の売上支援』という形で、おせっかいの延長線上として銭湯の関係人口を増やそうと思ったの。その名も、お湯とおせっかいをかけた『YUSEKKAI(ゆせっかい)プロジェクト』!

YUSEKKAIプロジェクト!面白いネーミング!

銭湯でイベントを開催したり銭湯に興味がある学生を連れてきたりとか、銭湯好きの人を増やすことで最終的に銭湯の売上に貢献できると思ったんだ。そのために「お手伝いさせて下さい」って宝湯に入り込んでイベントのお手伝いをしたり、『真夜中のお掃除体験』と題してまだ銭湯に足を運んだことのない人を呼んだり。あとは番台さんとの関係性を構築しながら、SNSの運用をしてきたかな。

銭湯の関係人口を増やすために様々な取り組みを行ってきたんですね。

『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』の期間中に色々なことに取り組めたからこそ今につながるって感じ。「栃木県で銭湯・サウナといえば小川さん」って言ってもらえたりするから、それはすごくありがたいな。

実際に宝湯で活動を行う上で見えた課題や現状はどのようなものなのでしょうか。

流行りの『サウナイキタイ』っていうWEBサイトに常連さんが宝湯を登録してから若いお客さんがすごく増えたのね。それまでは集客に課題を感じていたんだけど、SNSを更新したりイベントを打ち出したりと、地道に広報活動を行うことで人が来るということが身に染みて分かったので、いまは私が宝湯から離れても永続し続けるためにはどうしたらいいのかな…というところに課題を感じてるかな。私の目標は、今ある(全国の)銭湯をひとつも失くさないことだから

サウナさんがいなくなっても銭湯が存続し続けるためには…。たしかに、そこはすごく課題ですね。

そうなの。まずは栃木県にある4軒は絶対守らないと、って。そのために、「宝湯で実績をつくってから横展開したほうがいいよ」と『iDEA→NEXT(アイデアネクスト)2021』で助言をいただいたので、いまは少しずつ実績をつくっているところなんだ。だけど、離れられないっていうことが課題かな。

現場の課題でいうと、後継者不足だというところ。地域としては残してほしいけど、後を継ぐ人がいない。新型コロナウイルスはもちろん、景気や災害にも左右されやすい商売だからこそ、銭湯の売上支援ってかなり難しいんだよね。

掃除を通して銭湯の裏側に触れる『真夜中のお掃除体験』参加者募集中!

銭湯に関する課題感や現状が、現場で活動するサウナさんの視点からよく見えてきました。自ずとコミュニケーションが生まれ、ありのままの自分と向き合うことができる。そんな人々の居場所が年々減ってしまっているという事実は、とても辛く悲しいものです。

そんな中、サウナさんが自分にできることとして宝湯で行っている『真夜中のお掃除体験』は、毎月1~2回ほど開催されています。時間帯は、夜の11:30から約1時間ほど。世代を超えた参加者同士で世間話をしながら大きな浴槽を洗い流すという銭湯経営の裏側を体験できる貴重な機会です。また、お掃除終わりにはみんなでお風呂に入ることができるという嬉しい特典も

宝湯のお休みが毎月10日と20日ということもあって、その前日に毎日の掃除の+αで大掃除を行うんだ。毎日のお掃除はカウンターや脱衣所、ロッカーや鏡などの掃除やタオルなどの備品の洗濯で手一杯なんだけど、大掃除ではクレンザーやタワシを使っていつもよりも念入りに掃除するの。

真夜中に、それも毎日!銭湯経営ってすごく大変なんですね。

経営しているご夫婦はおふたりとも70代だから、積極的にお手伝いできないかなと思って声をかけたのがはじまり。「宇都宮といえば宝湯」って言われるくらいの名所になってほしいなと思ってて、ちょっと足を運んでみようと思ってもらえるコンテンツだったり、銭湯に触れるきっかけをもっと沢山つくっていきたいと思ってるんだ。

銭湯に触れるきっかけ?

昔に比べて銭湯に来る子どもやお母さんの数がすごく減ってしまったからそういう方たちもターゲットにしていきたいし、高齢の方にとっては外に出るひとつのきっかけになればいいなと思ってて。朝市や駄菓子屋など、色々な世代の方に刺さるイベントを開催していきたいなと今は考えてるところ。

銭湯=お風呂に入るというイメージがあるので、お風呂に入らずとも銭湯に足を運べるきっかけがあるってすごく良いですね!

真夜中のお掃除体験の参加者も募集してるので、ぜひ来てね!ボイラー室が覗けたり湯沸かしの流れを見れたりと、銭湯の裏側を知ることもできるよ~!

実際に参加した人の声

多摩美術大学 1年生 井上 凜(いのうえ りん)さん

知人に誘われて初めて参加しました。世代を超えた色々な方と一緒に熱気がこもった銭湯で掃除していると、みんなで銭湯に入っているような感覚になるんです。一緒にお風呂に入るとぐんと距離が縮まりますが、お掃除体験もまさにそんな感じで、すごく距離が縮まったような気がしました。銭湯トークで盛り上がり「もっと銭湯のことを知りたい」と思ったし、これまで関わったことのないような方々と関わることができて楽しかったです。

お掃除終わりにはみんなでお風呂に入って、脱衣所で飲み物片手にお話しました。多分、夜中の2時位かな?(笑)銭湯の貴重な裏側を体験できることはもちろん、人がいない真夜中の銭湯でゆっくりお話できてとっても楽しかったです!

銭湯の魅力を思う存分聞かせていただいた後、私は居ても立っても居られず久しぶりに内風呂にたっぷりのお湯を張り、さらさらと入浴剤を流し入れ、入浴時間を満喫しました。驚くことに、入浴すると身体がほわほわっと温まり、すごくよく眠れるんです。普段から夢を見る眠りの浅い私にとって、「夢を見ずに熟睡したのはいつぶりだろう?」と嬉しい気持ちになりました。

銭湯に行くなら夜の遅い時間帯が穴場だと教えてもらったので、週末にちょっと足を伸ばして行ってみようかな…と銭湯への想いをひとり募らせてしまいます。こうしている間にも、早くお風呂に浸かりたい…!サウナさんのお陰で、すっかりお風呂大好き人間になってしまいました。

この記事を読んでくれた方のなかで、「銭湯に行ってみたい」「サウナさんに会ってみたい」「真夜中のお掃除体験に参加してみたい」と思った方は、まずはぜひサウナさんのホーム銭湯『宝湯』へ。銭湯ならではの文化や匂い、ちょっと熱めのお風呂やサウナをとことん味わい、ぜひ身体の芯まで温まってきて下さい。

以下より真夜中のお掃除体験のお申し込みを受け付けていますので、銭湯に足を運ぶはじめの一歩としてもぜひご参加下さい。サウナさん含め、愉快な仲間がお待ちしていますよ~!

※新型コロナウイルスの影響を考慮し、参加人数を最大6名までに制限しております(先着順)