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空き家に、もう一度息を吹き込む。地域の風景に溶け込む1日限定の『あきやのだがしや』

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少子高齢化や人口移動を背景に、いま社会で大きな問題になりつつある空き家。

総務省が発表した平成30年住宅・土地統計調査によれば、空き家数は848万9千戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めていることが分かりました。

そんな空き家問題についての知識を提供し活用方法を探るため、官民連携の『宇都宮空き家会議』が2021年6月26日(土)に『空き家の学校』を開校しました。

空き家の学校』とは、空き家から未来のふるさとの景色を創るために、地域のために活用したい人や空き家の活用に興味関心がある人同士が集い、学びを深める場です。

第一回目として、専門家から知識や技能を学びつつ、築50年の木造平屋という実際の空き家をフィールドに受講生と70名ほどの学生が改修作業を行いました。そして、2021年11月21日(日)に1日限定の駄菓子屋『あきやのだがしや』をオープン。

「空き家を駄菓子屋さんにするってどんな感じなんだろう…?」

ということで、実際に『あきやのだがしや』に行ってみました!✨

オープン時間の10:00になってすぐに子どもたちが訪れはじめ、なんと30分後には多くの人で賑わいをみせていました。地域の人々だけではなく、中には県外から訪れていた人も。当日の運営には約15名の学生が携わり、子どもやお年寄りの方々との交流を図っていました。

『あきやのだがしや』は、受付に100円を渡すと駄菓子が5個貰える他、輪投げや射的、ヨーヨー釣りや卓球などのゲームへの参加でお菓子が追加で貰える仕組み。かつては雑草で荒れ、もので溢れていた空き家で、子どもと大人がお菓子やゲームを通して交流する様子がとても印象的でした。

企画・運営を担当した宇都宮大地域デザイン科学部3年の白金励大(しろがね れお)さん(21)は、授業の合間を縫いながら準備を進めてきたそう。平日の作業となると中々人が集まらず大変だったものの、他大学も含めた多くの学生、地域の大人たちを巻き込んで約3ヶ月でここまで形にしました。励大さんは、多くの人で賑わっている風景を前に、「地域の人に喜んでもらえるような場所を作れたことがすごく嬉しい」と笑顔で語っていました。

オープンするまでの準備として、改修作業だけでなく、チラシや看板の制作・ポスティングなども学生を中心に行ったそう。また、裏庭の危ない箇所には手作りの柵を設置するなど、安全面にも配慮しています。

地域の学生がつくりあげた空間を、家主の高橋さんはどのように見ているのでしょうか。

さまざまな人が集う場所になっていますが、高橋さんはどのように感じていますか?

まさかこんなに大盛況だとは思わなかったので、嬉しいですね。もともと祖父母が使っていた家なんですけど、雑草だらけで手入れも大変だし近所の方にもご迷惑がかかってしまう。でも昔の思い出もあるので売却はできずどうしようと悩んでいたところ、宇都宮空き家会議さんに声をかけてもらったんです。そこで色々なアイデアが出てきたので、好きに使ってください!って(笑)

最初はこんなに素敵な空間になるなんて思っていませんでした。ほんの軽い気持ちで「使ってください」て言ったらこんな風にしてくれて…。叔母も「おじいちゃん、おばあちゃんも天国で相当喜んでるよ」って言っていました。

使われなくなってしまった空き家を活用して地域に開かれた駄菓子屋さんをつくるって、すごく素敵なことですよね。

空き家のまま朽ち果てていくだけでは何の役にも立たないし、かえって迷惑になってしまうじゃないですか。空き家が社会問題化されている中で『あきやのだがしや』がモデルケースになって、全国に広がってくれたらいいなと思います。

学生が主体となって活用を進めていることもいいですよね。

それもまたいいですよね。みんなで一緒にひとつの目標に向かって手を動かすということは、とても良い経験だと思いますね。大胆なアイデアも沢山あって、まさか壁の色がスカイブルーになるとは思ってもいなかったよね!(笑)これから出てくるアイデアもすごく楽しみです。

空き家の活用をひとりきりで行うのは難しいけれど、みんなで力を合わせて挑戦すれば素敵な場所に生まれ変わらせることができる。その事実を体現してくれた『あきやのだがしや』は、全国のロールモデルとなりうるような空間でした。

技能や知識を学びながら、実際の空き家をフィールドに企画から運営まで担う。社会問題を学びに取り入れ、解決までの道を拓くというひとつの新しい学びの可能性を目の当たりにしたような気がします。

また、きらきらと輝く学生の目を見て、「学校や大学という縛られたコミュニティから一歩出て、大人も子どももお年寄りも混じり合っている空間をつくる」という経験はとても大きな財産になると感じました。

「毎回目に見える景色がいい方向に変わっていくのもやりがいのひとつになる」という励大さんの言葉のとおり、雑草を抜いたり掃除をしたり壁を塗り直したり等々、目に見える成果がしっかり現れるというところも「できる」という自信につながる上、「みんなで形にした」という達成感と連帯感が芽生え、なにか始めるきっかけとしてとても良いのではないかと感じました。

『あきやのだがしや』は1日限定の企画でしたが、空き家の活用方法については引き続き考え続けていきます。これから、地域に数多く眠る可能性を秘めた空き家がどんな風に生まれ変わるのか…。今からとても楽しみでなりません。