紆余曲折があるからこそ、見えるもの。まちづくりや旅をキーに、周囲を巻き込みながら生きていく。ー白鴎大学/君島 将吾さん
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プロフィール
君島 将吾(きみじま しょうご)
栃木県 日光市出身
白鴎大学 経営学部 経営学科 4年生
旅行が好きなことから観光系の授業を履修し、『国内旅行業務取扱管理者』という国家資格を取得。観光会社に就職しようと意気込み就職活動をはじめたものの、コロナの影響で業界を180度方向転換することに。また、ウインドウオーケストラ部で部長を務め、コロナの影響による多くの障壁に立ち向かっている。様々な紆余曲折を経て、現在はまちづくりやボランティアに関わるゼミの活動を中心に、地域貢献に携わっている。
夢を諦めて見えた『大学進学』という道
高校は商業科で、もともと大学進学は考えていませんでした。電車好きなこともあって、地元日光を通っている東武鉄道の駅員さんになりたいと思っていました。
でもある時、駅員さんになるためには健康診断で色覚の検査があることを知ったんです。自分には緑を司る視細胞が他の人よりも弱いという異常があったので、駅員さんになるために一生懸命頑張っても色覚で落ちたら元も子もないな、と。
そこで、簿記一級など専門的な資格を取得していたこともあり、高校の先生に県内の白鴎大学経営学部に進学することを勧められました。正直、センター試験大変だなあとテレビで他人事のように見ていたので、まさか自分が試験を受けることになるとは思いませんでした(笑)それからは大学進学に方向転換し、科目を絞って受験しました。
好きだった『旅行』を活かした学び
1年時は経営学部で必修のものを学び、2,3年生になってからは観光系の授業を多く履修しています。観光系の授業に興味を持ったきっかけは、“旅行が好きだから”です。一人旅や各駅停車の旅も大好きで、時間ができれば旅行に行っていました。旅行に行くと、降り立ったその場その場で空気が全く違うんです。そこが旅行の好きなところです。
こだわりは、必ずその土地の地元のスーパーに行くこと。例えば、北海道のスーパーには新鮮な魚介類が沢山置かれているなど、地域ごとに置いてあるものが全く違うんです。それに、地元の人が日常的に集まるスーパーに行くと、そこでの暮らしが垣間見えて面白いです。そんなことから、2,3年生の頃は「旅行系の仕事に携われたらな」と漠然と考えていました。
コロナの影響で方向転換。紆余曲折の就職活動
実は旅行会社から一転し、ゼネコンに就職することになりました。3年生の頃は旅行会社に就きたい一心で、授業での勉強を通して『国内旅行業務取扱管理者』という国家試験を取得したのですが…。
「これで旅行会社への第一歩だ!」と思っていた矢先、新型コロナウイルスが到来したんです。
同時期に、最終選考にまで残っていた旅行会社に落ちたこと・コロナ禍における旅行会社のその先を考えはじめたことを皮切りに、業界をイチから見直すことにしました。今まで旅行会社しか見ていなかったにもかかわらず、いきなりのシフトチェンジ。
ディーラー・メーカー・営業など様々な業種を見ました。そんな時に大学からゼネコン会社の説明会の案内があり、「ちょっと見てみようかな」という気持ちで行ったことをきっかけに、それがトントン拍子に進んで内定を頂きました。当初は就活に必死だったけど、思い返せば大きな建物を見るとわくわくする自分がいることに気がついて。実際に現場に行って建物を建築することはしないけど、それでも、総務・人事・営業など裏方的な役割で携われることは嬉しいです。
2分間のプレゼンで惹き込まれた
現在は、まちづくりやボランティアに関わるゼミに所属しています。ゼミを知ったきっかけは、学内ホールでの2分間の教員によるゼミ紹介でのことです。そのゼミ紹介のトップバッターがいまのゼミの先生、結城先生でした。話を聞いた瞬間、「何だ、この先生は!?」と思いました(笑)2分間という短時間にもかかわらず、とても話に惹き込まれたんです。
結城ゼミでは様々なプロジェクトを通して中心となるリーダーを決めます。特に思い出に残っているものは、自分が中心となったプロジェクトでもあるまちづくりコンテスト・岸代官屋敷コンサート・創作和菓子コンテストの3つです。
テーマが『自転車』の大学生視点で観光プランを考えるまちづくりコンテストでは、自分たちで何度も足を運び、話し込みました。「小山市の観光地は?」「自転車でどこを回れるのか?」「どんなコースが良いのか?」等々、紆余曲折もあってとても悩んだコンテストでした。
岸代官屋敷コンサートとは、小山市下国府塚にある文化財登録されている岸さんというお宅で開催したコンサート企画です。所属する吹奏楽部では良い賞を取るために練習していたけれど、地元住民を対象としたこのコンサートを通じて、人のために演奏するという喜びを知り、「これが本来の音楽の姿であり原点なんだ」と感じました。
創作和菓子コンテストとは、小山市の蛸屋さんとコラボし、学生視点で様々な和菓子を考え商品化しようというコンテストです。和菓子にはあまり馴染みがなかったので、難しさを感じましたね。工場にも行ったのですが、学生が気軽にパクパクと食べられるような和菓子はなく、美味しいけどどれも重たかったんです。
「どうやったらより多くの学生から応募を集められるのか?」
「そもそも和菓子って何だろう?」
そんなところから始まりました。考えつつ、広報のためにポスターを作成し校内に配りました。結果、50件超えのエントリーがあって、時間と労力がかかっただけにとても嬉しかったです。例年、ゼミの活動は形を変えながら引き継がれるものがほとんどなのですが、このプロジェクトは急遽決まったので、新しいことをイチから考えなければならず大変でした。
活動のやりがいと原動力
ゼミなどの活動を通してのやりがいは、“自分の意見が言えるようになった”時に感じます。ごく当たり前のことだけど、もしゼミに入らなかったら自分の意見をしっかりと持ち、それを誰かに伝えるということは中々できなかったかもしれません。ゼミの活動を通して人脈も広がり、社会人とのつながりも一気に増えましたね。その時に自分の考えていることを話すことの経験が自分の中でとても大きかったです。
行動をはじめるきっかけは、“放っておけない”という自分の性格だと思います。例えば、何か問題が生じた時に見て見ぬ振りができないんです。「だったら自分がやっちゃおう!」「もっと良くしちゃおう!」という気持ちが強いです。小学生時に野球部、中学生時に吹奏楽部に所属していたということもあり、『一人欠けたら大きな影響が出る』という意識をなんとなく持っていて。自分一人で突き進んでいくよりも協調をとって周りと一緒に進んでいくこと、周囲を巻き込みながら進めていくことがもともと得意でした。
-課外活動について-
ウインドウオーケストラ部で部長をしています。主な活動は、大会や学祭に出たり依頼演奏をしたり。部活はサークルと違って敷居が高いイメージだったけど、フレンドリーで程々にゆるくかつちゃんと練習もする部活で、ここでなら4年間続けられそうと思って入部しました。3月の頭に定期演奏会の予定でしたがコロナの影響でなくなってしまったりと、今の部活は一時停止の状態です。
部長として大切にしていることは、『恐れず新しいことにチャレンジすること』
コンクールなど毎年の行事は決まっていますが、それ以外に夏休みを使っての合宿や古民家でのコンサート開催を提案したりと、新しいことをどんどん実践し、練習に入りやすい雰囲気を作ることを心がけました。以前は部活の出席率が悪かったので、部活に来させることがまず一番の課題でした。これまで先輩と話す時は、業務連絡や練習の話など一歩距離のあるものでしたが、行事ごとの親睦会など、練習以外の交流機会を意識的に増やすようにしました。
そして、仲を深めるということが結果として技術の向上につながりました。また、新しいことを取り入れることでマンネリ化しなくなりました。上からの指示ではなく、「こうしたらより良いのではないか」「こうしたらもっとお客さんが喜ぶと思う」など、下から意見が出てくるようになって、それがとても嬉しかったです。
『大学が後期から再開するのかどうか』に関心
最後の学生生活なので、「少しでもコロナ以前の日常に戻ってほしい」というのが今の正直な気持ちです。授業のオンライン化については仕方ないと思いつつも、やっぱり大学に行きたいという気持ちがあります。大学に行けない=部活もサークルもできない。行動が制限されてしまう現状は悲しいです。
あとは、卒業までの残りの時間をどう過ごしていくかということに不安があります。今はゼミのプロジェクトなど、できることに積極的に関わり動いていたい気持ちです。学内に入れないので学外でゼミを行っている状況で、部活ももちろんできないので、何か新しいことを始めたいとも思っています。
『日商簿記検定一級』と『初めての人とでも仲良くできるスキル』がほしい
日商簿記検定の3級と2級は取得できたのですが、1級は税理士さんレベルなのでとても難しいです。でももし取得できたら、自分ができることの幅が広がるんじゃないかと思っています。初めての人と仲良くできるスキルについては、社会人として必要なスキルだと思うからです。今後営業に行くことも増えると思うので、初めてのお客さんとコミュニケーションをとることは絶対条件として必要になります。
一方で、ゼミでは様々な人と関わってきたので、そのスキルは徐々に上がってきたかなと実感しています。スキルを得るために必要なことは、“人に会うこと”だと思います。当たり前のことだけれど、相手の話をしっかりと聞くようにしています。聞き側に徹することで大枠を理解し、疑問に思ったことはしっかり聞くということを大切にしています。
今の社会(日常)で良いなと思うことは、『挨拶と譲り合い精神』
地元では業務的な挨拶ではなく、道端など何気ない日常の中でちょっとした挨拶をします。それが良いなと思います。あと素敵だなと思うところは、譲り合い精神です。『譲り合い精神=助け合い精神』だと思っています。社会を回していくためにはみんなの力が必要で、色んな人がいる中で社会が成り立っています。その意識もあって、すべての人をすごく尊敬しています。
とは言え、最初は大手でステイタスのある会社がすごい、かっこいいと思うこともありました。でも、アルバイトやゼミなどで様々な仕事をしている方々と出会い、仕事をしている人は無条件にかっこいいと思うようになりました。例えば、交通誘導をする警備員さんや工事現場の大工さん、終電まで働く駅員さんや運転手さんを見ると、「社会はひとりひとりの仕事で支えられている」と切に思います。
互いの仕事を尊敬しあえる、認め合い精神のある社会で生きていたい
すべての人が優しい社会は正直難しいと思います。でも、定員さんもお客さんも信頼し合っているような社会は、少しの意識改革で実現可能です。定員さんはお客さんに対し、「買いに来てくれてありがとう」と思う。お客さんは定員さんに対し、「働いてくれて、商品を提供してくれてありがとう」と思う。そんな考え方が少しでも脳裏にあれば、いまの生き方が変わってくるんじゃないかなと思います。