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〈仕事紹介〉かえれる地元をつくる『株式会社kaettara』とは?

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みなさんは❝地元❞と❝地元ではない場所❞、どちらに就職したいですか?

就職する際に求めることは人それぞれですが、近年、やりたいことや好きなことができる場所を求め、地元から離れてしまう若者が地方で増えている傾向があります。

今回、そんな課題に向き合い『かえれる地元』を作るため活動する方にお話を聞いてきました!

今回お話を伺ったのは…

今回お話を伺ったのは、『かえれる地元をつくる』をビジョンに据え活動する株式会社kaettara代表、永井 彩華(ながい あやか)さんです。

プロフィール

kaettara代表 永井 彩華(ながい あやか)
栃木県小山市出身。都内の大学に進学するも、実家のある小山市から片道2時間かけて通学。その後、就職を機に上京。地方出身者が「地元で暮らし続けること」と「自分の好きな仕事をすること」を天秤にかけ、どちらかを諦めなければならないことに違和感を覚え起業を決意。現在も東京都に在住。

『株式会社kaettara』ってどんなところ?

kaettaraはどんなことをしている会社なんですか?

「どうしたらみんなが地元に帰れるだろう」ということを日々考えている会社です。地元に帰りたい人たちが帰れるように、そして暮らし続けたい人たちが暮らし続けられるまちとは、ということを考えながらまちづくりに関わっています。

そのひとつとして、地域で多様な挑戦をする方々を地域の外からサポートする仕事をしています

なぜそのような取り組みを行っているのですか?

地域の取り組みに対して、もっと外から企業や個人が関わるチャンスをつくることで、新たな産業をつくれる可能性があると思っているからです。例えば、小山市は地域活動に積極的だったり、企業していたりする女性が多いという特徴のあるまちなんですよ。

2年前から小山市で取り組んでいるのが『女性の活躍×デジタルトランスフォーメーションを推進するまち・小山市関係人口創出事業』です。パワフルな女性たちを可視化し、チームをつくり、情報を発信していくんです。

そうすると、「小山市の女性たちと連携して、地域の課題解決に取り組みたい」という企業と繋がることができるので、そこから何ができるか考えていく伴走もしています。なんと20社も手が上がったんですよ!

20社も!他にはどのようなことをされているのでしょうか。

いくつか紹介すると、栃木ゆかりのみという栃木県出身者を集めた企画や地域おこし協力隊の支援などを行っています。

都内に住む栃木県出身者が集う『栃木ゆかりのみ』とは?

『栃木ゆかりのみ』は、2015年2月に東京都で始まった企画です。現在は新型コロナウイルスの影響により、オンラインにて開催しています。

「首都圏に住んでいるけれど、栃木県についてもっと知りたい」「いつか栃木県に帰りたい」という栃木県出身の若者が参加し、栃木県由来のものを食べたり飲んだりしながら栃木県について考える場になっています。

『栃木ゆかりのみ』は最もハードルの低い栃木県との関わり方であり、栃木県出身の方ならどんな方でも参加することが出来ます。

それでは、『栃木ゆかりのみ』についてさらに詳しくお話を伺ってみましょう!

『栃木ゆかりのみ』を始めたきっかけってなんですか?

私自身、栃木県を離れて東京都に住んでみて「理想的な形で地元に帰るにはどうしたらいいんだろう」「私は地元に対して何を求めているんだろう」という想いを抱くようになりました。そして、「都心にいながら栃木県に対して何かできないだろうか」と思ったことがきっかけで『栃木ゆかりのみ』という名前で栃木県出身者を集めたイベントを始めたんです。当初は、「栃木県出身者、上野に集まれ~!」という呼びかけをSNSで行い、人を集めましたね。

なるほど。当時はオフラインでの開催だったんですよね!『栃木ゆかりのみ』にはどのような方が参加しているんですか?

いつか地元に帰りたいという想いを持った方や地元に帰るかどうか悩んでいて情報を求めている方、もう地元に戻らないことを決めているものの今いる場所から地元に貢献したいという想いを持った方が集まりますね。年齢層で言うと学生は少なく、社会人が多いです。

学生は参加できない訳ではないんですよね?

もちろんです!学生も大歓迎です!

オンライン化して分かったことが、オフラインでやる場合とオンラインでやる場合では、結構違う人が来るんですよ。オフラインでやると食べ物とか飲み物を持ち寄って行うので、「友達ができそう」っていう感じでゆるく来る人が多いんです。それに対して、オンラインでやると結構本気度が高いというか、ビジネスパーソンが多いんです。

『栃木ゆかりのみ』では、各市町の自治体職員さんに有志でご協力していただいているんです。その方々から今の市町のことをお話していただくんですけど、その内容がネットでは出てこないディープな産業や暮らしに関することで、参加者にとってはとても貴重な一次情報になるんです。

なるほど!同じ企画でも、どう開催するかや得られるものによって参加者に違いが出てくるのは面白いですね。『栃木ゆかりのみ』を開催してみて永井さん自身に何か変化はありましたか?

現在まで『栃木ゆかりのみ』を続けていて、延べ1200人ほどの栃木県出身者たちの声を聞いてきました。当初は「仕事がネックで地元に帰れない」という声が多く聞こえました。でも、本当にそれだけなのかなという疑問があって。

まだ本人たちも、私自身も言語化できていない理由がある気がしていました。なので『栃木ゆかりのみ』を通して色々なキーパーソンに出会い、地元のことを知り、何ができるのかを考えてきました。そういったことをしていたら居ても立っても居られなくなり、株式会社kaettaraを立ち上げることにしたんです。

『栃木ゆかりのみ』がkaettaraを設立するきっかけになったんですね。1200人もの参加者たちの声を聞いてきた中で印象に残っているものはありますか?

昔の地元のイメージから今の地元のイメージをアップデートすると見える景色ってやっぱり変わるし、求めているものも変わるという話ですかね。

『栃木ゆかりのみ』は、今の地元のことを知り、自分には何ができるかということをみんなで考える時間でもあるんです。そうすると、学生時代に見ていた地元の景色や地元に求めていたものと、社会人になって数年してから見る地元の景色や地元に求めているものって全く異なるんですよね。そういった変化に対する声は特に印象に残っています。

より多くの人に参加してもらってその変化に気づいてもらえたら嬉しいですね。最近では栃木県外でも『ゆかりのみ』を開催しているんですよね?

はい。昨年1年かけて栃木県の25市町村を一周したんです。そのとき、「これって別のエリアでもできることだな」と思い、他の都道府県でも始めました。『全国かえれる地元をつくるプロジェクト』と名付けて、オンラインで青森県・群馬県・京都府で市町村単位で一つずつ巡って開催しています。

その中で大切にしているのが、「その地域の出身者と一緒にやる」ということです。やっぱり、その地域に愛着を持っている人が推進すると熱量が違うので、関わってくださる人みんなに伝わるんです。なので、他の地域で開催する時は、その地域の出身者と共に運営しています。ちなみに群馬県では、現在東京都に住んでいる群馬県出身の2人の女性と一緒に企画していて、1年間で5つの市町村で開催しました。

2015年に栃木県から始まった『栃木ゆかりのみ』。今では、栃木県から飛び出して3つの都道府県で開催されていました。いつか47都道府県の全てで開催される日が来るのではないでしょうか。

「自分の地元をテーマに開催されるのではないか」と思うとワクワクしますね!

『地域おこし協力隊の支援』ってどんな仕事?

続いて、『地域おこし協力隊』の支援について聞いてみましょう!

ちなみに、みなさんは『地域おこし協力隊』というものを知っていますか?

『地域おこし協力隊』とは、1年から3年の任期の間、過疎化や高齢化の進む地域に移住し、地域協力活動を通して、その地域の活性化や移住定住者の受け入れを図る取り組みです。

どうして『地域おこし協力隊』の支援を行っているのですか?

一番の理由としては、私たちには「かえれる地元をつくる」という目的があるので、その手段として『地域おこし協力隊』という制度はとても良いと感じているからです。私たちは『地域おこし協力隊』が思う存分活躍できるように、もっと地域で受け入れやすくなる土壌作りや住民の方々を巻き込んでの採用活動などを行い、支援しています。昨年度は真岡市で行って、とっても素敵な方々が着任されたんですよ!

会社員から『株式会社kaettara』を設立するまで

現在はかえれる地元をつくるために活動している永井さんですが、ご自身も就職を機に栃木県から離れました。

そこで、会社員から株式会社kaettaraを設立するに至るまでのお話を聞いてみることに。

永井さんもはじめは東京都内の会社に就職されたんですよね。どうして東京で働こうと思ったんですか?

実は、元々は地元で教師になろうと思っていました。それで教育学部に進学したのですが、大学2年生のときに「教師という仕事しか考えたことなかったな」ということに気付きました。そこから、「自分は何がしたいのか」ということをゼロから考えたとき、辿り着いたのが地元にない仕事だったので、地元から出ることにしました

確かに、将来のビジョンを考え直す機会って中々ないですよね。当時はどんなお仕事をされていたんですか?

はじめはWEBマーケティングの仕事がしたくてIT企業に就職しました。でも新卒3日目くらいで、すでに栃木県に関わる活動をしようと目覚めてしまって、栃木県に対して何ができるかということをずっと考えていましたね。

『栃木ゆかりのみ』を開催する前から独立することは決めていたんですか?

いえ、『栃木ゆかりのみ』を始めてから独立を考え出しました。最初は自分自身が、理想的な形で地元に帰るのはどうしたらいいのかについてを考えていたのですが、想像以上に同じような想いを持つ人がいるんだと気付いて。なので、地元に帰りたい・関わりたいと願っている人たちみんなの理想が叶うような状態にしたいと思ったことが大きかったですね

継続とコミュニケーションで信頼を得る

これまで大変だったことや苦労されたことはありましたか?

まずは、地域でチャレンジする土俵に上がるということです。私自身、何も繋がりがない中で東京に住んでいる立場として、「地元で何かしたいです」という勢いで地域の色々な場所に足を運びました。地域に貢献したいと思っても、そのきっかけを0から考えるのはやっぱり苦労しましたね

また、kaettaraは自治体や地域のみなさんと共にチャレンジする会社なので、そこまでの信頼を得ることは一朝一夕にはできないんだなということを今になって感じています。「やりたい」という想いだけでは一緒にやってもらうことは出来ないので、「どうやって信頼を得ていくか」ということは常に考えています

永井さんは様々な方と関わりながら事業をされていると思いますが、信頼を得るために意識していることはありますか?

意識していることの一つが継続することです。私は、「地元に帰りたい人が沢山いる、そういう人たちが帰れる地域をつくりたい」っていうことをずっと言い続けていて、それを実現するために『栃木ゆかりのみ』を始め、株式会社kaettaraを設立しました。『栃木ゆかりのみ』は、1年ぐらいやったところで「頑張ってるね」って言ってもらえるようになって、3年やってようやくその分の信頼が積み上がっていることを感じました。続けること自体も信頼に繋がっているのかなと感じます

なるほど。kaettaraの事業を進めていく上で、一緒に活動する仲間という存在も必要だったと思うのですが、そういった仲間を増やすためにも何か工夫されたのでしょうか。

最初は仲間の作り方も分からなかったですね。そんな中でもこれをやったら変わったなと思うのが、『かえれる地元をつくる』という言葉に辿り着いたことです

やりたいことや目指すことを一言で言えるようになってから、応援してくれたり人が集まってくれるようになりました。

「おかえり」と言ってくれる存在とチャレンジの余白がある地域

多くの選択肢がある東京都にいながらも、栃木県と関わり続ける永井さん。そこには、どのような理由があるのでしょうか。

永井さんが帰りたいと思う地元ってどんなところですか?

私の地元である小山市には、「おかえり」と迎えてくれる、地域に誇りを持った女性たちがいるんです。私の心の支えになっていますね。それが『おやまワガママLab』というNPOですね。

おやまワガママLab』は、kaettaraが行ってきた『女性の活躍×デジタルトランスフォーメーションを推進するまち小山市・関係人口創出事業』でできたつながりから生まれた、女性を中心としたNPOなんです。

代表理事は「地域全体で子育てをしよう」ということを信念にしている女性で、地域の人からの信頼も厚い方です。他の理事やメンバーたちも小山市で事業や活動を積極的に起こしています。小山市に帰ってきたら、その人達が「おかえり」と言ってくれて、もし私が小山市で子育てをするとしたら「一緒に育てるよ」って言ってくれるんです。

支えてくれる人が地元にいるって、本当に心強いことですよね。

そうなんです。頼れる人たちがいて、かつその人たちがチャレンジ精神旺盛な人たちだということが本当に自分にとっての救いだなと思っています。だから、エネルギッシュな人たちが可視化されているっていうのは、暮らしやすく選ばれるまちになるんじゃないかなと思いますあとは、チャレンジの余白がどれだけあるかということですかね

チャレンジの余白、ですか?

まちの魅力は、地域にあるものをどれだけチャレンジの材料に使えるかというところにあるんじゃないかなと思うんです。地域に素晴らしいものがあって、それを使って何かしたいと思ったときに、何かしらの理由があって活用できないということはよくあることですよね。

さらに、挑戦を応援してくれる人たちと出会いやすいかどうかも大切だと感じています。そういったチャレンジの余白がどれだけあるかということが、若い人たちに選ばれやすい地域だと思います。

これからについて

『かえれる地元』を作るために様々な方面から地域にアプローチし、課題解決に取り組む永井さんですが、今後どのような活動をされる予定なのでしょうか。

最後に、永井さんの未来について聞いてみました。

これから力を入れていきたいことはどのようなことですか?

小山市で行ってきた『女性の活躍×デジタルトランスフォーメーション』をテーマにした取り組みをさらに深めていきたいです。「かえれる地元をつくる」を据えて様々なことをやってきましたが、これこそが若者たちにとって帰りたい地元をつくることができる事業だと確信が持てました。

小山市で取り組んできた2年間の成果報告をしたオンラインイベントの動画がこちらです。デジタル庁の牧島大臣からの応援コメントをいただくことができました。

デジタル庁からのコメントですか!今後さらに注目があつまりそうですね。

今後はこれに特化した新しいチームを作り、全国の皆さんと推進していきたいという野望が生まれました。立ち上げから関わっていただける方、絶賛募集中です!

素敵なお話をありがとうございました!

みなさん、いかがでしたか?

もしかしたらこれを読んでくださっている方の中にも、大学や就職を機に地元から離れた方や離れようと考えている方もいるかもしれません。

株式会社kaettaraについて知ること・関わることで、地元を思い返すきっかけになるのではないでしょうか。

気になった方は、『ゆかりのみ』や『女性の活躍×デジタルトランスフォーメーション』をはじめとする様々な事業にぜひ参加してみて下さいね◎

会社情報
株式会社kaettara
住所:〒112-0014 東京都文京区関口1-32-10 1F
公式HP:http://kaettara.co.jp/