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〈WORK TRIP 参加者募集中〉地球にやさしい“再生可能エネルギー”をより身近に。私たちとエネルギーの未来をつくる『鶴田電機株式会社』の仕事

NPO法人とちぎユースサポーターズネットワークが主催する、地域で活躍する企業への一日訪問プログラム『WORK TRIP』

旅するように仕事と出会い、話やネットなどの机上だけでは分からない「企業ってどんなところ?」「働くってなんだろう?」を実際に体験します。

今回の舞台は、茨城県古河市を拠点に、再生可能エネルギー1に必要不可欠なトランス(変圧器)やパワーボックス(電源供給ラインの最終ラインに位置づけられる電源モジュール)の設計から納品まで手掛ける『鶴田電機株式会社

鶴田電機株式会社(外観)

トランスとは日本語でいう“変圧器”に相当する電子部品であり、利用に応じた電圧に変換することができます。例えば日本と海外では電圧が異なるため、日本の電化製品をそのまま海外で使用すると壊れてしまいます。また、発電所でつくられた電気は高圧のため、そのまま家庭や施設などで使用することができません。そこで、海外や各施設に最適な電圧に変換する役割を担う機器がトランスです。

企業や各種法人の方々に向けた“業務用トランス”を設計〜納品しています

パワーボックスとは、トランスにブレーカーやヒューズ2といった安全に使用するための保護装置を付加した、電源供給ラインの最終ラインに位置づけられる電源モジュールです。

パワーボックス(提供:鶴田電機株式会社)

現在はトランスとパワーボックスを中心に、電子顕微鏡やMRIなどの医療機器、半導体製造装置の電源、再生可能エネルギーの太陽光に関するトランスなど、様々な製品を手掛けています。

また、CE・UL・CSAなど各種規格に適合している鶴田電機株式会社の製品は、世界50カ国以上で使用されています。例えば、コンビニの保冷車やアトラクションの緊急停止装置、飛行機会社の電源など。国内外問わず、私たちの身近なところで鶴田電機株式会社の製品は使われ、生活を支えているのです。

今回、2024年5月17日(金)に『WORK TRIP』を開催予定とのことで、代表取締役社長の鶴田 潤(つるた じゅん)さんに鶴田電機株式会社の事業内容や変遷、独自性についてなど、様々なお話を伺いました。

代表取締役社長 鶴田 潤(つるた じゅん)さん

事業を行う意味を、原発事故から紐解く

義父の鶴田 長盛(つるた ちょうせい)さんが1973年に創業した鶴田電機株式会社を27歳(2001年当時)で引き継いだという鶴田 潤さん。社長に就任してから現在に至るまで、国際規格に準拠したトランスを製造したり、東日本大震災を機に太陽光発電用のトランスの供給を始めたりと、会社としての大きな変革のタイミングでもありました。

1995年、EU各国の安全基準を統一し、各製品がEU域内を自由に流通できることを目的とした“CEマーキング制度”が始まりました。当社のトランスは海外向けの産業機械や工作機械などの部品にも使用されていたので、取引先企業に「CEマーキングに適合したトランスを製造してください」と言われたんです。そこで、試行錯誤しながらも1996年にCEマークを表示した製品を完成させました

国内・海外の各種安全規格を業界トップで取得。『海外規格サポートシステム』も!(参照:公式HP

引き継ぎされてから“国際規格の取得”という重要な役割を担われていたのですね。CEマーク以外にも取得された規格はあるのでしょうか?

CEマークの取得後、米国で製品安全規格“UL規格”が強化され、取引先企業に「UL規格を取得した製品を納品してください」と今までの製品をすべて返却されてしまったんです。そこですぐに米国に飛び、打ち合わせを行い、UL規格を取得しました。

そんな風に、世界が変化すると国内にも大きな影響が生じるんですね。今まで積み重ねてきたものがすべてダメになるので大きなピンチですが、逆に乗り越えていくチャンスでもあります

“ピンチをチャンスに変える意識”が新しいものごとを生み出す上で大切なんだ…!

その後、高付加価値のパワーボックスの製造を始めたり、リーマンショックにより打撃を受けたりと、様々な道のりがありました。中でも衝撃的だった出来事は、2011年3月に発生した『福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)』です

三つの原子炉が同時にメルトダウンを起こした重大事故ですよね。

そうです。これまで原子力関係の仕事に複数回携わる中で、「原子力スペックが守られていない」という共通した課題があることに気がつきました。なぜかというと、予め決められた予算に応じて様々な部品のスペックが落とされてしまうから。それが原発事故を機に明白になりました。

あとは、国がブラックアウト3を想定せずに原子力発電所をつくっていたということです。その結果、いとも簡単に原子力発電所が崩壊したんです。

「どんな時でも原子力発電所には電気がいく」という想定でつくられていたがゆえに、電源の供給が絶たれてから燃料の冷却ができなくなり、結果として水素爆発が起きてしまった、と。

その通りです。我々にとって、装置設計する際には必ず“Fail-Safe4を行うことが自明でした。しかし、原子力発電所という高リスクな設備に対して国がFail-Safeを行っていなかったことが事故後に発覚し、とても衝撃を受けました

基本的に再生可能エネルギーは不安定なものなので、“ベースロード電源5が必要なんですね。その安全性がしっかりと担保されているならば、原子力発電所は非常に良いものなんです

それはなぜでしょうか?

地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出せずに発電を行うことができ、エネルギーの自給自足などの効果が見込めるからです6。原初事故が起きる前、京都会議で「日本は6%の脱炭素化を図る」と世界に向けて公約していました。なぜなら日本は、石油や石炭ではなく原子力により発電していたから。しかし事故後、原子力発電所はすべて停止され、日本は爆発的に二酸化炭素を出す国へと変貌を遂げてしまったんです

6%の削減どころか沢山の二酸化炭素を排出する国になってしまったんだ…

そうなんです。ただ「それではいけない」ということで、当社としてもより多くの再生可能エネルギーを出すために、まず最初に風力発電を手掛け、その後太陽光発電に着手しました。脱炭素化に向けた再生可能エネルギーをつくる当社の事業は、原発事故を機に大きな疑問が生まれ、その疑問を解決しないといけないという使命感のもと行っているものです

工場に設置されたロゴマーク(左)とSDGsマーク(右)

Co2排出量0を目指す!会社が実践する“全量自家消費型太陽光発電システム”とは?

2015年に主力製品の“太陽光発電用のトランス”の供給が始まったということですが、そのような時代背景が起因していたのですね。太陽光発電用のトランスとはどのようなものなのでしょうか?

太陽光パネルで発電した電力は“直流”になるので、家庭で使用できる“交流”に変えるために“パワーコンディショナー”という機器が必要になります。のちに海外製のパワーコンディショナーが日本に多く輸入され始めたのですが、海外の電圧(400V)と日本の電圧(200V)は異なります。そこで、その電圧を変換する役割を担う機器が“太陽光発電用のトランス”です。

太陽光発電用のトランス

当社は“Co2排出量0”を目指しており、数多くの太陽光パネルを導入しています。また、余った電気を蓄える“蓄電池”を導入し、夜間や停電時、災害時や悪天候時に蓄えた電気を流すことで工場を稼働させています。当社の工場はRE307で、全体の30%の電力を太陽光により発電しています

“全量自家消費型太陽光発電システム8の生産体制を整えるため、2023年に設立した新工場はRE94.8と、ほとんどRE100に近い形で稼働しているんですよ。また、当社は古河市と締結し、災害時に誰でも利用できる“電気供給スポット”にもなっています。

RE94.8を達成している新工場(提供:鶴田電機株式会社)
駐車場の屋根に設置された太陽光パネル。裏側にも設置することで反射を利用し、より効果的な発電を促しています

こだわりは“お客様と社員の幸福の創造”と“徹底した顧客志向”

事業内容についてとても理解が深まりました…!私は文系なのでこの分野には疎いのですが、私たちの暮らしやこれからの日本を考える上で欠かせない事業なのだと身に染みて感じています。鶴田社長は、どんなことを大切に会社を経営されているのでしょうか?

“お客様と社員の幸福の創造”を大切にしています。実は、お客様の幸福と社員の幸福は表裏一体なんですよ。

お客様の幸福と社員の幸福は表裏一体…それはどうしてでしょうか?

社員が幸福であることによって初めて『良い製品』が出来上がり、結果としてお客様の幸福につながるという“相乗効果”が生まれるからです。

そしてお客様に提供する『良い製品』とは、『QCD9が良い製品』ということ。「品質が良く、コストが最適であり、すぐに手に入ること」を大切にものづくりを行っています。

なるほど!社員の幸福の創造のために会社として行っていることはありますか?

社員の健康に目を向けることと、ワーク・ライフ・バランス10を意識づけることですね。社員には「手帳に自分と家族の誕生日をマークした上で仕事の予定を入れてくださいね」と伝えています。

仕事に身を削るのではなく、プライベートな時間をしっかり確保することも大切なんですね。

プライベートと仕事のバランスはとても重要です。例えば、昨日まで元気に働いていた方が家族と喧嘩して嫌な気持ちで会社に来ると、やっぱり仕事の質が下がるんですよね。プライベートが幸せであれば仕事のモチベーションも高まります。反対にプライベートで色々な問題を抱えてしまうと仕事ができなくなり、場合によっては会社に来ることが難しくなってしまいます。

私もワーク・ライフ・バランスを改めて見直したいところです…。ところで、国内外の規格に準拠したトランスやパワーボックスの設計から納品まで手掛ける独自性あふれる鶴田電機株式会社ですが、他にも会社としてのこだわりはありますか?

“徹底した顧客志向”です「お客様の要望をすべて素早く形にする」というところは当社のこだわりであり強みですね。創業51年目ですが、経営の意思決定を早くするためにあえて上場していないんです。太陽光発電の業界ができてから十数年しか経っておらず変化が絶えないので、当社もどんどん技術革新しなければなりません。これから激動の数年が続きますので、しばらくは非上場企業として進んでいく予定です。

どうしてそんなに素早い意思決定が可能なのでしょうか?

幸いなことに、私自身がエンジニアだからです。なので、技術部のエンジニアが「どんなことを考えていて何を伝えようとしているのか」すぐに理解でき、提案があった際に即決・即答することが可能なんです。素早い意思決定が求められる業界の中で、当社はかなり早いスピードで意思決定を行っています。

エネルギーを安定させる鍵は“蓄電池”?新会社設立の背景とこれから

意思決定の早さには社長自身がエンジニアゆえの強みがあったのですね。最後に、鶴田電機株式会社のこれからについて教えてください!

風力発電や太陽光発電の一番の欠点は、天候によって左右されることです。例えば、風力発電は風がなくなったら止まりますし、太陽光発電は雨や雪の日は発電量が下がり、夜間は発電できません。そんな風にとても不安定なんですね。それらの安定性を担保するために必要なものが“蓄電池”です。そして2024年に、お客様に製品と情報を提供する『B-Innovation株式会社11を設立しました。

少し経緯をお話します。今年1月に能登半島地震が発生し、取引先店舗の復旧支援のために被災地に駆けつけた際、「電池はあるのに使用できない」という状況に直面しました。つまり、懐中電灯やランタンなどの“もの”がないと電池が役に立たない。電池は単体で販売されているけれど、その使い方を説明している会社って実はほとんどないんですよ。そこで、「どうすればより有効に電池を使うことができるのか」を実証できる工場を持っている当社が、お客様に製品や情報を提供しようと思ったんです

電池の弱いところは、“発電して瞬間的に使う”という中で蓄えられなかったこと。蓄えを深めていけばエネルギーが安定しますし、そこを考え実践していくことはこれからの当社の課題だと思っています。

実際に働く社員に聞いた!業務内容や会社の実態とは?

鶴田電機株式会社の事業内容や変遷、これからについて理解が深まったところで、“働く”というより具体的なイメージを持つため、実際に技術部で働く社員二名にもお話を伺ってみることに。

全体の社員数158名のうち、技術部には10名の社員が在籍しています。約半数が新卒入社で、様々な研修制度を利用しながら学んでいく方が多いそう。中には全く知識や経験がない状態で入社し、一から学び活躍されている方もいます。

今回お話を伺ったのは…

《パワーボックスの設計担当》技術部 課長 T.Tさん
《トランスの設計担当》技術部 T.Sさん

《行っている業務》トランスとパワーボックスの設計

普段、どのような業務を行っているのでしょうか?

主にパワーボックスの設計を担当しています。仕事の流れとしては、まずお客様からの問い合わせに対して回答、または必要に応じて打ち合わせを行います。打ち合わせ後は、ご提案する図面仕様と見積書を作成し、それらを元に仕様が確定しご発注いただきます。そして製品を受注したら、製造部に「こんな風に製造してください」と渡す指示書を作成します。場合によっては完成した製品の出荷試験に立ち会い、品質などをチェックすることもありますね。

他にも、新製品の開発やカタログの制作、展示会への参加など、多岐にわたる業務を行っています。

T.Tさんは社外に設置された“太陽光発電自家消費システムの設計”にも携わっています

私はトランスの設計を担当しています。お客様によって必要な電圧や容量が異なるので、要望に応じた製品を設計し、製造部に渡す指示書を作成しています。

CAD12を用いてトランスを設計するT.Sさん
* 技術部から指示書が送られた工場(製造部)では、すべて手作業でトランスの製造や組み立て、ニスの吹き付けなどが行われています
① コイル製造
② 組み立て・製造
③ ニスの吹き付け

《働こうと思ったきっかけ》新卒入社でも活躍できる環境

鶴田電機株式会社で働こうと思ったきっかけはなんでしょうか?

合同会社説明会で社長と部長に会い、話を聞く中でお二方の雰囲気がとてもいいなと感じたんです。その後工場見学に行き、会社の雰囲気を見て入社を決意しました。一人ひとりの力がとても重要な環境で、「力をつけたら自分も活躍できるんじゃないか」と思えたことがひとつの決め手です。

宇都宮大学 工学部 電気電子工学科で学んでいた知識を仕事に活かすT.Tさん

実家から会社がほど近かったのと、「大学で学んだことを活かしたい」という想いから入社しました。初めてトランスの設計に携わりましたが、研修制度が充実しているので新卒入社でも安心して働くことができています。

《大切にしていること》円滑なコミュニケーションとワーク・ライフ・バランス

働く上で大切にされていることはありますか?

コミュニケーションですね。10年も働いていると部下が沢山できますし、他部署の方と関わる機会も沢山あります。働く上での一番の目的は“利益を出すこと”なので、コミュニケーション不足でその目的が達成されないことは避けなければなりません。なので、部署関係なく色々な方と円滑にコミュニケーションを取ることは、仕事の質を高める上でもとても重要だと思っています。

「社内の雰囲気は穏やかで真摯に落ち着いて仕事に取り組んでいる方が多い」と語るT.Tさん

ワーク・ライフ・バランスを重視し、要領良く仕事を行い、早く帰宅することを心がけています。仕事の質やモチベーションを高める上で、プライベートな時間の確保はとても大切ですね。

《会社の魅力》若い方が働きやすい風通しの良さ

働く上でいいなと感じていることはありますか?

風通しがいいですね。たまに部長に噛みついてもある程度許容してくれるというか…(笑)部内には厳しい上下関係などはありません。

たしかに、風通しはすごくいいですね。技術部にはある程度の知識と経験が必要なので年配の方の割合が高い会社も多いですが、当社の技術部は20代〜40代と全体的に若めです。有給や休暇なども取りやすく、上の年齢層の方も若い方の気持ちが分かるので、働きやすい環境だと思いますね“部署関係なく色々な方と仲良くなれる”というところもひとつの魅力だと思っています。

《これからの目標》業績の向上と一人前になること

実際に働く方にお話を伺うことで、社内の雰囲気や仕事についての具体的なイメージを持つことができました。最後に、お二人のこれからについて教えてください!

入社時よりも社員数が増え、会社の業績もすごく伸びています。そこは「頑張ってきて良かったな」と心から思います。同時に、業績を維持しながらもどんどん上げていくために、様々な新製品を開発したいと思っていますあとは、もっと働きやすい環境をつくりたいですね。社内には非効率なところが沢山あるので、技術部の視点を活かし、会社全体をより効率化できるように動いていきたいです。

とにかく自分の仕事を覚えることですね。現在トランスの設計を担当しているのが私と上司の二名だけなんです。私はまだ未熟なので上司への確認依頼が多く負担をかけてしまっているので、早く仕事を覚えて一人前になり、仕事を効率化させたいです

ありがとうございました。これからも頑張ってください!

一見馴染みのないようで、実は私たちの暮らしに欠かせない“トランス”と“パワーボックス”。安全・安心な日常生活を支えるとともに、環境に配慮した持続可能な“再生可能エネルギー社会”を実現するため、国内外で使用される様々な製品の研究・開発・製造を行っています。

少しでも興味を持った方は『WORK TRIP』に参加し、仕事のリアルを体感しながら会社の実態や働くことへの理解を深め、将来の選択肢を広げてみませんか?あなたの興味・関心、ひいては世界が広がるヒントがここにあるかもしれません。

お待ちしています!(提供:鶴田電機株式会社)

『WORK TRIP』について

— 若い方へ向けたメッセージ —

理系の方には技術・開発部門に、文系の方には営業・マーケティング部門に興味を持っていただきたいと思っています。学生のみなさんには専門分野の勉強はもちろん、“学生じゃないとできない経験”を沢山積んでいただきたいです。例えば、一生懸命アルバイトする、一生懸命遊ぶ、一生懸命友達と飲み会する。それでいいんです。そんな風に色々なことを経験することにより社会性が身につき、自分の考え方の基礎ができていきます。

また、これからの時代を生きていくためにも語学を学び、海外で視野を広げるとより良いのではないかと思います。それらの知見を持って企業に入った際、自由でやわらかい発想のもと、一つひとつ夢を実現していってほしいです。

当社として期待する成果は、“若く柔軟な発想を持って新しいものをつくり上げていく”“最終的に利益を出せる人になる”こと。ただそれはすぐにはできないので、色々な経験を積み重ねながらできるようになってほしいと思っています。