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放置林でサバゲーをし、林業従事者を元気に ー株式会社フォレストーリー代表 勝泉貴さん

テーマが「造林」のサステナブルフォレストアクションというビジネスコンテストで優勝したのをきっかけに「株式会社フォレストーリー」(https://forestory.co.jp/)を仲間と設立した勝さん。「フォレストーリー」とは、放置された山でサバゲーをする事業です。放置した山とサバゲーのフィールドはとっても似ているとか。勝さんはどんな想いで事業を始めたのでしょうか。

きっかけは、「木の魅力」に触れたこと

 4年前ホンダの研修の一環で新規事業を考えて半年間活動するというプログラムに参加し、木の魅力にはまります。木は本業で扱う鉄板とは対極にあり、素材として不揃い。鉄板について語ると一義的に決まってしまいますが、木の話になると厚み、匂い、触り心地と話が尽きません。半年後にそのグループは解散しましたが、勝さんと数名の有志は続けました。

 栃木県壬生町の「嘉陽が丘里山の会」の持山を借りて、サバゲーをする人にフィールド使用権を渡し、フィールド利用料をもらいます。又貸しのお金は「山の持ち主+造林サポートのお金を市町村に+フォレストーリーに一部」という分配です。主は持っているだけでお金にならなかったものがお金になり、市町村はそのお金を山林の管理に充てられます。

 2021年1月17日に、実際に少人数でお試しのイベントを開催しました。
イベント詳細はこちら(https://beforester.net/

木が負の遺産になってしまう

 調べれば調べるほど木の問題が根深いことが分かりました。戦後の日本は10数%しか森林がなく、「はげ山」でした。それにもかかわらず現在67-68%の森林があります。それは、戦後の人が未来の子どもたちの家のためや暖を取れるようにと、たくさん木を植えたと知ります。その頃、家の材料は木であり、燃料も薪でした。しかし現在、燃料はガソリンに代わり、家はコンクリートに代わり、紙はP Cに代わってしまいました。

 木を育てるのには50年かかります。50年前に未来を思って植てくれた木の利用価値がなくなってしまうかもしれない。

 さらに木は成長するときに二酸化炭素を多く吸い、50-70年と過ぎると、成長しなくなり、酸素・二酸化炭素排出量が同じか、もしくは二酸化炭素排出量が多くなってしまう。つまり、たくさん木があったら二酸化炭素を吸い、環境にやさしいというわけではなくなってしまうのです。

 そんな中、山の管理をする人がいない現状も知ります。本来山を管理するのは山主なのですが、お金・技術がないことで管理ができません。昔は山を持っていれば持っているだけ資産家と言われていましたが、持っていた人が亡くなり、兄弟に分割して相続されるうちに相続されて山を持っているだけの人が増えてしまいました。

 「何か手を打たないとこのままじゃ大好きな木が負の遺産になってしまう」。過去の先人たちの想いを、ギリギリ孫世代の自分が未来に繋げなければいけない。だったら自身でやってやろう、と勝さんは思いました。

原動力は「木が好きだから」

勝さん:“単純に木が好きなんです。最初から木が好きでしたが、調べていくうちにもっと好きになりました。元々やるからには勉強して突き詰めたいタイプなんです。

 また、気づいてしまった事実に対して自分がやりたいと思っただけで、それ以上はありません。まだお金にもならないし、体力や精神力をすり減らしてお金も持ち出しているので恩恵があったわけでもない。参加すると同じような志を持った人がその場にはいて、そう言う人たちに感化されどんどんのめりこみ抜けられなくなった感じです(笑)“

壬生町を元気にし、林業従事者の希望に

 将来的に壬生町とコラボしたツアーを企画しています。朝は集合場所から高速バスで壬生に来てランチは壬生のお弁当を道の駅に協力してもらい、サバゲーは壬生の森、終わって温泉・ホテルも壬生に泊まってもらい翌日は壬生散策をして、壬生のお土産を買い、壬生から楽しい壬生の思い出をもってバスで帰ります。

 壬生町は勝さんの生まれ育った街ではなく、とちぎユースサポーターズネットワークの事業発表プログラムに参加し、偶然一緒に発表した浅野さんから紹介をしたい人がいると連絡を受け、壬生町の鈴木さんを紹介されました。この方は壬生町をよく知っている方で、事業におけるキーパーソン。壬生の未来について密にコミュニケーションをとり、これからの壬生について熱く語り合いながらこの街を盛り上げていきたいと考えています。

 カラオケやボウリングもない壬生で子供たちを外に連れ出す手段として確立することも狙っています。山ではサバゲーだけでなくかくれんぼもできるので、小さな子どもでも遊べます。

 また、日本で林業に関わる人の希望になりたいと話します。
自分たちは零細産業だからと暗い顔をする林業従事者を見ると、山は儲かるとか、興味ある人が多い未来になって欲しいと願います。

 ドイツの林業従事者はフォレストワーカーと呼ばれ、日本人にとって医者くらいステータスと稼ぎがある、羨ましがられる職業だそう。それに比べて日本の林業は、自給自足に近い、結婚できない、結婚し子供を産んでも育てられるのか、といった不安ばかりになっているのが現状です。また、結果が出るのが50年先なので、その間孤独で、労災も多く厳しい世界です。勝さんたちが提案したサバゲー事業が木を切る以外の収入源として一般的になるのであれば未来が変わり、林業従事者は結婚もできるし、子供も産めるし、好きな仕事を続けられます。そんな風に、一次産業がもっと尊敬されるべきだと勝さんは考えています。

若者に伝えたいこと

勝さん:“共創”という言葉を大切にしています。「迷惑かけたらどうしよう」じゃなくて、「かけるのが当たり前」って思わないと何もできない。 楽しむ範囲で人を巻き込んでいけばいいのかなって最近思うようになりました。そして、「こういうことやってる」、「こういうことやりたい」、「これで困ってるから助けて欲しい」と発信していたら、喜んでやってくれる人がいることを知りました。そんな人を大事にしていると、「やってみよう」という気持ちになります。私、無茶苦茶なんですよね(笑)。宇都宮の人なのに急に壬生に来て「山貸してくれ」と言って、「いいよ」って言ってくれる人がいる。その街の困りごとにとっていい提案だったらなんでもいいかなと思って事業をやっています。

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勝さんのサイトも見てね!

■オフィシャルサイト「株式会社フォレストリー」  https://forestory.co.jp/   

■サービスサイト「BE FORESTER」    https://beforester.net/ 

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