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学生の声

「ほっとけない」を原点に、挑戦し続ける。ー宇都宮大学/笹原 尚人さん

学生の声

今回インタビューをした笹原尚人さんは、宇都宮のグルメを発信する「みやメシ応援隊」や起業家創出プロジェクトなどの活動を行っています。積極的に活動を続ける根底にあるのは「ほっとけない」という気持ち。その気持ちをいつまでも持ち続け、活動する様子を伺いました。

プロフィール

笹原 尚人(ささはら なおと)
宇都宮大学 地域デザイン科学部 社会基盤デザイン学科 4年生

海外を旅し、その影響からNGOでのインターンを始めたが、コロナにより帰国。何かをしなければならないというときに、大好きな飲食店がつぶれるという経験をし、宇都宮市の飲食店を応援したいという想いから、「みやメシ応援隊」を立ち上げる。現在休学中。

宇都宮市の飲食店を応援する「みやメシ応援隊」を法人化したい

現在活動しているみやメシ応援隊を法人化することが短期的な目標です。
昨今の状況で厳しい状況に陥っているお店が昼営業を辞めたり、当面休業を決めたりしていることに問題意識を持ち、「テイクアウト」できる飲食店を紹介し始めたことが「みやメシ応援隊」の活動のスタートでした。現在は、Instagramやホームページで宇都宮市内の飲食店を紹介し、グルメからまちの魅力を発信しています。

宇都宮市をもっと愛されるまちにしたい

活動の根底にあるのは、まち全体がもっと愛されるようになってほしいという願いです。活動の当初は、「テイクアウト」という手段を普及させることで、お店の苦しい状況を救いたいという思いが第一にありました。でも今は、まちを好きになる人(ファン)を増やしたいという想いが強いです。

みやメシ応援隊の活動を始めて、「たくさんの素敵な飲食店がある宇都宮」がさらに好きになりました。住みやすいし、魅力的な飲食店がたくさんあるまちです。一方で「栃木には何もない」という人も多く、愛着心は低い印象があります。

そのギャップがあるのは「情報発信が適切ではないから」だと考えています。まちの良さをセンス良く発信することで、まちに愛着を持ちやすくなるのではないのでしょうか。グルメの魅力を”最適”に発信し、まちを好きになってくれたらと思います。特に若者から栃木、宇都宮がもっと愛されるようになったら嬉しいです。

みやメシ応援隊の主な活動メンバー=本人提供

「弱いものを放っておけない」という気持ちもあるのだと思います。自分の出身である茨城県や、現在住んでいる栃木県は、人口流出や高齢者率という面で見ると、あまり元気がないと言えます。そのような元気がないまちのことを「ほっとけない」です。まちに元気がないことと、まちに愛着が持たれていないことは繋がっている気がしています。なので、できるだけそのまちに愛着を持つ人を増やし、元気のあるまちになってほしいです。

海外で感じた日本とのギャップ

旅が好きで、大学生になってから海外旅行を10回ほどしました。その中で、現地の物乞いをする子どもたちと出会う機会があり、旅行者という自分の立場と、物乞いをする現地の人という立場に嫌なギャップを感じました。日本という明日の生活が保障されている環境に帰ってきたときに、日本はいいなと思いましたが、あの物乞いをしていた子どもは今日どうしているのかなとふと思うのです。

現地の人の中にも格差があって、物乞いをしなくても生活ができる普通の人もいます。そのような普通の人たちは物乞いに見向きもしない光景が広がっていました。そのため、自分でお金を稼ぐしかない子どもたちは孤立しつつあります。日本では子どもは守られていて、当たり前のように学校に行き、当たり前のように勉強ができ、将来の目標や野望を抱くことができます。でも、僕が見た海外の子どもは、日本の子どもが当たり前にできるようなことすらできていませんでした。

「学校に行けるようになる。物乞いをしなくてすむ。貧しい生活から脱する。最低限、子どもらしい生活が送れるようにしてほしい」

そのように願っています。日本と海外とのギャップを忘れずにいたいですし、いつかは絶対に現地に良いインパクトを与えたいと思っています。

インタビューを受ける笹原さん=2020年11月、栃木県宇都宮市、森谷真依撮影

いつか、自らの手で海外の課題を解決できるように

考えてみると「海外へのインパクトをいつか与えたい」という想いが一番のモチベーションになっているのかもしれません。何もせずにのんびりと暮らすこともできるとは思いますが、のんびり過ごしていても、ふと物乞いの子どもがいたあの社会を思い出して、「動きたい」という気持ちになります。そして、いつか自分が海外にインパクトを与えるために、今は日本で少しでもできることをやっていきたいです。

今後は、みやメシ応援隊を事業化し、食を通じて自分のまちの魅力に気づいてもらえるようなサービスを展開しきたいです。

笹原さん=2020年11月、栃木県宇都宮市、森谷真依撮影