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「防災の輪を広げたい」帝京大学防災サークルERSU 

地震や台風など、災害は突然やってきます。災害の被害を少なくするためには、事前に自分の住む場所に予想されている災害を知ったり、非常用に食材を備えるなどの『防災』が大切です。

「でも、防災って何をしたらいいんだろう?」「被災した時、どうしたらいいのかな?」

そんな防災知識を地域の人に伝える、防災サークルERSU(エルス)。その活動内容について、私(ライター森田)の友人であり防災サークルERSUに所属している漆野さんと田村さんに教えていただきました。

プロフィール

防災サークルERSU
帝京大学宇都宮キャンパスのサークル。栃木県主催の『とちぎ学生防災サークル連絡協議会(DAME-iT)』にも所属している。宇都宮市を中心に、防災イベントの企画・運営に加え、防災訓練・救命講習に参加し、地域貢献とともに自他の防災意識の向上を図っている。
〈SNSはこちら〉Twitter / Instagram

今回お話を聞いた方

防災サークルERSU 副代表 漆野 奈々美(うるしの ななみ)さん

防災サークルERSU 副代表 田村 結花(たむら ゆいか)さん

防災サークルERSUって?

「地域の防災意識の向上を図る」ってプロフィールに書かれてるけど、具体的にはどんな活動をしてるの?

主に出店者として防災イベントに参加してるよ!最近だと栃木県県民の日記念イベントとか。内容は『防災スタンプラリー』で、はしご車と起動車と煙体験ハウスを3箇所に置いてクイズを設置したのね。正解するとそれぞれの場所でシールが貰えるから、全部集めることができたらお菓子をプレゼントしたよ。

県民の日のイベントは『ERSU』としてではなく、『DAME-iT(ドゥーミット)』の一員として参加したんだよね

『DAME-iT(ドゥーミット)』?

ERSUは、県庁の防災課が主導のとちぎ学生防災サークル連絡協議会(以下:DAME-iT)に所属してるんだ。DAME-iTは栃木県内の防災サークルを支援して下さっていて、他にも作新大学防災ボランティアサークル『tell』・白鷗大学『め組白鷗』・国際医療福祉大学『あおぞら』が所属してるよ。

そうなんだ!DAME-iTに所属している大学との交流はあるの?

月に1~2回くらい県庁の方が代表・副代表を中心に集めてくれて、それぞれのサークルの活動報告をしてるよ。

そういえば、以前『ERSUの副代表』と書かれた名刺を持ってたけど、これもDAME-iTに関係あったりする?

関係ある!確か持ってたけど…見る?

見たい~!

とちまるくんだ!可愛いね!!

可愛いよね!結構インパクトもあって。

この名刺はERSUに所属しているメンバーはみんな貰ってるの?

代表と副代表だけだね。今ERSUには40人ほどのメンバーが所属しているんだけど、DAME-iTには代表と副代表が基本的に参加してるから、その分だけ作ってもらったよ。

DAME-iTのリーダーをしている方が名刺を作ろうと呼びかけてくれたんだよね。

そうそう。

学生だと自分の名刺を持つことって中々ないからいいね。二人は、イベントに参加した時に印象に残ったことってある?

社会福祉協議会が実施している「災害時でのボランティアでどんなことをしたら良いのか」を学ぶ災害ボランティア養成講座かな。ビデオ講習の後にロールプレー1を行ったんだよね。やってみたいボランティアを選んで、実際に災害が起きた時にボランティアとしてどう動けばいいのかを教えてもらったよ。

特に、ボランティアの自分たちでも「何かやってほしいと頼まれても要請されたこと以外のことはやってはいけない」っていうことがすごく勉強になったな。ボランティアって、困っているところに自主的に働きかけるイメージがあったから。

え、そうなんだ!?

ボランティアをまとめている方の責任になってしまうんだって。

土砂を片付けることが自分の担当ならそれだけをする。私も知らなかったらやってしまいそうだなって思ったよ。

災害ボランティアの経験者から直接お話を聞けたからすごく勉強になったよね。ネットでは自分の気になることだけを検索するから、幅広く知れないじゃない?だからこそ、色んな角度から教えてもらえて面白かったな。

他にも印象に残ってることってある?

高齢者の方が多くて、若者がいなかったことかな

興味を持つ人の年齢層が偏ってることも課題になってるのかなって思ったな。

私たちも呼ばれなかったら行かなかったし、「社会福祉協議会って何をしているところなんだろう?」って疑問に思ってたと思う。それに加えて、私たちの代が今まで行ってきた活動は防災についての紹介で、「被災したときにどうしたらいいか」っていう実質的なことはできてなかったんだよね。この辺りはERSUの課題かな。

ERSUって確か東日本大震災の被災地に行く『東北遠征』っていう活動があったと思うんだけど、これは今はしてないの?

新型コロナウイルスが原因で行けていないんだよね。4年生の先輩が数回行ったことがあるくらいかな。東日本大震災などの被災地で『空き缶ごはん』の作り方の披露をしてたみたい。

『空き缶ごはん』?

空き缶で炊くご飯のことで、ERSUがイベントに出る時によく教えるお米の炊き方だよ。被災地って自由に使える水が限られているから、少ない水でご飯を作れると助かるんだよね。

確か写真があったはず…持ってくるね!

ありがとう!

『空き缶ごはん』の作り方を二人に教えていただいたのでご紹介します!ぜひ試してみてください✨

空き缶ごはんの作り方

こちらの動画でも空き缶ごはんの作り方が紹介されているのでぜひご覧ください!

防災への意識の変化

ERSUに入ってから防災の意識は上がった?

すっごく上がった!もともと私たちがERSUへ入部したきっかけは「就活の役に立つかも」程度で、防災を意識することってあまりなかったんだよね。でも今はERSUの活動を通じて防災に触れることが多くなって、非常食にハマったりしてる!

非常食に美味しくない・種類がないイメージを持ってたんだけど、今の非常食って種類も豊富ですごく美味しくて。今度非常食を買って、レポートをInstagramに載せようかなって考えてます。

それ、いいね!やろう!

楽しそうだね!私も気になるし、インスタ(Instagram)にあがったら見てみたいな。

他にも、非常食を作ってるIZAMESHIさんが運営している長期保存食をベースとした料理を扱うカフェが東京にあるんだ。そこにもERSUのみんなで行ってみたいんだよね。

非常食のカフェ?そんなお店があるんだ!

面白いよね!私たちが県民の日のイベントでお世話になった、那須にあるパンアキモトさんが扱う非常食もおすすめだよ!缶パンを取り扱っているんだけど、非常食でよくイメージされるお菓子みたいなカンパンではなくて、ふわっふわの美味しいパンなんだ。保存期間は3年で、普通の非常食だと考えられないぐらい長く保管できるのもすごいんだよね。

それに、パンの底力プロジェクトっていう被災地に柔らかいパンを届けたり、賞味期限が1年を切って回収した缶パンを被災地や飢餓地域に運んだりとすごい取り組みもしているよね。

すごく素敵!

防災への意識については私もERSUに入ってから上がったな。国際医療福祉大学のあおぞらさんが『AEDマップ』を作ってて、それを見てからコンビニとかでAEDや公衆電話が設置されているかどうかを気にするようになったよ。

AED・公衆電話の設置個所を示したマップはネット上にもあるけど、あると書かれていてもなかったり、ないと書かれていてもあることが実はあるんだよね。

確かに、災害があった時にAEDや公衆電話ってすごく大事だよね。災害といえば2011年に起こった東日本大震災が思い浮かぶけど、その時二人はどんな風に過ごしてた?

あの時は小学校の教室にいたよね。

私も教室にいたなあ。あの頃は防災についての知識も経験もなかったし、親に縋るしかなかったよね。今なら何ができるかなって考えると空き缶ごはんとかかな。

そうだね。

空き缶ごはんってやるのが楽しいから、震災の時に楽しみをプラスすることはできるかも。震災の時、私は海のすぐ隣の小学校に通っていたから津波の心配があってグラウンドに避難はしたけど、「本当に大丈夫かな?」ってみんな不安がってて。私は大丈夫だよって言ってたんだけど、しばらくしたら雨も降ってきてみんな泣いてたんだよね。

あの時に折り紙感覚で新聞紙でマスクとかスリッパとかを作ることができたら、不安を紛らわせることができたのかなって。地震はいつ起きるかわからないけど、アフターケアならできるからさ

それでいうと、私はずっと栃木県に住んでいるから、津波の心配はしていなかったなあ。これからも地震が起きても栃木県に津波が来ることはほぼないと思うけど、どこかにお出かけした時に「津波の被害に遭うかも」って考えるようになったな

災害に遭った時に、「知らないから何ができるかわからない」っていう無防備な状態になることが一番怖いよね。そのために知識を持っている人が増えると、その場にいて教えることができるから必要だと思う。

確かに、被災した時にそんな人がいてくれたら安心する!

でしょ〜?(笑)ぜひ頼ってほしい!

私も防災についてあまり知識がないから、話を聞いて「ちゃんと防災について考えよう」って思った。非常食、買ってみようかな!

『防災』のイメージを変えたい

そういえば、11月のはじめに文化祭で出店してたよね?

そうだね!大学の文化祭で今年初めて出店したよ。私たち(漆野さんと田村さん)は代表から文化祭の出し物について任せられて、すごく頑張ったからぜひ聞いてほしい!(笑)

ぜひ聞かせてください!(笑)

何をやるかについては防災に関連するものとして、非常食販売は即決だったね。それに加えて、防災グッズを作るワークショップもやろうかという話になったんだけど…

防災グッズといっても色んな種類があるから、どれにしようかって悩んだね。新聞紙で作るマスクやスリッパが最初に上がったんだけど、わざわざワークショップでやらなくてもいいかなって話になって。でも難易度が上がるにつれて木炭のような、必ず家庭にあるとは限らないものが必要になるからどうしようって二人で悩んだよね。

そうそう。それで代表に相談したら、「家にある手頃なもので作ることが大事だから本末転倒じゃない?」って言われて、マスクやスリッパを作ることになったんだ。

そんな裏側があったんだ。非常食販売の方は?

文化祭に来た方が『非常食販売』にあまり興味を持ってなかったことかな。普段私たちが参加しているイベントには防災に興味のある方が来てくれるんだよね。でも、文化祭では防災に興味がない方も来るから難しかったな…。チラシやInstagramで『非常食販売』をアピールしたけど、「非常食の概念は違うんです」ってアピールした方が良かったかも。

でも二日目に私が行った時にはもう売り切れ間近だったよね?

幸い売り切ることはできたんだけど、買った人は(サークルメンバーの知り合いを除くと)高齢の方が多かったんだ

そうだったんだ。社会協議会の災害ボランティア養成講座の時にも若い人が少ないって言ってたよね。これからは、若い人に防災について興味を持ってもらう活動を?

それもしたいね。若い人に興味を持ってもらうならインスタ(Instagram)かな。それにERSUのInstagramのアカウントのフォロワーは帝京大学の学生の方がほとんどなんだけど、その人たちを中心に若い人たちにも発信していきたいな。「非常食にこんなものがあるよ」ってインスタから広げていけたらいいよね。

素敵だね!

ありがとう!ERSUの活動目標は「防災の輪を広げること」なんだよね。ERSUに入ったことで防災の話を家族にすることが多くなったんだよね。そしたら、お父さんが防災にハマっちゃって、非常食やポータブルバッテリー、濾過器とかを買い漁るようになって。これも防災の輪を広げることに繋がったのかなって思ってる。

Instagramでの発信だけじゃなくて、ERSUのメンバーの家族や友人などの近い人から防災の輪が広がっていくといいな。


笑顔で防災のことを話す2人を見ていると、「防災を楽しもう」という気持ちが伝わってきてすごく素敵でした。非常食を食べてみる・防災グッズを買ってみるなど、興味のあるところから少しずつ防災をはじめて、周りの人に広げていきたいです。