頭で考えるだけで終わらせず、“実行に移せる居場所”をつくる。分野やテーマに囚われない自由な団体『学生団体Free!!!!』
目次
「自分の住むまちや場所がこんな風だったらいいな」
「もっと環境に優しい暮らしをみんなで考えることって出来ないのかな」
「若者がもっと政治に関心のある社会をつくりたいな」
テレビやネットのニュースを目にしたとき、目の前に困っている人がいたとき、社会課題を知ったとき、こんな風に頭の中で「なにか行動してみたい」という想いを抱いた経験がある方は多いはず。
でも、頭で思い描いた「やりたい」「社会を変えたい」という想いを、実行まで移した経験がある方は少ないのではないでしょうか。そんな中で、自分たちの興味関心を大切にし、「やりたい」という願いを実行に移す大学生が身近にいます。
それが宇都宮大学地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科の学生で構成された『学生団体Free!!!!』です。
教育・ボランティア・ビジネスなど、1つの分野の中で活動を行う学生団体が多い中で、彼女たちは分野やテーマに囚われずに幅広いキーワードで活動しているそう。そんな枠に囚われないまさに”フリー”な組織『学生団体Free!!!!』のみなさんに、団体や活動についてお話を伺いました。
〈学生団体Free!!!!〉
宇都宮大学地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科の学生で構成。テーマは『学び×話し合い×実践×学生』。メンバーは約10名で、コアメンバーは代表の保土沢 結梨(ほどさわ ゆり)、木村 結菜(きむら ゆいな)、鈴木 詩織(すずき しおり)、佐々木 莉生(ささき りお)、宮古 花菜(みやこ はな)の5名。2021年12月に「ジェンダーってなんだろう」、2022年4月に「宇都宮のごみ削減について考えよう!行動しよう!」というワークショップを主催。その他にも、子ども向けの科学実験教室のサポートなどにも参加。宇都宮大学地域デザインセンターや宇都宮市役所と連携しながら活動を行う。
「私のやりたいことってなんだろう…」
きっかけは、大学生活を振り返った小さな不安
学生団体Free!!!!(以下、フリー)が設立されたきっかけはなんですか?
大学1年生の冬に、代表の私が地域デザインセンターの方に「何かやりたい!」と漠然とした相談をしたことから始まりました。相談したちょうどその頃、大学のトイレに生理用品の設置が検討されたり、生理の貧困に対する学生のアイデアが求められていて。それに関するイベントを開いてみない?と地域デザインセンターの方から話を持ちかけられたんです。
「じゃあワークショップやイベントを開催しよう」と考えたときに、「1人じゃ出来ない!」と思い、自分の所属しているコミュニティデザイン学科のメンバーに声をかけました。その声掛けで集まってくれたのが、今のフリーのメンバーだったんです。
なぜ急に「何かやりたい」という気持ちが生まれたのか気になります。保土沢さんの中にどんな変化があったんですか?
冬になるまで、大学の課題をしてバイトに行って友だちと会って、特に何の変哲もない日々を過ごしていたんです。ボランティアやインターンに行ったりすることもなく、何かに挑戦するわけでもなく。
そんな生活を送る中でふと周りの同級生を見てみると、早くからインターンに行っていたり地域活動に出ていたりと、活発に活動している人が沢山いたんですよね。それに気づいたとき、「私、何のためにこの大学に来て勉強してたんだっけ?」「私も何かしなくちゃ…!」と焦りました。でも、自分がどんなことに興味があるのか、なにをやってみたいのかすら分かりませんでした。
そこで身近に相談できる地域デザインセンターに声をかけてみたということなんですね。
そうなんです。
イベントなどをつくったことがない状態で、1からワークショップをつくるってすごいと思います!実際にどんなワークショップをつくったんですか?
ジェンダー問題について話し合う『ジェンダーってなんだろう』、宇都宮のごみ処理や環境問題に関する『宇都宮のごみ削減について考えよう!行動しよう!』という2つのワークショップを主催しました。
『ジェンダーってなんだろう』では、整理の貧困について学んだり、大学内の個室トイレの生理用品の設置場所や配布方法を話し合いました。
『宇都宮のごみ削減について考えよう!行動しよう!』では、宇都宮市環境部ごみ減量課の岡川さんという方を講師として招き、宇都宮市の焼却炉火災について学んだり、ごみ削減に向けて削減が進まない理由とその解決方法について話し合いました。私たち自身が宇都宮市で焼却炉火災が起きたことを知らなかったことから、自分たちの関わる宇都宮市のごみ問題を自分ごととして考えるきっかけをつくりたいという思いで開催しました。
今までの活動の中で、どんなことが大変でしたか?
経験がなく手探りの状態だったので、何をテーマとして扱うのかといった『テーマ設定』やどんなことを参加者に学んで欲しいかなどの『目的設定』、そして『全体の構成』といった、イベントづくりの基本から難しいと感じました。また、『大学生の私たちがやりたいこと』と『一緒にイベントをつくっていく行政の方が求めていること』をすり合わせていく過程が大変でした。
例えば、ごみのイベントでは「ごみを削減する」という市役所側の目的がある一方で、「そもそも今回の焼却炉の問題を知らない大学生が多いので、削減を促すよりもまずは現状を知ってもらうことの方が大切」と考える私たちの目的とで食い違いがありました。
そういった互いの視点や立場の違いとどんな風に向き合ったんですか?
イベントの前に市役所の方と運営メンバーとが意見交換会や学習会を開催し、最終的にはどちらの目的も達成できるようにイベント構成を考えていきました。休みの期間には、ミーティングや話し合いを幾度となく行ったんです。
どちらの意見も取り入れることって時間がかかりますけど、共に動いていく上ですごく大切な姿勢ですよね。運営メンバーの中でも、コミュニケーションを大切にしながら企画をつくっていったんですね!
余談ですが、zoomでのミーティングが2~3時間になることも多々ありました(笑)そのくらい、仲間とのコミュニケーションを大切にしていたんです。
「考える」から「実行に移す」場をみんなでつくる
活動のなかで大切にしていることはありますか?
フリーでは、扱うテーマや課題について分野を問わず拾って、メンバーの「やりたい」を引き出して尊重したいと考えています。そして、メンバー各自のやりたいという想いをやりたいだけで終わらせず、アクションまで起こしていけるような居場所でありたいです。
なるほど。「考える」から「実行に移す」場をみんなでつくっているんですね!
自分たちの興味関心に貪欲に、分野やテーマに囚われない“フリー”な姿勢をモットーにしています。
団体を始めた当初はあまり意味づけて考えたことはありませんでしたが、そういった意味の“フリー”も団体名に含まれているな、と。
“フリー”という団体名を聞いたとき、バリアフリーやジェンダー問題、差別問題などの『多様性・平等性』をテーマとして掲げているんだと思っていました。活動内容も“フリー”ってすごく面白いですね。
そうですね。「ジェンダー」や「教育」など活動の軸を一本で絞って活動している団体も多い中で、「私たちにしか出来ないことは何だろう」と考えたとき、みんなのやりたいを制限せず活動していくことが私たちらしい色なのだとみんなの考えがまとまりました。
活動の選択肢を狭めていくことで自分達の個性を出していくのではなく、逆に広げることで無限大の可能性や個性を出していくのですね!素敵な考え方ですし、とても学びになりました。
等身大の気づきは、理想の自分への1歩に
さまざまな活動をしているフリーですが、団体としてどんな人にどんな影響を与えたいですか?
今はコロナ禍ということもあり、活動を大きく広げられないというもどかしさもあるのですが、まずは自分たちの身近な環境や人を視野に活動しています。
私たち自身が学生だからこそ、同じ学生に影響を与えられると考えています。参加者や同世代の方の気持ちに少しでも変化を生み出せたり、行動や思考を見つめ直すきっかけをつくることができたら嬉しいです。
活動を通して、自分自身はどんな風になっていきたいですか?
うーーん。それは大きくなくて、等身大でもいいですか?(笑)
もちろんです!
活動を振り返ると、自分探しの旅に出ているような気分なんです。自分が何に興味を持っていて、逆に何を面白くないと感じるのか、今も探している途中です。だから活動していく中で、自分が「これだ!」と思えることに出会いたいと思っています。
この活動を始める前までは、「こうあったらいいな」と頭で考えてはいても、想像するだけで終わっていました。けれど、メンバーと一緒に考えて、発言して、話し合って、行動にまで持っていく経験をし、「自分の考えたことって実現出来るんだ」と気づくことができました。だから、自分の想いや頭の中で考えていることを表に出して、もっと挑戦したいと思っています。
私もそれに近いかも。
私は活動を通して「思い描く理想の自分」になりたいです。どういうことかっていうと、活動を始めるまで、私、食べる・寝る・学校・バイトしかしてなかったんです(笑)もっと大学生って、自由に自分のやりたいことに向かって挑戦していたり、インターンや学生団体の活動をしたりとキラキラしてると思ってたのに…。
でも、色々な物事に関心を持って動いてみたり挑戦しようとしているメンバーに出会えたことで、「自分の身近なところにキラキラした人がいるんだ」と気づくことが出来て、「私もこうなりたい」って思えたんです。
自分で言うのも何ですが、すごくいいチームだと思っています!活動が中途半端になったり、ミーティングの時間などを合わせるのが難しい中で、みんなが高い意識を持って、コミュニケーションを密に取れています。
私たちなら、私たちだからこそ自分たちの理想の姿になっていけると思いますし、団体としてもっと新しい活動にステップアップしていけると信じているんです!
自分の「やりたい」という、純粋でまっすぐな心の芽生え。
それを互いに尊重し、受け止め、形作っていこうとする『学生団体Free!!!!』。
学生のちいさな1歩が、水の波紋のように広がり影響を与え、学校や家族といったコミュニティに変化を生み出していくのだろうとワクワクした気持ちになりました。
これから『学生団体Free!!!!』のみなさんが、どんなことに興味関心を抱くのか、その抱いた気持ちをどう形にしていくのか楽しみでなりません。これからのまた新たな活動に期待大です♪
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