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学生の声

キャリア=その人のやりたいを叶えるための手段。一人ひとりの「らしさ」を応援できるコーチングを。ー国際基督教大学/佐久間 奏衣さん

学生の声

プロフィール

佐久間 奏衣(さくまかなえ)
東京都 町田市出身
国際基督教大学 教養学部 アーツ・サイエンス学科 4年生

栃木県で古民家宿泊施設の運営、廃校再生事業のインターンシップに約1年間関わる。多種多様な人々とともに何かひとつのものを作り上げることに関心があり、組織をうまく活かすためにはどんなことが必要なのかについて深く学ぶため、大学では経営学と経済学を専攻。課外活動として茶道部で幹部を務めたり、学園祭の実行委員会に所属したりと活動的な学生生活を過ごす。就職活動が終わった現在、キャリア支援NPO団体で就職活動をする学生に向けて”コーチング”を軸にサポートしている。休日はディズニーランドで”前向きな現実逃避”をし、生きる活力を貰っている。

多様な学問への接触で拓かれる可能性

国際基督教大学には1学部しか存在しません。学部制をとってないため、在籍するすべての学生がリベラルアーツというカリキュラムで、1,2年生時は好きな科目を自由に選択し、3年生に進学すると専攻科目を絞っていきます。多様な学問に触れ、自分の興味関心の向く方向や振れ幅がわかってから科目を絞れることはとても良いことだなと思います。そもそも国際基督教大学にはダイバーシティを尊重する風潮が強く、セクシャルマイノリティの方たちについて考える機会がとても多かったんです。そこで、「ジェンダーって男女の二項対立ではないよね」という概念を初めて知り、「自分が今まで持っていた当たり前は当たり前じゃなかったんだな」ということに初めて気がつき衝撃を受け、もう少しジェンダーについて学びたいと思い、1,2年生時は社会学やジェンダーを取り扱う学問について学んでいました。

現在は、経営学をメジャー(主専攻)に、経済学をマイナー(副専攻)にしています。専攻のきっかけは、大学で務めていた学園祭の実行委員会です。そこで、みんなで活動するからこそ面白いものができるし上手くいくこともあるけれど、同時に人が集まって何かをすることの難しさを実感しました

組織の中だと様々な役割や部署があり、どうしても自分に与えられた役割の観点でものを考えるようになりがちです。目に見える役割があるからこそ効率的に上手くいく部分はありますが、役割という”箱”に入っているからこそ見えない部分もあるなと気づき、メンバーとすれ違いが生まれることも多かったです。その実体験も相まって、「組織を上手く活かすためにはどんなことが必要なんだろう?」と考えはじめたことをきっかけに、経営学を学びたいと思うようになりました。

強みは弱みの裏返し。
本当の意味で自分のことを好きになる

現在、キャリア支援NPO団体で、就職活動をする学生に向けてキャリアについて考える機会を提供したり、インターンの紹介やイベント運営、悩みを抱えている学生をサポートするなどといった活動をしています。実は、就職活動をしていたとき、選考で落ちたときに自分自身を否定された気がしてしまい、頼れる人も周囲にいなかった私自身もユーザーとして面談に行ったことがあります。キャリアについて考える機会・教えてもらう機会が日本にはあまりないけれど、だからこそ、その人の志向性や強みを本当の意味で引き出しキャリアを考えるサポートをすることはとても意義のあることだと感じています。

就職活動中にひとつ学んだことは、「強みは弱みの裏返し」だということです。

就職活動を通して「自己否定された」と落ち込んでいたのですが、今の就職先に出会うことができ、「欠点も含めて自分のことが好きになれた」という感覚が芽生えました。

”強みがある限り、絶対に弱みもある”。すごく大きなことを成し遂げた人よりも自分の欠点にちゃんと向き合え、どんなふうにその部分と付き合っていくかを考えられる人と共に働きたいと会社の人は思っているんだろうなと感じたことがあって。それは私にとってとても大きな収穫でした。就活というキャリア選択をするなかでそんな感覚になる人が増えたらいいなと思い、キャリア支援団体で活動をすることにしました。

現在はコロナの影響もあってZoomで面談やミーティングを行っています。私たちが行う面談は、ティーチングではなくコーチングです正解を与えてあげるというよりも、本人が持っている強みや良さ、ありたい自己像を引き出してあげる。「やりたいことが本当に分からない」という学生に「自分のここが強みかもしれない」「こんなことをしたいかも」というような変化が見えはじめたときに喜びとやりがいを感じます。自走しているレベルの高い学生だけでなく、不安でもやもやした気持ちを抱えている、就職活動の重要性は分かってはいるけれどどのようにアクションを起こしたらいいのか分からない、という学生にも動くためのきっかけを与えたり、価値提供ができたらと思っています。

目の前のことについて立ち止まって考え、一生懸命にやってみる

茶道部で幹部を務めていた時に意識していたことは、「やりづらさについて考えること」です。

部内で礼儀を保つカルチャーが強くあるからこそ、先輩に対して意見を言う、みんなで平等に役割を分担するという風潮があまりなく、一部の人に仕事が過度に集中してしまったり、授業を切ってまで活動に参加しなければいけないということもありました。そこについてとても課題を感じていたし、自分自身も正直負担に感じていました。やりづらさを感じ、辞めていってしまう学生もいました。

そんな中で「自分たちで変えられるところは変えつつ、学業もしっかりとやる」という前提の上で部活動をすることを大切にしたいと先輩や先生とお話しました。幹部になってからは、基本的に楽しく部活をし、効率的に仕事を回していくことを少しでも導入できたかなと思います。例えば、『和室でハーゲンダッツを食べようの会』や『クリスマス会』などの行事を増やし、部内のコミュニケーションを活性化させたり、部員が楽しそうに活動をする姿を目にすることが多くなったり、「辞めます」と言う部員の数が減ったりといった変化が実感できました。茶道自体を楽しんだということはもちろん、組織にあった課題を一定解決できたことが茶道部での経験の中で大きかったです

とはいえ、幹部に選ばれたきっかけは先輩に言われたなんからです。断れない雰囲気でやらざるを得なかったので、正直かなり苦しかったです。いま思えば、あの極限状態にいたからこそ自分の価値観が分かったのかなと思います。私自身、先を見据えて何かをやって生きてきた人というよりも偶発性で生きてきた人なので、やるべきことになった目の前のものに対してとりあえず一生懸命にやってみて、結果学ぶことが多いです。必死にやってみると得られるものや学べることが意外と沢山あり、後々の経験に活かされてくることも多くて。それが面白いなと思います。将来的な視点やビジョンを持つことももちろん大切だけど、こういう人に対してこういう領域でこんなふうに(What、Who)の部分でもある、現状自分が頑張りたい領域があまり明確に持てなくて。逆に言えば、それがなくても一緒に走りたい人がいれば走れてしまいます(笑)だからこそ、いま自分がいる環境で精一杯頑張る。それで私は幸せになれるかなと思っています。

ディズニーの圧倒的な世界観は、前向きな現実逃避になる

好きなことは、ディズニーパークに行くことです。ディズニーの圧倒的な世界観がとても好きで、コロナが流行する前はよく行っていました。私はどちらかというと現実で色々な活動をするタイプの人間なので結構疲れやすく、ストレス解消や気分転換になっています。行く目的は現実逃避です(笑)でも、その現実逃避は「生きていてよかった」「明日も頑張ろう」と思えるものです。明日からも前向きに現実に戻る気になれる。そういった意味では前向きな現実逃避ですね

価値観の違いが引き起こす、ひとつの目標に向かっていくことの難しさ

いま頑張っていることは、キャリア支援NPO団体での活動です。一人ひとりの就活生と向き合って価値提供することももちろん難しいけれど、一番難しいと感じるのは、自分たちの支部を統一していくこと。つまり、チームの統一感を高めたりチーム力を上げていくことです。NPO団体なので無報酬の部分があるため、それぞれが活動をしている目的や意義をいかに持っているか、自分にとっての利益をいかに見出すかがとても大切になってきます。それぞれが持っている活動の意味付けは異なる上にそもそも持ち続けることも大変で、そんな中でみんなでひとつの目標に向かっていかなければならないという難しさがあります。価値観の違いを認めつつみんなが合意できる目標を設定し、モチベーションを保ち続けることを頑張りたいです

私自身チームでなにかをすることが好きなので、良いチームに所属したいし良いチームを作れるような人になりたいと思っています。他人の意見を受け入れ共感する力は一定あるものの、人を巻き込んだり人のスタンスを変えたり人を動かすことはあまり得意じゃなくて。組織の経験を通してそんな力が身につけば、という気持ちも相まってキャリア支援NPO団体は訓練の場だと思っています。みんなでするからこそ自分にはなかったアイデアが生まれる。とにかく人と何かをすると新しい発見や視点が得られるので、その純粋な面白さがとても好きなんです

人は誰しも、見えないところで“辛さ”と対峙している

いま興味・関心があることは、日本で自殺を選ぶ人が多いことです。

最近有名人が自殺をしてしまうニュースが多く、ショックを受けて印象に残っています。私は死という選択肢こそとらなかったものの、なんとなく、そんな選択肢を選んでしまう可能性を身を持って感じたことがあります。茶道部で幹部を務めていた時、就職活動と部活だけの生活に「自分はなんのために生きているんだろう」と本気で分からなくなったことがあり、とても孤独を覚えました。そもそも幹部になってしまったのは、先輩に「話を熱心に聞いてくれていたかなえちゃんが良いと思う」と言われたからで。その時思ったのが、「素直に聞いていた人が結局重たい役割を引き受けなければいけないんだな」ということでした。辛かったけれど、それでも辞められない自分がいました。「断るだけの勇気がないのか?」「お人好しなのか?」と思考が負のループに陥っていました。

悩んでいた当時は色んな友達に相談もしたけれど、良い意味で自分と同じ人はいないから100%理解されることはなかったですね。だから、音楽や映画にヒントを求めようと思って星野源の曲を沢山聞いていました。曲の中で星野源が「世の中ってくそだよね」と言っていて、とても気持ちが救われました。“絶対に上手くいく”といった明るい曲は「そんなに上手くいかないから…」という悲観的な気持ちになったりするけれど、“別に世の中はいい意味で綺麗じゃないよね”という曲には共感を覚えます「悪いのはあなたではないよ」「あなたはがんばっているからありのままでいいんだよ」というメッセージを暗に伝えてくれているみたいで。

人と一緒にいる時や日常生活の中では悩んでいることに気づかれない「普通の人」だけど、実は一人になった途端にめちゃくちゃ苦しくて。自殺という選択をしてしまった人は「普段全然そんな風に見えないのに」と言われることも多いですが、もしかしたら一人になったときにその辛さと対峙しなければいけなくなったのかな、と思います。これから社会を作っていく立場になることを考えた時、「世の中はそういう現状をすでに創ってしまっているんだ」ということを感じてやるせなく思いました。当事者と同じ気持ちには絶対になれないけど、少しだけそんな風に想像してしまいます。

コロナに打ち勝つ秘訣は、企業と学生が変わること

キャリア支援NPO団体で関わっている学生の存在が身近にあるからこそ、コロナ禍での就職活動にも関心があります。この状況下では、企業側と学生側の両方が変わる必要があると思います。例えば、学歴など分かりやすいものだけで判断するなど上辺だけしか見ていない会社も多いと感じます。

キャリアとはその人がやりたいことを叶えるための手段です。

だからこそ、企業も学生を上辺だけで判断することはしてほしくないし、学生も難関企業に受かることや内定を得ることがゴールだと思ってほしくない。最終的に自分で幸せな人生を創ることがゴールだと思える人が増えたなら、幸せに働ける人がより増えるのではないかなと思います

常識に挑戦し“根本的な”課題解決を通して、人を幸せにしたい

就職活動中、自分は将来やりたいことの具体がないタイプだなと感じて。これまで、自分のモチベーションが上がってきた経験を抽象化して未来のやりたいことに置いてきていました。そこで、茶道部での経験や学園祭の中で新しい企画を生み出した経験を通し、難しいことに挑戦してみて初めて、「常識の中に課題の根本が潜んでいることって結構あるのかも」と気がつきました。挑戦して形にする。誰かが喜んでくれる。その一連の流れを経験したときに、すごく意義があってやりがいのあることだなと思いました。これからもそんなことをできるような人になりたいなと思います。

また、チームの力を最大化させられる人になりたいです。強みを最大限に引き出し、弱みを他のメンバーで補完できる。そんなことが綺麗な形でできるチームを創りたいです。そのためにも、問題が生じている事象の全体像を把握し原因を特定することがぱっと確実にできるように『思考の構造化力』を身に着けたいです。何か問題が生じた時、「アイデアベースでこれをやったら解決するかな」と短絡的に考えるのではなく、「いまどんな事が起きていて何が課題なんだろう」ということを確実に見つけにいく癖をつけたいです

自分のためにと誰かのために。無理っぽいことにあえてチャレンジする精神から生まれる価値

古い価値観に固執せず、向上心と広い視野を持って、自己成長と他者貢献を同時にできる人になりたいです。私は、できなかったことができるようになることの自己成長の部分に幸せを感じます。自分のベクトルが常にチームに向いていて、チームメンバーのために何かをすることがその自己成長の部分で。結果としてそれがチームのためになっているという実感がすごく嬉しかったです。最近、漠然と人のために何かをするということにやりがいを感じ始めていて、今までになかった人のために何かをすることに喜びを感じています。誰かのためになっている、誰かが喜んでいるという事実が原動力となって自分に還元される。頑張ったものを通して誰かが喜んでくれていることは嬉しいなと感じます。

私は不器用で、いらない苦労を沢山かけてしまい、成功に向けて最短距離でいけないタイプで。でも、だからこそ見えてきた経験の蓄積があります。そういった蓄積を、これから始める人たちに対して還元したいという気持ちがあります。自分の失敗を誰かに伝え、より良い生き方に導く。それで失敗した自分が報われるんじゃないかとも思っています。

あとは、無理っぽいことにあえてチャレンジしようと思える人になりたいです。時代の変化のスピードは上がっているから、いままでの常識がどこかで通用しなくなるときがきっと来るはずで。自分の成長のためでもあるし、古い価値観に固執しないからこそ生まれる新しい価値があると思っています。できないことでもやってみようと思えるフットワークの軽さとモチベーションは常に持っていたいです。

決まりきった常識なんてないからこそ、自分にとっての“幸せを探す

多様性を尊重でき、 全ての人がそれぞれの“らしさ”を大切にできる、 搾取がない社会で生きていたいです。日本に増えてきた外国人や外国人労働者に対する差別が問題になっていますが、とても不毛だと思います。何も得てないし、誰も幸せになっていない。

私は当たり前や普通はないと思うからこそ、色んな人がいてもいいと思います。同時に、皆がそう思えるようになったらいいなと思います。別に決まりきった幸せや当たり前なんてないからこそ、それぞれが自分にとっての幸せを探し考えることができ、他の人の違う形の幸せを受け入れられる。そんな人が沢山いる社会になったらいいなと思っています。