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〈2025年春オープン!〉ゲストハウスを通じて、さまざまな生き方の選択肢と益子町の魅力に触れてほしい。元診療所を改装した『ゲストハウス小窓』に込めた想い

陶器の産地として全国的に知られている栃木県 益子町。四季折々のうつくしい自然とのどかな田園風景が広がり、ひとたび足を踏み入れると、ゆったりとした時間の流れを感じることができます。

また、ものづくりに携わる人々を中心に移住者が多い町でも知られており、個性的な雑貨屋やカフェ、お洒落な焼き物店や古書店が点在しています。

国の伝統的工芸品に指定されている益子焼(写真:写真AC)

そんなうつくしい自然とエネルギッシュな人が共存する益子町で、2025年の春、新たにゲストハウスがオープンしました。名前は『ゲストハウス小窓』

緑に囲まれた『ゲストハウス小窓』の玄関口

20年ほど前に廃業した診療所を改装し創り上げられた『ゲストハウス小窓』。仕切りのない開放的な空間、陽の光をやさしく落とす障子、中庭に面したウッドデッキ、数多くの窓。もとの設備や建物の良さを活かした心地よい空間となっています。

大きな窓からみどり豊かな中庭を臨む開放的な共有ラウンジ
「数多くある窓がゲストハウスの雰囲気をつくっている」「ゲストハウスという窓を通して益子町の魅力に触れてほしい」という想いから『ゲストハウス小窓』と名づけられました

個室が4部屋、2人部屋が1部屋、5人部屋が1部屋あり、ひとりでの宿泊はもちろん、子ども連れや家族連れ、友人や恋人となど、どんな方のニーズにも合うゲストハウスとなっています。
※ 最大で11名宿泊可能

2人部屋。「障子から入り込むやさしい陽の光と鳥のさえずりで心地よく目が覚めた」と嬉しそうに語るゲストも多いそう

また、ペット連れでの宿泊も歓迎しており、大切なペットとともにゲストハウスでゆっくり過ごすこともできます。

オーナーの増田 リサさんは、「一人ひとりが自由に過ごせる空間づくりを意識した」と言います。

『ゲストハウス小窓』オーナー 増田 リサ(ますだ りさ)さん

くつろげるウッドデッキ、読書が楽しめる図書スペース、みんなでご飯が食べられるラウンジ、自由に過ごせる個室。各々が同じ時間に好きなように過ごせるところが『ゲストハウス小窓』の魅力のひとつだと思います。なにより、仕切りがなく広々とした空間なので、どんな場所でもゴロゴロできちゃいます!(笑)

温かみのある図書スペース。『一箱本棚制度』を行っており、本棚に自分の作品や商品を入れて展示・販売したり、おすすめのアイテムや本を貸し出したりと、アイデア次第で自由に活用することができます
「プライベートな空間はほしいけど、誰かとつながっていたい。どこに居ても少し顔を出せば話せる距離感がちょうどいい」と増田さん

自由に過ごしてもらう以外にも、近辺のご飯屋さん、おすすめのお店などを紹介したり、一緒に行くこともあります。「温泉に浸かりたい」というゲストさんがいたら、益子町の温泉を紹介したり、時間が合えば一緒に行ったり。

つい先日も、海外から来てくれたゲストさんと、同じ日にたまたま宿泊していたゲストさんと一緒に、みんなで日帰り温泉に行きました(笑)そういう突発的なわくわくした経験ができるのは、ゲストハウスならではの良さだと感じています

さらに『ゲストハウス小窓』に置いてある食器のほとんどは、益子町の特産品でもある益子焼。“地域のものの良さ”に触れてもらうことも大切にしています

地域の発酵食品を使った身体がよろこぶ朝ごはん(税込 1,000円)。どんな方にも楽しんでいただける和食の朝ごはんです(提供:ゲストハウス小窓)

ゲストハウスの楽しさに魅了されるも、就活で鬱になり…

2025年4月に『ゲストハウス小窓』をプレオープン、5月に正式オープンした増田さん。実は、増田さんのルーツは静岡県。生まれも育ちも静岡県の増田さんは、どうして益子町でゲストハウスを運営するにいたったのでしょうか。その経緯とこれまでの歩みを辿ってみました。

『ゲストハウス小窓』オープンのきっかけについて聞く前に…まず、増田さんのゲストハウスとの出会いについて知りたいです!

ゲストハウスに初めて泊まったのは、大学生のときです。当時は自分とは全く違う暮らしに憧れがあり、「田舎で古民家暮らしを体験したい」と思い、気軽な気持ちで友人とゲストハウスに宿泊しました。

そのとき偶然同じ日に泊まっていたゲストさんが、牧場や山など、私たちをいろいろな地域の場所に案内してくださったんです。それがすごく楽しくて、いまだに友人と思い返して語るほど印象深い日で。それから、旅先では必ずゲストハウスに泊まるようになりました。

初めて泊まったゲストハウス(提供:増田さん)

ゲストさん同士の交流、楽しそう!地域について深く知る素敵な時間を過ごされたんですね。それからゲストハウスが好きになっていったと…

そうなんです。でも就活の時期になり、鬱状態になってしまって。半年で25kgも痩せてしまったんです。

ええ、半年で25kg…!?それはかなり辛い………

当時、益子町でボランティアをしていた同じ大学の友人が見かねて、「益子町で寝泊まりしながらボランティアしたらリフレッシュになるよ」「一旦就活を忘れて来てみなよ」と誘ってくれたんです。「早く内定が欲しい」「早く進路を決めたい」と焦っていたので、就活から逃げ出すことが怖く、最初は躊躇していました。

でも実際に益子町を訪れて、住み込みでボランティアをする生活を続けていたら、すごく気持ちが回復したんです。そしてふと「どうしてこんなに人生に絶望していたんだろう」と思って。

現『ゲストハウス小窓』の建物に住み込み、益子町での生活を開始…!(提供:増田さん)

就活中心の生活から離れて心が穏やかになれたのかなあ。周りの人たちの影響もあり、就活には焦りと疲弊がつきものですよね。そんな毎日から一時的に離れてのどかな自然の下でリフレッシュできたことも大きかったはず…!

そうですね!このときに里山と人の営みが程よく共存している益子町の魅力を実感して、「心地よくて素敵な場所だな」「好きだな」と思いました。いまの『ゲストハウス小窓』の建物がかつては“心のクリニック”だったこともあり、開放的な空間で、すごくリラックスできたんです。ウッドデッキで陽の光を浴びながらぼーっとして、農家さんから貰った野菜を食べて。そんな生活を送るうちに、だんだん心が回復していきました。

家と会社の往復の日々のなか、より一層ゲストハウスにハマる!

そのあとは、また地元の静岡県に戻って就職を?

そのあとは地元に戻って介護の仕事をしていました。介護施設は看取りの現場なので、お世話になった方の最期を看取る機会が多いんです。そこでふと自分の人生を振り返ったときに、「これまで安牌な道しか選んでこなかったな」と思って。

ずっと地元で安定した道を歩いてきたので、「いまこの瞬間にしかできないことにもっと挑戦してもいいんじゃないか」「人生は一度きりなのに最期の瞬間に後悔するんじゃないか」と思ったんです。介護の仕事は好きだけど、いましかできない挑戦をして、「やっぱり介護の仕事に就きたい」と思ったら戻ればいいんじゃないか、と。

社会人になってから、家と会社の往復の毎日にどこか窮屈さを感じていて。そして「全く違う町で全く違う価値観を持った人と話したい」と思い、夜勤明け問わず、休みが取れるたびに各地のゲストハウスを巡りました

夜勤明けとは、なんとパワフルな…!

シフト制の仕事だったので、なかなか連続した休みが取れなくて。なので夜勤明けでも構わず、寝ずに行ってました(笑)それが私にとってのリフレッシュで。社会人になってから、より一層ゲストハウスにハマっていきましたね

社会人になり、各地のゲストハウスを巡る増田さん(提供:増田さん)

人生は一度きりだから。自分を救ってくれた益子町でゲストハウスのオーナーに

日常から離れて知らない町のゲストハウスに行くと、全く違う生き方をしている人がたくさん居て。それで、「こんなに世界は拓けているのに、私は狭い場所で同じ日常の繰り返し。このまま人生が終わったらもったいないな」と思ったんです。

ゲストハウスに足を運び、さまざまな価値観や生き方に触れることで、自分の人生を見つめ直すきっかけになったんですね。

そうですね。それで「ゲストハウスを運営したい」と思い、候補として浮かんだ場所が、かつての私を救ってくれた益子町でした。益子町は移住者が多く、個人店もたくさんあり、みんなで小さな商いをしているような楽しい町という印象があって。初めて訪れたときから「みんな自由に生きてていいな」と思っていました。

社会人2年目で退職を決意!自分の好きなこと、やりたいことにまっすぐ進む道へ…

移住者が多い町だからこそ、地域外から来た“よそ者”を温かく迎え入れてくれそう…!

そうなんです!閉鎖的な感じは全くなく、みなさんフレンドリーで温かくて。自営業を行っている移住者の方も多いので、すごくオープンに迎え入れてくださいました。

そして益子町に初めて訪れた際に寝泊まりしていたこの建物を貸していただけることになり、『ゲストハウス小窓』をオープンすることになりました。まさか自分がゲストハウスのオーナーになるなんて、夢にも思いませんでした!ただゲストハウスが好きで通っていただけだったので…(笑)

ゲストハウス好きが功を奏し、晴れてゲストハウスのオーナーになることに!

『ゲストハウス小窓』のオープンが決まってから、宣伝も兼ねて日本全国のゲストハウスを巡りました。そこで営業許可の申請方法やゲストハウスでの仕事など、さまざまなことを教えていただき、全国のオーナーさんとのつながりを持てました。みなさんとても面倒見が良く、遠くから遊びに来てくれたり他のゲストさんに宣伝してくれたりと、心から応援してくださり本当に嬉しかったです。

日本一周中の増田さん。たくさんの応援を胸にゲストハウスのオープンに向けて歩みを進めます(提供:増田さん)
「いましかできないことはたくさんある。だからこそやりたいことに億せず、気が済むまでやりたいことに取り組み、悔いのない人生にしたかった」と語る増田さん

そして2024年9月中旬に、日本全国のゲストハウスを巡る旅を終えた増田さん。帰宅後早々、たまたま栃木県で行われていた『iDEA→NEXT』というプログラムの存在を知り、参加することに。

参加者のみなさんと、現『ゲストハウス小窓』にて(提供:増田さん)

これまで“ゲストハウスを運営したい気持ち”“益子町への気持ち”などの感情が優先されていて、“どうして益子町でゲストハウスがやりたいのか”が言葉としてまとまらず、上手く人に伝えることができませんでした。でもプログラム期間中にたくさんの問いをいただいて、自分の中の「なんで」を徹底的に考えることで、改めて自分の想いと向き合うきっかけになりました。

「ゲストハウスってなんか素敵」「益子町ってなんか楽しい」など、自分の頭の中にある「なんかいい」を言語化して他の人にしっかり伝える。そんな風に思考を整理できた貴重な時間でした。

『とちぎんグッドアイデア賞』を受賞!「自分の想いに共感してくれる人がいることが嬉しかった」「『これまでやってきたことは間違えていなかった』という自信につながった」と増田さん(提供:増田さん)

そして「みんなが関われる場所にしたい」という想いのもと、2025年3月に開催された内覧会では、参加者全員で自由に障子をリメイク。

内覧会の様子。参加者のみなさんで楽しく障子をリメイク。「自分が思いつかないような柔軟なアイデアで思い思いに素敵にデザインしてくださった」と嬉しそうな増田さん(提供:ゲストハウス小窓)

“さまざまな生き方の選択肢を提示できる”“自分らしく生きるひとつのきっかけになれる”場所に

紆余曲折を経て、『ゲストハウス小窓』をオープンするにいたった増田さん。

2025年4月のプレオープン期間を経て、5月に正式オープンした現在、増田さんは、「かつての私は『いまの生活から抜け出したい』『このままでいいのだろうか』と常に悩み、正解に結びつくヒントを求めていました。そして“ゲストハウスに救われた恩”があるので、さまざまな生き方の選択肢を提示できるような、自分らしく生きるひとつのきっかけになれるような、そんな場所をつくりたいです」と言います。

「いまの生き方でいいのかな」「自分に合った暮らしってなんだろう」と悩んでいたときに各地のゲストハウスを巡り、さまざまな生き方をしているたくさんの人と出会いました。“自分の暮らす地域や自分の持つ交友関係とは全く違う世界の人と知り合える”“自分の価値観を良い意味で崩してくれる”。そんなゲストハウスが持つ魅力を体感したので、かつての私のように生き方に悩んでいる方にぜひ遊びに来てほしいです。

陶芸家が集まってできた益子町には、自由で面白い生き方をしている人がたくさんいます。「会社に勤める以外にも選択肢があるんだ」「人生は自由に拓けているんだ」と知るだけでも、すごく気持ちが楽になると思います。私もそうだったので、泊まりに来てくれた方にも肩の荷を降ろして、この地でゆったりと流れる時間を楽しんでほしい、自分らしく過ごしてほしいと思っています。

益子町には自営業の方が多いからこそ、日常では出会えないような生き方をしている人と知り合うことができ、さまざまな価値観に触れられるという側面もあるのかもしれませんね。

選択肢と視野が広がると思います!もちろん会社勤めが悪いということではなく、いまの生き方が肌に合わなかったり、疲れてしまっていたり、辛い思いをしていたり、思い悩んでいるならば、もっと違う新しい選択肢に触れられるひとつの場所になるかな、と…!

新しい選択肢に触れて「こんな生き方いいかも」と思える。元気をもらえ、次のステップに向かう一歩になる。それらは、益子町と『ゲストハウス小窓』が与えてくれる大切な気づきなのかもしれません

増田さんが大切にしていることは、考え方や価値観、出身地や境遇、年齢や国籍など、多様な人が一同に集まった空間をつくること。違う境遇で生まれ育った人と人だからこそ、さまざまな生き方や考え方に触れることができ、価値観のアップデートになり、自分の凝り固まった常識を覆すことができ、面白いと言います。

そして、人と人との交流にはご飯やお酒が必須です。そこで「ゲストハウスに泊まった人同士で交流を深められる機会をつくりたい」と、地域の方も気軽に集まれるバーをオープンすることに(2025年夏ごろオープン予定)。

泊まれるゲストハウスだけでなく、バーとしての利用もできる地域の交流拠点ってすごくいいなあ…!

「益子町は夜も営業しているお店が少ない」ということもありますが、「ゲスト同士でお話ししながらのんびりご飯を食べたい」という需要があって。選択肢を増やすために、『ゲストハウス小窓』でも益子町の地酒などを楽しめたらいいなと考えています。せっかく益子町に来てくれたのであれば、土地のものを味わってほしくて。

一般的な飲食店では他のお客さんと交流が生まれることはあまりありませんが、ここにある広いテーブルならみんなで集まれて、さらにそこにお酒があると気分が乗ってきて、より会話が弾むかな、と。お酒やご飯があると自然と会話が生まれるので、そうした交流ツールのひとつとしてバーがあったらいいなと思っています。ここでゲストさんと地域の方との交流が生まれても面白いですね!

“みんなでご飯を囲みながら交流すること”もゲストハウスに宿泊する醍醐味。カセットコンロや調理器具、キッチンなども自由に使うことができます◎

外に行かずともここでみんなでテーブルを囲んでお酒が飲めるの、素敵…!たしかに、お酒があればゲストさん同士も交流しやすいですよね。どんな人ととでもご飯とお酒は共通の話題になり得るので、話すきっかけが生まれやすいというか…

バーがあるゲストハウスの方が、「一杯どう?」など、やっぱりゲストさん同士の会話が生まれやすいなと感じています。発酵食品を使った朝ごはんを提供しているので、夜は『発酵酒場』にしようかなと考えているところです。酒粕やチーズ、味噌や漬物、塩麹などのおつまみと、美味しいお酒と…

『発酵酒場』、面白い!ここではじめましてのみんなでゆるっとお酒が飲めるの、いいなあ。“お酒があるからこそ本音で対話できる”なんてことも多いですからね。

バーのオープンなど、さらなるアップデートが楽しみでいまからとてもわくわくしていますが…これから、『ゲストハウス小窓』をどんな場所にしていきたいですか?

いまは知り合いの方が応援で泊まりに来てくれていますが、素敵な人とのつながりが生まれて、良い体験ができて、「ここで過ごす時間が心地よかった」「また来たい」と思ってもらえたら、自ずとさまざまな価値観を持った人が集まる場所になると思っています

まだゲストさんの数がまばらなので、今は交流を楽しむというよりものんびりくつろいでもらうことの方が多いのですが、コンセプトに合ったゲストハウスをつくるためには、より多くの方に知っていただき、足を運んでいただく必要があると思っています。

『ゲストハウス小窓』に行けば、いつでも誰かが居て、話ができて、面白い時間が過ごせる。そんな場所にできるよう、頑張ります!

じゃんじゃん遊びに来てください〜〜〜!お待ちしています♩(By 増田さん)

ゲストハウス小窓 Guesthouse & Bar Komado
住所:〒321-4104 栃木県芳賀郡益子町大沢2584−1 明在庵(Google マップ
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