〈求人終了〉ひとりの農家が土、野菜、お店、人を変えた—。本来の豊かで自由な社会の鍵は“生ごみ”にある。有限会社ドンカメの挑戦
目次
1 人の農家が町全体を巻き込み、生ごみを堆肥に変え、土も、野菜も、お店も、人も、元気になる“循環”が生まれた町があります。 栃木県芳賀町。15,600人の町のキャッチフレーズは、“環の町芳賀”。
栃木県の南東部に位置する栃木県芳賀町は、果樹や野菜類をはじめ、施設園芸・畜産などの都市近郊型農業が盛ん。特に豊水などの梨は、町を代表する特産品で県内有数の生産地として有名です(詳しくはこちら)。
芳賀町の豊かな自然で育てられた作物は元気な土から育ちます。そしてその元気な土づくりの鍵を握るのは、ごく身近な生ごみの存在なのです。
かつては当たり前のように生ごみは堆肥に変わり、紙ごみや金属ごみが買い取られ形を変え、人々の生活は循環の上に成り立っていました。
しかし、時代が変わっていくにつれて生ごみは焼却されたりと資源として再生利用されることが少なくなりました。
“もう一度生ごみを堆肥に変え、土も野菜も、それを食べた人も元気になる循環を生み出そう”
そう思い立ったのが、有限会社ドンカメの設立者である小久保 行雄(こくぼ ゆきお)さん。
代表取締役 小久保 行雄 ( こくぼ ゆきお )
1963 年 9 月 26 日、栃木県芳賀郡芳賀町の農家の長男として生まれる。サラリーマンの経験を得て、 29 歳の時に就農。32 歳で有限会社ドンカメを設立。代表取締役として生まれ育った芳賀町をモデルに、生ごみを地域ぐるみで堆肥化する仕組みを実現し、全国的に広めている。
有限会社ドンカメって?
—有限会社ドンカメの挑戦!生ごみを堆肥にし、新しい循環システムを構築する—
有限会社ドンカメは、地域連携資源循環事業として生ごみから堆肥をつくる会社です。
町のお店や家庭、事業所や学校給食から回収された生ごみを畜ふんと混ぜ合わせ、発酵・熟成して堆肥化します。できた堆肥は農地へ還り、農地から良質な作物が育ちます。育った野菜は地元の直売所やお店、また学校給食へ供給され、有限会社ドンカメで再び生ごみが堆肥化されます。
この循環こそが私たちの命を支え、社会を支えています。
燃えるごみを減らすことで環境負荷が少なくなることに加え、回収した生ごみを堆肥化することで地域内循環を確立し、堆肥を用いた農作物がブランド化される。
誰もが参加でき、喜びが循環する地域社会。これが循環型の町『環の町芳賀』の所以であり、有限会社ドンカメの目指すべき社会です。
どうしてこの事業を展開しているの?
この事業は、自然環境を考えた農家の意識転換による土づくりや地力再生事業からスタートしました
本来、農業の基本は『土づくり』であったはずなのに、今や化学肥料や農薬の大量使用がいたしかたないこととされている状況になっています。農産物や農業経営のために良かれと思ってやってきたことが、いつのまにか農業生産の基盤である農地を壊すサイクルになっていたと気がついたのです。
昔ながらの農や堆肥を学ぶと、人糞尿と落ち葉や刈り草、ワラやモミガラ、大豆かすや魚かすなど、身近に存在する有機質資源を堆肥に転換し、田畑に還元していました。
このように、“生ごみだって自然の恵み”です。草木が枯れて土に還るがごとく、自然(田・畑・海・ 山)の恵みは、自然(田・畑)に還る。これが当たり前で、こうして資源循環する姿こそ自然の本質だと思います。
ですが、このサイクルがあまりにも当たり前であるがゆえに、自然への感謝とそのサイクルに息を合わせ自然循環させるという意識に欠けてしまっていました。
そこで”自然環境と調和し、土づくりを基本した昔ながらの農”を手本に、地力の衰えた農地の再生と豊かな土を蘇らせようという想いのもと、有限会社ドンカメの取り組みがスタートしました。
チームミッション=「ごみを宝に!」
厄介物(ごみ)を宝(堆肥)に変え、喜び(農産物)として循環するというあり方は、自然の摂理から見たら実は当たり前のことなのです。
循環システムは、地域経済の基盤としてなくてはならない仕組みです。 有限会社ドンカメは芳賀町をモデル地域に、その古くて新しいシステムである『喜びが循環する環境の創出』を目指し活動し続けています。
地域一帯となって貢献するモデル
芳賀町で回収された生ごみは有限会社ドンカメに運ばれ、良質な野菜を生み出す(町全体のいのちをつくる)堆肥として生まれ変わります。
ごみの分別をしてもらうためには、”生ごみ=堆肥原料となる資源”だという共通認識と意識改革が必要です。
分別する機械を使えば生ごみだけ選別することも可能ですが、それではごみを出す側の意識が変わらないので意味がありません。
“生ごみは資源であり宝”だという認識が一人ひとりに芽生えることで初めて、地域ぐるみの自然な循環が出来上がるのです。
有限会社ドンカメが生ごみ専用パッカー車を独自に導入し、地域全体を巻き込んだ取り組みをおこなってきて23年。
こうして芳賀町では「食べ残した生ごみが循環し食卓に戻ってくる」という共通認識を持った住民たちによって、自ら進んで生ごみの分別をおこなうという景色が実現しました。
一つの業務に縛られないからこそ生まれる、 連帯感と思いやり
有限会社ドンカメ 社員 福田さん(52)のとある1日
8:30 出勤・前日のミーティングで決めた持ち場につく
12:00 作業終了・お昼休憩
13:00~ 生ごみの回収作業、生ごみ・牛ふんにおがくず・もみがらを混ぜて水分調整、堆肥の仕込み
17:30 退社
ー福田さんはどうして有限会社ドンカメに入社することに?
社長の人柄に惹かれて入社しました。「汚い」「大変」など色々なことがあると思いますが、実際にやってみて分かったのは、思った以上に社会や世界のことが見えるということです。
まだ食べられるものを目の前で大量に捨てられる…いわゆる『食品ロス』ですね。良いか悪いかは別にして、世の中がおかしくなっている現状や実態を嫌でも目の当たりにするんです。そういった意味でもここは日々考えさせられる現場ですね。
ー仕事のやりがいはどんなところにありますか?
一人でおこなう仕事は少なく、年齢層がバラバラの仲間とチームワークでおこなう仕事がほとんどです。チームで進める仕事はあまりやったことがなかったので楽しいですね。
加えて、チームワークが大切だからこそ、一緒に働く仲間たちとテレパシーのように仕事を共有できる。「いまどんな思いでいるか」「どうしてほしいか」など相手の気持ちを察知することができる力は、『ひとつの業務に縛られず様々な業務を経験する』という日々のトレーニングを通して身につきます。
当社ではローテーション形式で業務をおこなうので、仕事をする上で相手の気持ちが自ずと分かるし気づきも共有できる。いま目の前にいる人に自然と配慮できるようになり、その実感も嬉しく、働く上でのやりがいにつながっています。
当たり前のようにある、命の恵みに感謝できる意識を育てたい
「学校の生ごみはすべて堆肥化され、その堆肥から美味しい野菜ができる」という現実を子どもたちに伝えるため、出来上がった堆肥を農園や花壇等での利活用支援として学校に無償提供。有限会社ドンカメは、学校に一つの教材として学びのきっかけを提供しているのです。
自分たちが食べた給食の残りが、自然の恵みで堆肥となり生まれ変わる。その堆肥が作物を育て、私たちが生きるためのいのちに変わるー。
その循環を体感することで、自身の食べ物や環境を見直すきっかけになるといいます。 小久保さんは、この事業を通して全くと言っていいほど会社としての利益を追い求めていません。
人の命を支えているものは、お金ではつくることのできない空気・水・食物など、日ごろ意識することのない『自然の恵み』だと語る小久保さんが伝えたいこと。
小久保さん:純粋に、意識してほしいことがあります。「生きるということは、食べるということ」。私たちは誰かの命をいただいて生かされているという、当たり前すぎて意識しない現実とその喜びを、これからも伝え続けていきたいです。
会社のためでなく、ひとを育てるために
有限会社ドンカメが事業を開始して 20 年以上。一緒に走り続けた仲間たちも20 歳年をとりました。小久保さんは、事業を担う単なる労働人材がほしいとは微塵も思っていません。
小久保さん:会社をどうにかしたいわけではなく、人材を育み、能力を伝えていく。一人ひとりが実践者(イノベーター)として社会に出て貢献できる。ここはそんな意欲ある人を育む場所であり、社会や世界をリデザインするために一緒に働きたい。そして他にやりたいことができたなら巣立ってくれたらいい。それが僕の本当の願いです。
仕事内容
柱となる基本事業は、地域の有機物を堆肥化し、良質な堆肥を農家に提供するというリサイクル工場の機能全般。それにかかる生ごみの収集・発酵のための混ぜ合わせ・発酵・機械のメンテナンス・異物除去・配送作業など、活動内容は多岐にわたります。
また、様々なセクションをローテーションで担当し、業務全般を運営できるスキルを身につけてもらうことを目的としています。
ゆえに誰か一人が幹部という感覚はなく、そこにいる全員が幹部。一人ひとりが実践者となって業務を担当することで、基本的な人材としての能力向上につながります。
堆肥センター内写真
生ごみにおがくず・もみがらを混ぜ、ピットにて2日間保管。3日目に発酵レーンに乗せ、1ヶ月後にいのちの恵みが詰まった堆肥となります。
①生ごみ以外のものを分別する(ふるい)
②生ごみにおがくず・もみがらを混ぜ、水分調整をおこなう
③ピットにて2日間保管した後に発酵レーンに乗せ、1日1回の撹拌によって酸素を供給し、まんべんなく混ぜる
④山状に堆肥を堆積し、熟成させる
Q. 機械とか触ったことない初心者でも、本当にできるのかな…?
A.資格・技術について心配しなくても大丈夫です!有限会社ドンカメでは入社後、免許取得の補助制度があります。初心者でも問題ございませんので、ご安心下さい。
募集要項
必須条件 | 普通自動車の運転免許(通勤時) 基本的なPC操作知識と経験 一般的なビジネススキル(ビジネスメール・挨拶など) |
歓迎条件 | どんなスキルでも大歓迎! |
求める人物像 | 何をすべきか具体的にはまだ分からないが、社会をより豊かにしたいと思っている方 |
採用予定人数 | 1名 |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 8:30~17:30 土曜日は隔週出社 |
給与 | 給与規定による |
休日・休暇 | 毎週日曜・連休・お盆・正月休み |
福利厚生 | 社会保険 厚生年金 雇用保険 労災保険 |
待遇 | 交通費支給 通信費補助 役職手当 |
エントリー方法 | ①有限会社ドンカメのメールアドレス(donkame@sky.ucatv.ne.jp)にて履歴書を添付し、送付して下さい ②後日メールまたはお電話にてご連絡をいたしますので、面接の日程をご調整いたします ③対面またはオンラインにて面接を実施します |
※募集は終了いたしました
会社概要
商号 | 有限会社ドンカメ |
代表 | 代表取締役 小久保 行雄 ( こくぼ ゆきお ) |
設立 | 1995 年 |
創業 | 1997 年 |
敷地面積 | 4,998 平方メートル 発酵プラント 1 棟 鉄骨造平屋建コンクリート 堆肥舎 1 棟 鉄骨造平屋建コンクリート 脱臭施設 1 式 |
資本 | 300 万円 |
従業員数 | 正社員 5 名、パート・アルバイト 5 名 |
男女比 | 2:8(女性:男性) |
年齢層 | 23歳~63歳までと幅広い |
本社所在地 | 〒321-3303 栃木県芳賀郡芳賀町大字稲毛田 616 電話:028-677-2284 FAX:028-677-2284 |
ドンカメ堆肥センター | 〒321-330 栃木県芳賀郡芳賀町大字稲毛田 2066-3 電話:028-677-2999 FAX:028-677-2999 |
HP | https://www.donkame.net/ |