さまざまな背景を持つ人が協働できる“多文化共創”が根付いた地域に。まちづくり活動を行う人の強い味方、『宇都宮市まちづくりセンター まちぴあ』
「まちづくり活動に興味があるけど、何から始めたらいいの?」
「まちづくり活動を行う中で悩みが出てきた…」
「異分野・異業種の人に会ってみたい!」
こんな想いを抱えている方に、ぜひおすすめしたい拠点施設があります。
栃木県宇都宮市にある、宇都宮市まちづくりセンター『まちぴあ』です。
『まちぴあ』は、宇都宮市民によるまちづくり活動の活性化を目指し、ボランティア団体・NPO法人など、市民活動団体の多様な支援を行うまちづくり活動の拠点施設です(2012年1月4日開設、2025年4月から認定特定非営利活動法人宇都宮まちづくり市民工房に代わり、公益財団法人とちぎYMCAが指定管理者になりました)。

『まちぴあ』では、まちづくり活動に関わる相談対応や情報提供、まちづくり活動団体の連携やイベント・交流機会の提供、活動場所の提供(ミーティングルーム、研修室、コピー機・印刷機、ロッカー・メールボックス、貸しオフィスなど)、まちづくり活動の調査・研究や研修による人材育成など、まちづくり活動に関する多岐にわたる支援を行っています。

『まちぴあ』の名前の由来は、「多くの人が集い、まちがユートピアになるように」という願いから。設立されてから今に至るまで、まちづくり活動を行う多くの方に親しまれ、愛されています。
今回は、そんなまちづくり活動を行いたい方・行っている方の強い味方、『まちぴあ』の魅力と実態に迫るべく、実際に伺ってみました!
『まちぴあ』に訪れてすぐ、あたたかな笑顔で出迎えてくださったのは、所長の濱塚 牧人(はまつか まきと)さんです。

まちづくり活動を行う方のための中間支援拠点『まちぴあ』とは?
ようこそ、『まちぴあ』へ!『まちぴあ』は、NPO法人や市民活動団体、これからまちづくり活動を始めたい方に対して、活動場所の提供や機会創出などを行う中間支援拠点です。NPO法人設立に関する相談対応、団体や個人のさまざまな相談対応、各団体の活動情報を集約・共有する機能を持っています。
まずは、施設内を軽くご紹介しますね!

入口近くにあるこちらは、誰でも無料で自由に利用できる『情報展示室』です。各まちづくり団体のチラシや助成金情報、まちづくり関連の書籍などを置いています。

最近、試験勉強でここを利用していた学生さんが、当施設への出入りをきっかけにボランティア活動に参加してくれたという嬉しい出来事もありました!
この場所で出会いが生まれ、まちづくり活動につながることもあるんですね…!
そしてこちらは、2階のミーティングルームです。ミーティングルームやコピー機などは、“登録団体1※”であれば無料で利用することができます。もちろん、一般の方も有料でご利用可能です!


同じく2階には、事務スペースとして利用できる貸しオフィスもあります!

相談対応や施設の貸出、研修の開催と、柔軟に幅広くサポート
現在『まちぴあ』には、約10名のスタッフがいます。スタッフの平均年齢は約27歳と若く、大学生アルバイトが受付に立つなど学生の出入りも多く、活気にあふれています。

ミーティングの際に使えたり、登録団体同士をつなぐサポートも行っているので、もっと多くのまちづくり団体さんに『まちぴあ』をご活用いただけたら嬉しいですね。チラシをお持ち込みいただけたら告知することもできますし、お困りごとの相談に乗ることもできます。
支援の形は、団体や個人によってさまざまです。状況に応じて柔軟に対応できるよう、スタッフ一同努めています。

具体的には、どのような相談が?
NPO法人の立ち上げや設立後の資金繰りに関するご相談、担い手不足や人材育成に関するご相談が多いですね。ボランティアを始めたい方に活動先を紹介したり、お祭りを盛り上げるために協力団体を探しておつなぎすることもあります。相談対応は、主に常勤のスタッフと他団体さんのご協力を得ながら行っています。

まちづくり活動に関する相談は、無料でできるのでしょうか?
無料でご相談いただけます!なので、たくさんの方に気軽に足を運んでもらえたら嬉しいです。強みだけでなく弱みをも安心して言える環境をつくり、課題解決につながるマッチングをもっと生み出せたら、と思っています。
安心して“弱さ”を吐き出せる場所をつくりたい
幼少期から、父親の仕事の関係でボランティアスタッフと接する機会が多く、見返りを求めない愛情やNPO法人ならではのあたたかな雰囲気に魅力を感じていたという濱塚さん。
大学生になり『仙台YMCA』でボランティアスタッフとして4年間活動した後、0歳からシニアの方まであらゆる世代が対象の“マルチジェネレーション活動団体”という部分に惹かれ、2019年に新卒で『とちぎYMCA』に入職しました。

そして2025年4月、濱塚さんが『まちぴあ』の所長として就任して以来、とくに大切にしていることは“ケイパビリティの連鎖と結合”だと言います。
“ケイパビリティの連鎖と結合”とは、団体や個人が持つ専門性や強み(ケイパビリティ)を共有し、より大きな成果を生み出すことを意味します。
これまで培われてきたノウハウや専門的な知識を自身の組織内に留めず、他の団体とも共有し合うことで、複雑な地域課題の解決につながる。そのためには、「安心して“弱さ”を吐き出せる場所が必要」と濱塚さんは言います。
一人ひとり、苦手なことや難しいと感じることがきっとあるはずです。それらを包み隠さずに共有してもらえたら、不得意を得意とする他の団体や他の人とマッチングすることができ、活動をより良い方向に進めることができます。
まちづくり活動を行う人同士で各々が持つ強みを共有し合い、できない部分を補完し合うことで、もっと素敵な地域になると思っていますね。

ひとつの組織内やひとりで完璧にできなくても大丈夫、ということか…!
そうですね。どんな人にも得意・不得意はきっとあるので、それぞれの得意を活かし合うことができたら、地域のさまざまな課題解決につながるんじゃないか、と…!
誰もが自分らしく輝けるまちにするために、“多文化共創”の文化を、ここから
まちづくりは、市民一人ひとりが持つ興味関心に基づき、地域の課題を捉えることから始まります。一般的には、複合的・複雑化した社会課題に対し、市民生活を少しでも良くするための働きかけ全般をまちづくりと呼びますが、中でも濱塚さんが考えるまちづくりとは、“多文化共創”を大切にすること。
具体的には、「国籍、障がいの有無、年齢、家族構成に関わらず、誰もが自分らしく暮らすことのできる環境づくりを目指したい」と言います。
さまざまな視点を取り入れることで視野が広がり、より住みやすい地域の実現につながる。ここに、まちづくりにおける“共創の価値”があると考えています。
私たちは無意識のうちに、これまでの経験則や所属組織の文化という“色眼鏡”を通して物事を見ています。そこで他の組織や異業種の人と協働することで、初めて相手の文化が理解でき、これまで見えなかった他者の在り方が見えるようになる。このプロセスを重ねることで視野が広がり、物事をより俯瞰的に捉えられるようになると思っています。
なるほど。自分の文化だけでなく、他の人の文化や視点も大切にできる視野の広がりが、まちづくりにおいて大切なんですね。
そうですね。“互いの文化を否定しないこと”が、まちづくりを行う上でまずは何よりも大切だと思っています。

そして『まちぴあ』自身も、「他団体との連携により支援の幅と深さが生まれる」という実感を得ているそう。
他の団体のノウハウを借りることで支援に深みが出たり、NPO法人や企業とイベントを共催することで広がりが生まれたりと、この1年間でさまざまな分野の方々と関わることによって起きた良い変化がたくさんありました。
各団体が自分たちの理念を大切にしながらも、共有できる目的を見つけて他の人と協働することで、地域に大きな力が生まれるということを日々強く感じています。
さまざまな分野の人と協働し、子どもからお年寄りまでサポートできる体制を整え、宇都宮市全域のまちづくり推進、そしてまちづくり活動を行う団体支援を目指すためには、“拠点内に留まらないこと”が大切です。
現在は、スタッフ内で地域に出ることの重要性を共有し合いながら、挨拶回りのほか、イベントや集会、講座への参加を通じ、そこで享受した情報を発信する広報活動をも行っています。
そして「これまでの活動は拠点内に籠りがちだった」と言う濱塚さんの願いは、もっと活動範囲を広げていくこと。
より多くの方に『まちぴあ』の存在を知ってもらうためには、私たちスタッフが積極的に地域に出ていく必要があります。そして地域に出て顔を覚えてもらい、「困った時に相談できる」「あらゆる分野とつないでくれる」など、“地域で頼られる存在になること”が今の目標です。
地域の課題を一番よく知る地域の方々と共に悩みながら、解決策の選択肢を提示できる、解決に向けて支えられる、一緒に歩んでいける。そんな存在であり続けたいです。

さまざまな背景を持つ人が共生し、協働して課題解決に取り組む“多文化共創”をまちづくりの本質と捉える濱塚さん。
「複雑な課題は他の人と協働して初めて解決の糸口が見える」という考えを大切に、活動は違えど「地域をより良くしたい」という想いを共にする人同士をつなぐ、“分野を超えたハブ”として。
今日も『まちぴあ』は、宇都宮市をより良くしようと奮闘する人々のために、ここに在り続けます。