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学生の声

人の心を大切に、自分で切り拓く未来。―新潟大学/石川 由稀さん

学生の声

プロフィール

石川 由稀(いしかわ ゆうき)
栃木県宇都宮市出身
新潟大学 人文学部 人文学科人間学専攻 4年生

大学では哲学を専攻し、ドイツ哲学のゼミに所属。現在、「それぞれのやりたいことや大事にしたいことを資本主義社会において実現するにはどうしたらいいか」という問いをテーマに、卒業論文を執筆中。課外活動は、いままでに居酒屋でのアルバイト・NHKでの事務アルバイト・株式会社はぐくむのインターンシップなどを経験。またMatcherという就活マッチングアプリを使って学生の相談にのる活動なども行っている。

哲学への興味から見えてきた自分の想い

大学では、哲学を主に勉強しています。

哲学は、高校生の時からなんとなくいいなとは思っていたんですが、大学2年生くらいの時にゼミの授業を受けてから強く関心を持ちました。

哲学は、いろんな人の考えや思想を知ることが出来たりするところと、あとは正解がない感じが好きです。もちろん完全に自由にというわけではないですが、ただ「自分はこう思う」という思想や考えを、正解かどうかは置いておいて、ひとりひとりが自由に発言できるというところに魅力を感じています

いまは、“哲学対話”といって、例えば「なぜ生きてるのか」とか「お金と愛情どっちが大事」とか、そんな普遍的な漠然とした問いを議論していくということに興味を持っています。

素朴で丁寧な暮らしへの憧れ

わたしが一番好きな時間は、例えば温かなご飯を食べてるような時間です。日々を丁寧に過ごしたいという想いがあって、自然の風景を眺めてる時とか、飼っているハムスターと遊んだりするような、そんな素朴な時間を大切にしています。

それと、いろんな人に会っていろんな価値観を知ることも楽しいなと思ってます。大学でやっている哲学対話や、ちょうど今しているような対話も好きで、どちらかといえば討論とか議論とかよりかは、他愛もない何処に向かうでもないような会話をすることが好きです。

卒業論文のテーマ「資本主義社会における自己愛と幸福の関係」

大学では、ちょうどいま卒業論文の執筆中です。テーマは、「資本主義社会における自己愛と幸福の関係」を選びました。

このテーマで卒論を書こうと思ったきっかけは、わたしが就活をしていて感じた違和感が大きいです。

資本主義社会はどうしても利益やノルマなど、そればっかりに捉われている傾向があると思います。もちろん仕方ない部分はあるけど、でもわたしは働いてる人があんまり幸せそうに見えなくて、もっと自分がやりたいことや大事にしていることを実現することが自分の幸福に繋がるんじゃないのかなと思いました。だから、いまの資本主義社会でそれを実現していくにはどうしていくのかが、いま自分の一番の問いです。

もっと自分と向き合う人や、ただみんながやっているからという理由ではなく自ら考えて選択する人を増やしたいし、自分が関わる中でそうした気づきを持つ人が増えてほしいです。そういう想いから、悩んでいる就活生の話を聞いて相談にのるという活動もはじめました。

就活に違和感。「もっと自分らしく生きる人が増えてほしい」

私が感じた就活への違和感がどんな違和感かというと、1つは、「みんながやるから」とか「就活するのが当たり前だから」という理由で就活している人が多いことです。当たり前だからという理由は、そもそも何かが違うのではないかと感じてしまいます。

私自身も、いままで、何も考えなくても生きてこれてしまうようなレールの上で生きてきたし、だからそこから外れるのも怖いし、そもそもそれ以外の道があるのかもよくわかんないという状態だったので、どこかで自分の人生を生きているような感覚がないと思っていました。

でもやっぱり自分の人生は自分のものなので、みんなに合わせるんじゃなく自分で考えて選択したいんです。

違和感の2つ目は、会社に入るための就活になっていると感じたことです。みんな“社会に求められる人材”になろうとしているんじゃないかな、という違和感があります。就活相談を受ける中でも、「もっと成長しなきゃ」「もっと自分の弱みを減らしたい」とか、社会に求められないといけないという考えがある人が多くいて、そこが私はちょっと嫌だなと思っています。

もちろん社会に認められてないと思うのは怖いとか不安だなと思うのはわかります。けど、それが過剰だなとも思っていて、もっとそれよりも自分が生きたいようにとか、自分らしくとか、そういう考えで生きていける人が増えるといいなと思うけど、まだまだ社会に求められる人材を目指す人が多いなと感じています

人の心に寄り添った生き方へ

私が描く究極の理想の社会は、お金稼ぎをしなくていい社会だと思います。

就活生の相談に乗っていると、「自由に生きていきたいけどお金ないとダメですよね」とか、「そのためには会社入って働かなきゃですよね」とか、半ばあきらめてるような人が多いんです。自分も、もちろんその葛藤はあります。だからこそ誰もが生活するのに困らない、生活することのためだけに頑張らなくていい社会になったら最高だなと思ってます。

そしてそう思うようになったきっかけはやっぱり就職活動です。

就活をやってみて、いろんな選択肢が見えてきて、「ほんとに自由なんだな、自分の人生は自分で決めるんだな」と改めて実感したし、そこに衝撃を覚えました。

いろんな人に出会う中で、例えば、働かずに車を家として日本各地を回る人がいたり、副業的に自分のやりたいことをやりながら生活費を賄うための仕事と掛け持ちする人もいたりと、いままではレールに乗ってきた分、その“自由さ”が衝撃的でした。

ただ、そんな風に自分で全部決めていいんだと思った反面、でも同時に私はどうしたいんだろう、何が好きで何がしたいんだろうと迷ったりもしました。

良し悪しよりも、どんな人であるか

わたしは将来どんな人になりたいのかなと考えると、どんな状況でも楽しめる大人、柔軟になんでも受け入れられる大人になりたいなと思います。

例えば、この前あった話ですが、仲良くさせてもらってる大人の方と数人で飲みに行った帰りに、ストーカーみたいに後ろからずっとついてくる人がいたんです。怖かったので、みんなで「怖いよね、道まこうか」と話していた時、ある人は、そのストーカーに話しかけに行っちゃったんです。はじめは、「え、どうして?」と思ったけれど、その時にその方は、「どんな人なのかが気になる」「ストーカーも捉え方によっては才能だよね」と仰っていて、それを聞いたとき、良し悪しだけで決めずに人を一人の人間としてみるというところを見習いたいな、そんな人になりたいなと思いました。

人と向き合うことで生まれた、将来の夢

いまやりたいと思っていることは、誰かをサポートする仕事丁寧な暮らしの二つです。

自分自身、生きにくさを感じたり悩みやすかったりする分、ひとの心に寄り添える心理カウンセラーのような仕事をすることに興味があります。

人は過去の痛みやトラウマから思い込みが生まれて、そこから息苦しさが生まれたりすると思うので、自分の経験も踏まえながら、その息苦しさを和らげて誰もが自分を好きになれるようなサポートがしたいです。そのためにいまはコーチングの勉強もしています。

そしてもう一つ興味があるのは、“エコビレッジ”や“ファーマカルチャー”のような自給自足で、生活を丁寧にするような暮らしです。

ポスト資本主義のような考え方に興味があって、そういう環境に飛び込めたらいいなと思ってます。そうやって、とにかくいまの生活や環境を、がらっと変えてみたいです。

イヤイヤじゃなく、イキイキ働くために

将来は、働かなきゃいけないという義務感に縛られないような働き方がしたいです。お金を稼がなきゃという考え方で働くより、お金はあったほうが良いけどなくても大丈夫だよね、大事なのはお金だけじゃないよねっていう考え方で仕事をしたいです。

そう思ったのは、バイトをしてる時に業務だからやらなきゃって感じながら働いていた自分の経験や、周りでいやいやながら働いている人を見てきたからだと思います。

でもその逆に、たとえば各地の地域おこし協力隊のように、地域をもっとよくしようと活動している人など、いきいきと活動している人も見てきて、そういう人を見ていると自分もそんな風に自分のやりたいことをやって自由に働きたいなと思いました。

今は、現実と理想との狭間で葛藤していて、だけど、これからやりたいことをやっていく中で、“やってみれば何とかなる”という経験を積んでいくことで振り切れるんじゃないかと思っています。なのでその感覚を身に付けるためにも、これからどんどん行動を起こしていきたいです。